ゴールデンカムイ第250話感想

こんにちは、うたげです。

ゴールデンカムイ最新話の感想です。
ネタバレ含むうえに一ファン個人の想像・妄想・曲解だらけなので苦手な方は気を付けてください。
小難しい考察はしない・できないので、気楽に読んでくれたら嬉しい。

第250話 打ち上げ花火

鯉登少尉月島軍曹も札幌に到着。時計台の前で菊田二階堂と落ち合う。
宇佐美新聞記者(石川啄木)から得た情報から「次の殺人事件が起こる場所」に一人で先に向かっていた。犯人を捕まえるべく、鶴見中尉を待たずに第七師団の一行も動き出す。

札幌麦酒工場では、手を組んだ土方一派と杉元一行が三人一組に分かれ札幌娼婦連続殺人事件の犯人を待ち構えていた。
そこへ石川啄木が破り捨てた地図を復元した宇佐美も、犯人を追って現れる。娼婦に扮した門倉に声をかけてきた宇佐美。宇佐美の異常さを知る門倉は何とかして今の窮状を訴えたいが、真犯人でもないので迂闊な手段は使えず――。

一方、杉元・アシリパさん・白石組は門倉たちとは別の場所で警戒していた。彼らが警戒しているのは娼婦殺しの犯人だけではない。アシリパさんを狙っているはずの尾形も警戒していた。
土方一派と杉元一行が手を組んだことで尾形は土方さんの元へ戻れなくなった。造反してきた第七師団に戻れるはずももちろんない。そして今は他の連中とアシリパさんたちが離れる絶好の機会。尾形が狙ってこないわけがないのだ。
今やどの勢力からも孤立してしまった尾形の動機を、杉元はこう語る。金塊が手に入らないならばアシリパさんを殺してめちゃくちゃにしてやろう、というところだろう。――それはみんなを失望させたいからか、というアシリパさんの疑問は消えない。アシリパさんの頭には、樺太の流氷での尾形が思い出されていた。

さて門倉と宇佐美の再会は、門倉の願いむなしく宇佐美に顔を見られてしまう形で叶った。
門倉の悲鳴を合図に牛山が宇佐美に襲いかかる。背面から予兆なく掴みかかったはずだが宇佐美は反応し銃床を牛山の頭に叩き込んだ。牛山も宇佐美の胸倉を掴み、牛山vs宇佐美の戦闘が始まる。第七師団との戦闘が始まってしまい、犯人発見ではないがキラウシは合図の花火を打ち上げ他の仲間に応援を呼びかけた。

娼婦に扮した夏太郎に声をかけてきたのは、シルクハットを被った外国人らしい男だった。キラウシが打ち上げた花火で明るくなり、犯人と目されるマイケル・オストログの顔をしかと確認した永倉も花火を打ち上げる。
札幌麦酒工場で打ち上げられた二発の花火。それを見上げ照らし出されるのは杉元組と海賊らの班、鯉登少尉ら第七師団の面々、それにヴァシリと尾形。

「私をがっかりさせるな」
上エ地には幼少期にかけられた言葉の記憶があった。立派な軍人と称えられる父親の息子ゆえに周囲から向けられる期待の声。父親から与えられるプレッシャー。
それを思い出してか涙を流す上エ地の顔も、花火が照らし出す。

そしてもちろんこの人も。鶴見中尉もついに札幌へ到着したのだ。
まるで金塊のように人々を吸い寄せる打ち上げ花火。札幌麦酒工場でマイケル・オストログを捕まえることができるのか?上エ地はどう関わってくる?金塊争奪戦の関係者が揃い踏みで何が起こるのか?

肯定されたくて

尾形はがっかりさせたくてアシリパさんを狙う?もちろんアシリパさんの想像してるであろうように、それは違う。
尾形は否定されたくなくて、肯定されたいのだ。

何度かブログに書いているけども、尾形は常に人からの関心(≒愛情)に飢えていた
父の関心は実子である勇作さんへ向き、母の関心は自分ではなく父にしか向いていない。
関心を向けてもらいたい。それを勝ち取るための手段が尾形にとっては狙撃だった。母は鳥を撃っても振り向いてくれなかったが、敵を撃てば第七師団の中では関心を得られるのではないか――そう思ったであろう尾形を、またしても無関心(でもないのだが彼にとってはそう映っていそう)が待ち受ける。確かに狙撃の腕はあるが、それでも花山師団長の息子という肩書のある勇作さんのほうが遥かに鶴見中尉に重宝されていたのだ。
またも関心を得られなかった尾形。だが一筋の光が彼の心に差し込む。アシリパさんだ。
尾形が鳥を撃ったことをきちんと認識し認めた。受け入れられている、存在が認められている。それこそが長年尾形が求めてきたものだった。だから彼にとってアシリパさんは、執着するに十分値する存在なのだ。

しかし尾形のねじれた精神は、こんな単純な話では終わらない。
彼は勇作さんを見て一つの道理にたどり着いたのだ。
敵をいくら殺しても鶴見中尉に重用されない尾形。敵を殺さず旗手としてあるだけで、鶴見中尉に利用価値ありと判断されるどころか兵士たちからは勝利への導き手として扱われる勇作さん。この、おこないと結果の違いが、やがて尾形に腹違いの弟を殺させる事態になる。

尾形を語るうえで外せないのが、人を殺すにはなんらか理由が必要だ、ということ。杉元は敵兵を人と思わないことで自分の精神バランスを保っていたように、尾形もなんらかの理屈づけで自分を保っていた。
それが樺太で語られた、「清い人間などいない、みな罪悪感など覚えない」という道理。みんな罪悪感を持っていないから自分も感じていない、だから人を殺せる。そして、どんなに清廉な人間でさえ、ひとたび殺しを起こしてしまえば、罪悪感など持たない。清い人間とはおそらく罪悪感、つまり人の心を持ち続ける人間のことでしょう。そんな人なんていないみんな人殺しになれるんだ、というのが尾形の論。

勇作さんは清い人だった。戦場に出ながらも人を殺さない。尾形にそそのかされても捕虜を殺さない。それどころか尾形に、罪悪感のない人間などいないのだから兄様も本当は罪悪感があるのでしょう、といったことを言う。
そう言われて困惑するのは尾形だ。だってこれまで自分を守ってきた道理が思いきり壊されている。自分を否定されたも同義。勇作さんのあの言葉は悲しいかな尾形を受け入れるどころか拒絶する言葉だったわけだ。

そんな複雑な経緯を持つ尾形の心が、アシリパさんに狩猟を褒められたくらいでどうにかなるわけもなく。むしろ勇作さん2号のように見えているのかもしれない。受け入れてくれるようでいて、尾形の人殺しの道理を否定する存在。尾形としては消し去って自分の道理が正しいことを証明したいわけだ。もう否定されたくないのだ。

誰も尾形を肯定してくれない。そして尾形自身も、肯定されることを諦めたかのような皮肉な態度を繰り返し、仲間になった者とも一定の距離を置いているように見える。
杉元の言う「がっかりさせたい」という動機もある意味合っているんだよね。今までがっかりされてきたわけではないけど、関心を持たれなかった。だから、かき回して混乱を引き起こせば、誰かの関心を買える。アシリパさんを撃てば少なくとも杉元の恨みは買えるし、もしかしたら鶴見中尉にも振り向いてもらえるかもしれないから。

一体彼はこの金塊争奪戦を経てどう変わるのだろう……それに何よりも、アシリパさんを撃つのだろうか……。

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第249話 それぞれの夢

石川啄木によりジャック・ザ・リッパーの犯行になぞらえられていることが推測される札幌連続娼婦殺害事件。五人目の犯行は札幌麦酒工場でおこなわれる読みのため、杉元一行と土方一派は作戦を立て臨む。

「囮役」「仕留め役」「合図役」の三人一組を四組作り、それぞれ娼婦を帰しながら犯人を待ち受ける。
未だ土方歳三に裏切られた経験から信用し切っていない杉元は、もちろんアシリパさん白石と組になる。アシリパさんは「相棒だから」杉元と一緒にいることを選択する。

アシリパさんのような少女にとっては危険極まりない作戦だが、アイヌの未来を守る金塊をめぐる戦いに、アシリパさんが高みの見物でいいはずがない。
アイヌ民族を守ることはアシリパさん自身の夢なのか、その夢で自分も幸せになれるのか、と海賊房太郎に聞かれれば、アシリパさんはイエスノーでは答えない。
海賊は、自分の王国を作る以上に、自分のことを忘れられないための良い方法があるのなら参考にしたいのだ。忘れ去られずに誰かが語り継いでくれるなら、王様になるのでも他の方法でもかまわない。今の海賊には、王様になって子孫をたくさん残し、後世に自分のことを覚えていて語ってくれる人がいることが、幸せの形なのだ。
海賊にとって気になるのはアシリパさんが現在語っている夢が、自分自身も幸せになるためのものなのかということ。だから彼はこう尋ねる。アシリパさんの描く未来に杉元はいるのか?と。

海賊の問いかけに対するアシリパさんの答えは聞けないまま、やがて娼婦に声をかける男が現れ始める時間になった。囮役の夏太郎に外国人の男が声をかけてくる。外国人であることから一気に高まる緊張感。今回の犯人は、網走監獄の刺青の囚人の一人、マイケル・オストログではないか?というのが石川啄木たちの読みだ。

マイケル・オストログは国籍不明、貿易船で日本へ密入国の後に横浜で娼婦を殺した。外国人の死刑囚は日本では初だった。
年の頃は五十代。もしジャック・ザ・リッパーが生きていたとしたら、ロンドンでの犯行当時三十代と仮定して、ちょうど今は五十代……この一致は偶然なのかそれとも石川啄木の推理通りマイケル・オストログ=ジャック・ザ・リッパーで、自分の聖地ほしさにここ札幌で犯行を再現したのか?

一方。札幌には第七師団が集まりつつあった。鯉登少尉月島軍曹二階堂が札幌へ到着、鶴見中尉の到着を待つ。
また、宇佐美はすでに札幌へおり、土方一派の中では石川啄木と邂逅済みだが、なんと石川啄木が破り捨てた地図を拾い集め復元し、ここ札幌麦酒工場へやって来ていた。因縁のある門倉(囮役)の背後に宇佐美が迫る――!

金塊争奪戦の中心

出会って即アシリパさんから杉元への恋心を見抜き、それ以降やたらアシリパさんへ突っかかってくる海賊房太郎。その理由はもちろん、「アイヌとして」という、一個人ではなくて集団の代表としての立場を強調していること。
アシリパさん個人としての幸せよりもアイヌ民族としての幸せを優先するのは、本当にアシリパさんに幸せをもたらすのか?海賊には疑問なのでしょう。
海賊は「自分のことを覚えていてくれる人がいること」が幸せなのだとすでに確たる定義が自分の中にある人。そういう人からしてみれば、きっとアシリパさんは自分の本心から目を背けているように見えるんじゃないかな。
杉元が好きだからずっと一緒にいたいと願っているはずなのに、それを心の底にしまい込んで、アイヌ民族という所属集団の幸せにを優先させてしまうなんて。民族が存続したとしてアシリパさんという個人はそれで幸せなのか?

ここに来てとても大きな問題を改めて言語化してくれた海賊。
アシリパさんにはずっと、一人の少女が抱えるにはあまりに大きな使命が圧し掛かっていたのだ。
父ウイルクが、アシリパさんを山で戦えるよう仕込んだことから、娘には戦う道=少数民族として時の政権などに反抗し自分たちの生存を勝ち取る道を望んでいたでしょうし、キロランケやソフィアももちろんウイルクと同じ。アシリパさんは我ら少数民族の希望の星、そうなってもらいたい、と思っていたでしょう。自分たちの思想を受け継いでくれる「器」の役割を期待していたのではないかと。
そもそも金塊争奪戦においてアシリパさんは暗号解読の鍵。本人がどう望むかは関係なくて、先に挙げた人以外は「鍵」という道具の扱いをしていた、と言ってもおかしくはないでしょう。

「器」「鍵」の扱いを受け、アシリパさん個人の意思は尊重されてこなかった。誰も気にかけてこなかった。そんなアシリパさんが、志半ばで死んでいった父やキロランケの思いを知って思いを受け継がないわけもなく。これこそ私の本心だと思わなければ、死んでいった人たちに顔向けできないという気持ちになるだろう。とても追い詰められた状態だ。

しかし。そこへ疑問を投げかける人物が二人。
一人はもちろん海賊。言葉でハッキリと疑問を形にしてくれた。
でも海賊が言葉にするより前に、杉元も疑問を生じさせていたと思うんだよね。
アシリパさんが杉元への好意を自覚したときからその疑問は生まれていたのだと思う。でもその気持ちに蓋をして、民族のため、と言わざるを得ない状況が続いて。
だからアシリパさんもきっと自分の中でこの「ねじれ」にどう蹴りをつけるか奮闘中なのではないかな。もしかしたら目を逸らしているだけかもしれないけど。
個人の幸せと集団の幸せ、両立はできないのかな?

誰かがやらなきゃいけないことだから私がやると決めた

↑このセリフ、成長期途中の子が言うにはあまりに重くないか…。
「誰かがやらないと」っていうことをやってしまう人柄。人望は厚いだろうけど苦労するタイプだなと思うと……子どものうちに我がままに振る舞うことも覚えてほしいなと思ってしまう老婆心。
周囲の期待になんてこたえなくていいんだよって教えてあげたい…。

杉元の心の傷を癒し、金塊争奪戦の中心にあって、「自分の心に素直であること」を象徴する存在としてアシリパさんがいるものと思っていたけれど。
途中からアシリパさんも自分の心がよく見えていない状態になっていたんだね…。
アシリパさんが杉元を救ったように、今度は杉元がアシリパさんの心を解き放ってあげてほしい。

ウイルクが娘を、自分の思想や教えを入れる「器」と扱っていた、と書いてしまったけど、もちろんそれは娘が生きるための道としてそれが最善だと思っていたからだと信じているよ。決して道具にしたかったわけではないと思う。
だってそうじゃなかったとしたら、お父さん大好きなアシリパさんの気持ちが、あまりにも報われないじゃない…。愛情を渡したら愛情で返す、そんな親子関係であってほしい。ウイルクが愛情を渡したからアシリパさんも大好きという気持ちで返したのであってほしいのよ。

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第248話 教会

札幌連続娼婦殺害事件の犯人の足跡を追う石川啄木。夜の街で何か閃き手元の地図に書き込む石川啄木の背中を、宇佐美の開いた瞳孔が射貫いていた。
やおら右頬を殴られ倒れ込んだ石川啄木に、次の犯行現場はどこだと宇佐美は問いかける。宇佐美は官憲で己の手柄を横取りしようとしているのだ、そう早合点した石川啄木は、次の犯行現場に繋がるヒントを書き込んだ地図を奪われまいと必死の抵抗を見せる。咄嗟に口に含み、腹を蹴られても顔を殴られても絶対に地図を渡さない。土方さんたちに地図のことを伝えなければ――石川啄木は強い使命感から、軍人からの暴力に耐えていた。やがて殴る蹴る程度ではらちが明かないと悟ったのか、宇佐美が南部式大型自動拳銃を取り出す。そこでようやく宇佐美は官憲ではなく第七師団だと気付いた石川啄木。運よく通りがかった警官らしき人物のおかげで宇佐美の視界から抜け出すことに成功。地図を破き宇佐美に情報が渡るのを阻止。なおも執拗に石川啄木を見つけようとする宇佐美から逃れるため、石川啄木は家屋の物陰に潜むが……。

一方その頃、刺青の囚人が鋭い刃物を手にしながら全裸で「グリーンスリーブス」を口ずさんでいた。英国伝統の歌を知るこの男は、もしや宇佐美や土方一派が追っている札幌娼婦殺しの犯人か…?

石川啄木が宇佐美に襲われた翌日、私娼窟で聞き込みをおこなう杉元一行土方一派。娼婦にも営業許可が必要だが、もちろん許可を得ず違法に客を取る者もいる。その中でも街頭に立ち客を取る「街娼」は客と一対一のため客にとっては誰か他の者に顔を見られる心配がない。つまり殺しのターゲットにもってこいだ。ここまで殺された四人もすべて街娼。街娼に声をかけ、犯行が予想される今夜だけは外に出ないようにさせれば、犯人が現れるだろう場所の絞り込みが可能になる、という魂胆だ。しかし札幌の街は広い。まして営業許可のない街娼が相手だ、全員の所在を把握するのは不可能。無情にも次の犯行現場の目星もつけられないまま日が暮れていく。
そこへ現れたのは石川啄木。なんと宇佐美から逃げおおせたのだ。夜通しドブに隠れやり過ごし、次の犯行現場について伝えるため戻ってきた。

石川啄木の推理はこうだ。
札幌連続娼婦殺害事件の犯人は、イギリスを震え上がらせたジャック・ザ・リッパーを模倣している。犯行の時間帯は真夜中、殺害する人数も同じく次で五人目。もちろん殺害の場所も真似している。ジャック・ザ・リッパーが犯行を起こしたのはロンドン。そのロンドンの地図を札幌に当てはめてみると…。豊平川をテムズ川、ホワイトチャペルをセント・ボトルフ教会に当てはめる。ランドマークを合わせてみれば四人目までの犯行現場はロンドンのジャック・ザ・リッパーの犯行現場と一致する。そしてそのままジャック・ザ・リッパーの五人目の犯行現場を札幌の地図へ当てはめてみると。

その場所は札幌麦酒工場だった。
今夜向かうべきは札幌麦酒工場。ジャック・ザ・リッパーの模倣犯の凶行を止めることができるか?またにおいを嗅ぎつけた宇佐美ら第七師団とかち合うのか?札幌麦酒工場で何かが起きるはずだ。

さて宇佐美に暴行を加えられても情報を死守し、一晩中ドブで過ごすことも厭わなかった石川啄木。何が彼をそうまで駆り立てるのか?
それはもちろん土方さんの語る蝦夷共和国の理念に共感したから――ではなくて。東京から札幌へ出張中の話題の花魁のため。事件解決の手柄で彼女にお近づきになろうというものだった……。

新たな囚人の刺青お目見え

先週のお話の続きはいい感じにお預け!アシリパさんの思う暗号の法則を満たしている刺青と満たしていない刺青、あちらはどうなっているんでしょうね。

今週のお話はアニメで見たいお話だな。地図を破り捨て身を潜めた石川啄木をゆっくりした足取りで追い詰める宇佐美の恐怖演出、絶対に見たい。
でも逃げられて本当によかったよ石川啄木…。史実に近い見た目のキャラクターだからひどい目にはそうそう遭わないと思うけど、普通に殴られて蹴られたので雲行きがあやしくなってきたといえばあやしい。でもこのまま五人目の殺害を防いで石川啄木がそれを記事化、花魁とあわよくば…は牛山や杉元あたりに花魁の興味をかっさらわれて終わり、というやつじゃないかと。あとはラストで北海道がどうなったかを執筆するのが石川啄木の作中での役割かな。

そうそう、石川啄木は地図を破っていたけれど、宇佐美ならそれを拾って修復くらいするはず。石川啄木が書き込んだのがロンドンの地図か札幌の地図かにもよるけれど、札幌麦酒工場で第七師団とかち合うんじゃないかなぁと思ってる。ドブに隠れてやり過ごしたと思っていても実際には泳がされている可能性も否定できないし。

と、いうことは。
札幌麦酒工場が第七師団と土方一派と杉元一行が集う、天王山になるのかね?
札幌麦酒工場は今の北海道の産業、農業と製造業と観光業を象徴するものの一つに思うので、そんな場所で北海道のこれからをどうにかしようとしている人たちがぶつかり合うのはとても趣深い。

話は変わるけどもサッポロビール園、すごく楽しいので、コロナが落ち着いたらぜひまた行きたいな。札幌もゴールデンカムイの舞台だからね、聖地を巡りたいね。

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第247話 決まり事

アシリパさん樺太での旅で思い出したアチャの名前「ホロケウオシコニが鍵であり、そこから刺青に法則があるものと読んでいた。そして土方歳三に手持ちの刺青を見せてもらいそれの確認をする。しかしアシリパさんの予想に反し、刺青には「ホロケウオシコニ」を鍵とした法則があるわけではなかった。(先週までのお話)

アシリパさんの考えていた刺青の決まり事、それは「ホロケウオシコニ」のどれかの文字の読みがある漢字が彫られていることだ。「羽」は「ウ」とも読むので要件を満たす。
囚人たちと実際に会った上で写したり剥ぎ取ったりした刺青はよい。間違いなく本物だとわかる。
問題は、すでに剥がれたあとの状態で手に入れた刺青だ。まずは元の囚人が誰なのか不明。のっぺら坊は様々な雑居房に移されたため刺青を彫った人間をすべて把握している人間は本人以外にはおそらくいない。
それに、鶴見中尉江渡貝くんに作らせた偽物の可能性もある。あのとき江渡貝邸で作られたと考えられる偽物は6枚で、うち1枚は土方さんたちもその場で目にしていた。そして有古力松を通じて鶴見中尉から掴まされている刺青が5枚。これで合計6枚だ。それならばそれ以外の刺青は、出どころが不明とはいえ本物と考えるほうが妥当だろう。
しかし実際には鶴見中尉に掴まされた5枚のうち2枚は、アシリパさんの考える決まり事の要件を満たしてしまっていた。つまり偽物と思っていた5枚のうち2枚は、偽物と断ずることができない。そうなると土方さんたちが集めてきたものも全て本物と断言するのが難しくなる。現に、油問屋で夏太郎が手に入れたものは要件を満たしていなかった。「本物ならば満たす」「偽物は満たさない」という法則が崩され困惑するアシリパさん。

実のところ鶴見中尉は有古に偽物の刺青だけを渡したわけではなかった。刺青の暗号には必ずどの囚人のものにも共通する法則があると読んでいた鶴見中尉が、本物だけに共通する法則の解読を遅らせるために、あえて本物を2枚だけ混ぜておいたのだ。

一方札幌では娼婦殺しの犯人の次の犯行予想日に向け、土方陣営とそこに合流した杉元一行、そして宇佐美がそれぞれ奮闘していた。
宇佐美は相変わらず精子探偵を続けているが進展はなく、偶然その近くを石川啄木が通りかかった。石川啄木も独自調査を進めており、次の犯行現場の目星までつけていたようだ。暗闇の中で現在地を確かめる啄木は、札幌の地図を見て何かを閃いたようで――しかしその背後を宇佐美の瞳孔の開いた両目が射貫いているのだった。

頭脳戦の感想、「すごい」しか出ない。

鶴見中尉は流石と言わざるを得ない。嘘を信じさせるためには適度に真実も混ぜ込むとよい、というのはおそらく誰しもどこかで聞いたことがあると思うけど、まさにそれ。「江渡貝邸から持ち出された偽物は5枚ある」というのを土方さんたちも知っている、というのを利用したすごい頭脳戦。流石情報将校…。人を騙し意のままに操る天才。鶴見劇場は鶴見ボーイズどころか敵も含めた操り人形劇なんだね。

とはいえ土方さんも鶴見中尉が5枚全部偽物を渡してきたとは思っていないのでは?と思うのよね。有古がスパイというのにも気付いているし、鶴見中尉が偽物を切り札として使ってくるだろうということは容易に思い至ると思うし。なので今週の土方さんはアシリパさんに考えていることそのままを話しているわけではないのではと思うのだけどどうなんでしょう。真っ直ぐ士道を進むお侍かと思いきや頭の切れるとんだ食わせ者だよ!という展開を希望してる。

鶴見中尉と土方さんがリモートで頭脳戦を展開し始めて、物理的な距離が段々に縮まってきているので正面衝突も近いのかな。やはり札幌で終わるのかなぁ…。
寂しいけどもそんな気配あるよね、尾形の心境が丁寧に解説されてるとこも風呂敷の畳み始めに思えるし、今週のみんなで酒飲んで将来の夢を語るやつだって終結のためのフラグかなと思っちゃう。啄木さんの活躍もそうなんではないかと。新聞記者だからアイヌの現状についての記事を書いてエンド、というのが見えなくも…ない……。石川啄木の書いたものを調べないといけないね…。あっ、啄木さん、宇佐美に目をつけられたけども無事だといいね。史実の人だしデザインもご本人に近いから無碍な扱いはされないと思うけど。

流れ的に札幌で全員集合して、鶴見中尉が金塊入手後の構想というよりも野心を語り始めたら……本当に作品の終わりに向けた、ジェットコースターでいえば最後の下り坂に差し掛かるところなんだろうね。今のところ丁寧にフラグ回収しているのできっと終わった暁には「ゴールデンカムイ」の言葉の意味するところを我々は知ることになるんだろうな。全て明らかになり、戦いが終わり、早くアシリパさんたちに落ち着いてほしいという気持ちと、終わってほしくないな…という気持ち、しばらくはこの間で揺れ動き続けるんでしょうね、私。

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第246話 アイヌの偶像

牛山に投げられそうになった杉元は寸でのところで手を床につき反撃に出る。二人の激しい戦闘はレストランをことごとく破壊し往来へ出る。止めに入ったはずの海賊までテーブルを壊す始末。しかもテーブルを叩きつけたところで牛山はまったく怯まない。門倉キラウシまで駆け付けてきた。
ついに銃を再び手にし杉元へ狙いを定める土方歳三。その前にアシリパさんが立ちはだかる。にらみ合う両者を横目に、早く騒ぎを止めたい門倉。騒ぎを聞きつけ招かれざる客――第七師団のような――が来るかもしれないからだ。尾形有古を呼んで来いという門倉の言葉に反応する杉元。頭巾ちゃんことヴァシリは尾形の似顔絵を杉元に見せられようやく自分がここまで来た理由を思い出した様子。
一方の尾形は櫓の上から杉元たちの揉み合いの様子を観察していた。銃の照準をアシリパさんに定め、いたずらでも企むように笑いながら「これをやったらさぞ大混乱だろう」と呟く。その尾形の背後に人の影が。気配を察した尾形が振り向いても誰もいないが……果たして尾形が感じた人の気配は一体何だったのか?

「網走でよくもアシリパさんと引き離してくれたな」と叫ぶ杉元は、後ろから牛山に押さえ込まれ自由に動けない状態だった。杉元と牛山の掴み合いは、牛山に軍配が上がったようだった。
杉元が邪魔になるので退場を願い、網走でアシリパさんと杉元を引き剥がした土方さん。杉元は土方さんがアシリパさんを利用するのを阻止したかった。アイヌの偶像として独立戦争の闘士に仕立て上げられるのを。

しかし土方さんの考えは少し違うようだ。
まず「蝦夷共和国」ありきで語られる土方さんの目指す未来。森林資源が枯渇するであろう北海道は、経済基盤を炭鉱とし、資源採掘には諸外国からの移民を募る。移民を受け入れる、つまり多民族国家を目指すのだ。内地人はおおよそ一つの民族だけで過ごしてきたため多民族を受け入れる下地がないが、アイヌは古くから極東少数民族やロシア人と共に暮らしてきたため、多くの民族同士のつなぎ役になれる。
そしてその多民族・多文化国家において、象徴となれるのがアシリパさんだと土方さんは語る。北海道アイヌ・樺太アイヌ・帝政ロシアに迫害された青い目のポーランド人。複数のルーツが混じり合ったアシリパさんこそ、「蝦夷共和国」の主導者に適任だと。

土方さんの理想国家像を聞いたアシリパさんはそれを良いとも悪いとも何も言わず、土方さんに手を組むしかない、と提案する。いがみ合う理由は十分にあるが、第七師団に金塊が渡るのを避けたいという利害は一致しているのだ。
土方さん相手に対等に渡り合っているアシリパさんを見て、見ないうちに変わったと感想を漏らす永倉新八。その隣で有古は思うところがある様子でアシリパさんを見つめていた――。なお上エ地は牛山に忘れられなんとか命からがら逃げ出していた。頭巾ちゃんは尾形を見つめられずじまいだった。

場所を変え土方さんとアシリパさんが一対一で向かい合う。お互いの刺青人皮を共有しあうためだ。松田平太の刺青は土方陣営も第七師団も入手していない貴重なものだろう。
アシリパさんは樺太での旅で思い出したアチャの名前「ホロケウオシコニが鍵であり、そこから刺青に法則があるものと読んでいた。そして土方さんに手持ちの刺青を見せてもらいそれの確認をする。しかしアシリパさんの予想に反し、刺青には「ホロケウオシコニ」を鍵とした法則があるわけではなかった。

 

アイコンとしてのアシリパさん

牛山の安定感はさすが~!やっぱり杉元を最後には押さえ込んで勝っちゃうのね。頭巾ちゃんもすっかりおとぼけポジションが板についてて可愛い。
さて尾形は……「上等兵たち」を読んでしまうと、みんなの気を引きたい駄々っ子に見えてくるよね。アシリパさんを撃ったらおそらく金塊にたどり着くまであと十年くらい余計にかかるんじゃないかと。勝手な目測だけど。土方さんも鶴見中尉もお冠、もしかしたら鶴見中尉は尾形を始末しに部下を送ってくれるかもしれない。構ってもらえるね、やったね!それか、自分がほしかったものが何も手に入らなくなっちゃったから、それだったらいっそ他の人も望むものが手に入らなければいい!それなら平等だ!って自棄を起こしてるのかなぁ。尾形だけは土方一派なのにまだ杉元たちの前に姿を現していないから、今後がマジで気になるところ。アシリパさんなんて一度撃たれかけてるし……再会したら事件だよ事件。いがみ合いつつも手を組む……ってなるのかな、アシリパさんがいれば。つなぎ役だもんなぁ……。

アシリパさんは土方さんの「自分の民族の未来」「北海道の経済基盤を変えなければ」といった言葉に反応してるように見えるので、やはりアイヌはじめ少数民族の一代表として生きていくことを決めているように見える。特に主要な産物を炭鉱へシフトしていくのはアシリパさんにとってかなり響いた節があるよね。森林が枯渇しているというのはちょうどこないだの話で語られていて、アシリパさんにとっても関心の的であるはず。ただ「取りすぎなければいい」というアシリパさんと、炭鉱で国おこしをしようとする土方さん、相容れるかな?というのは疑問。比較的新しいエネルギー源だろうからアイヌの伝承に炭鉱についてのものは特にないだろうけど、資源の取り過ぎは諫められそうだ。ただこのままでは森林面積が減りつつあるのにそこでしか暮らせないアイヌは滅亡へ向かってしまうわけで……考え方や生活様式の転換が求められていそうな気配。でもそれがアシリパさんが本当に望むものなのかはちょっとよくわからない。アイヌの教えを受け継げれば現代的な生活でもかまわないのか、昔ながらの生活様式も維持したいのか……。後者は時代的にもう無理な気がするけど……アシリパさんそのあたりどう思ってるのか早く聞かせてほしい!教えて!

もしも、もう少し古い時代に生まれていれば、アシリパさんは両親を早くに亡くしながらもフチや親族に囲まれて楽しく猟をして一アイヌとして山で一生を終えていたかもしれない。でも物事が大きく変わっていった時代に生まれてしまった。自分が大切にしたいものを守るには、一個人じゃなくてたくさんの人を代表して率いるアイコンとして生きるしかないのかもしれない。ウイルクの子じゃなく、青い目のポーランド人の娘のアシリパさん。フチのかわいい孫じゃなく、北海道アイヌのアシリパさん。動物の脳みそが好きな女の子じゃなく、樺太アイヌの血を引くアシリパさん。そんなアシリパさんの置かれた境遇を思うと涙を禁じ得ない……!アシリパさんの選択が少しでも彼女自身の幸せへ繋がるものであってほしいし、戦いが終わったら存分にフチに甘えて、杉元と狩りをして、みんなで食事をして、一人の思春期の少女として伸び伸びと過ごしてほしい……。

 

 

 

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こんにちは、うたげです。

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ネタバレ含むうえに一ファン個人の想像・妄想・曲解だらけなので苦手な方は気を付けてください。
小難しい考察はしない・できないので、気楽に読んでくれたら嬉しい。

 

 

第245話 再会の街

飼い犬を探す少年のがっかりした顔が見たい上エ地が、少年の首を絞めているところへ牛山登場。
咄嗟の嘘で牛山から逃れようとするも、髪を引っ掴まれて振り回される始末。顔面から地面へ激突し、歯は折れ鼻と口から血が出る上エ地。牛山はさらに攻撃を続けようとするも、上エ地の髪の毛が切れて一瞬の隙ができた。そのときに上エ地は、金塊のありかに関わるいいものを見せるから勘弁してくれ、と口走る。
しかし牛山は応じず上エ地の足首を掴んで民家の壁へ軽々と投げつけた。民家の中を走り抜ける上エ地と、民家の壁ごと突き進む牛山。上エ地が逃れられるはずもなかった。追いかけっこをする牛山を見つけた土方歳三も引き付け、上エ地と牛山はレストランへと突っ込む。そこではライスカレーに舌鼓を打つ杉元一行がいた――。
牛山とアシリパさんが再会を喜ぶのも束の間、牛山へ追いついた土方歳三が杉元めがけて発砲する。間一髪それを防いだ杉元が銃剣で応戦し、レストランの中で二人は本格的な殺し合いを始める。お互いが刃物と飛び道具を持ち、どちらかが命を落とすまで決着はつきそうにない。
そこへ割って入ったのが牛山。杉元を抱え込んで、二人ともやめろと制した。しかし杉元は野生の動物のように唸り、そして背後から抱え込んでいる牛山の巨体を背負って投げた。頭から床へ投げられた牛山は、しかしさほどダメージはない様子ですぐに起き上がり、今度は杉元を投げ返した。杉元と牛山、杉元一行と土方一派、ここで戦うしか道はないのだろうか?

 

牛山の安心感

ゴールデンカムイの食事シーンが好きなので今週は嬉しいシーンがあった。本当に少し、2コマとかそのくらいだけど、少ないコマ数でもときめけるのはオタクの得意技だからね。
頭巾ちゃんことヴァシリの口元の傷跡は普通に出てたね。意図的にハッキリ描かずにおいて、尾形との再戦の際に見せつけるというシーンを予想してたけど、カレー食べてたね。たしかに痛ましさはすごいからいきなり見たらギョッとしちゃうだろうな。
海賊はお食事時に髪を束ねてるのかわいい……。牛山が突入してきてもカレー食べてるのもかわいいね。

牛山はさすがの安定感。上エ地にはもちろん負けないし、杉元に投げられてもビクともしてなさそうだし。上エ地をとっちめるのにも詰めが甘いところも含めて愛すべきキャラクターよね。自分の欲望のままの素直な行動原理と、自分なりの美学とのバランスが良いと思う。上エ地を攻撃した理由はわからないけど、子どもの首を絞めてたからであってほしいし、女の人についつられちゃう女好きなところとか、民家を破壊するけど戸はきちんと閉める意外と丁寧なところとか、再会したらアシリパさんへいの一番に声をかける紳士なところとか……。好きなところを挙げるとキリがない。牛山がいてくれるという安心感。
でももしかしたらそれも杉元との戦いでなくなってしまうのかも?と思うとそれは残念だなぁ。そうは言っても不敗の牛山であってほしい。杉元を投げ飛ばして、頭冷やせとか言って、杉元を正してやってほしいんだよな。作中でほぼ唯一と言っていいくらいの揺るがない牛山の文字通り山のような安定感。そのどっしりさでグラグラ揺れ動いてる繊細な若者を導いてほしさはある。杉元は土方さんに対する怒りで我を忘れかけていそうだし。
負けるのと死ぬのとはまた別だし、不敗の牛山と不死身の杉元、両立すると思うんだよな。だから杉元は牛山には勝たなくていい、勝たないでほしいというのが正直なところ。

 

 

 

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第244話 小樽上陸

ソフィアは小樽に到着していた。亜港の監獄で一緒だったスヴェトラーナに会い、岩息舞治から日本兵たちとアイヌの少女の行方を聞いていたのだ。ソフィアは仲間と大量の銃と共に上陸。しかし船旅のせいか脚気で倒れる者や壊血病らしい症状のある者もいた。
医者を探しに出たソフィアは偶然にも街角でメンコで遊ぶ鯉登少尉月島軍曹に出会う。ソフィアの大切な仲間だったキロランケと戦い、キロランケを殺した二人。その二人を見つけ、ソフィアは湧き上がる復讐心を抑えるのに必死だった。しかし今はアシリパさんを見つけるのが最優先。幸い月島軍曹と鯉登少尉のほうはソフィアを知らない。なんとか何事もなくその場を去ったソフィア。月島軍曹と鯉登少尉はソフィアの去ったあと、鶴見中尉が札幌で待つよう指示を出したことを話していた。

札幌では牛山都丹が虚無僧の振りをして情報収集をしていた。耳の良い都丹は聞き覚えのある声を拾う。それは上エ地圭二のもの。都丹からその名前を聞いた牛山は心底嫌そうな反応を見せる。牛山が「悪魔」とまで形容する上エ地とは一体どんな人物か?
海賊房太郎は網走監獄で何年間も上エ地に嘘をつかれていた。叔母が面会したいが旦那が政府関係者だから関係が知られると困るのでできない、という女性に外役中に声をかけられたと。その嘘は外役中に上エ地と鎖で繋がれていた牛山と同房になったことで嘘とわかる。海賊が上エ地を問い詰めると上エ地は腹を抱えて笑った。
札幌の街中では飼い犬を探す少年に、「あっちでそんな特徴のものを見た」と上エ地が声をかけるが、道中で「猫だった」と嘘をつき少年をがっかりさせて喜んでいた。さらには少年の犬の首をあらかじめ切り落としておきそれを見せつける始末。しかしこのときの少年の顔はがっかりではなく恐怖が色濃く期待外れだった様子で、がっかりした顔を求めて少年の首を絞め始めた。「家に帰ろうね」と声をかけ次の瞬間に「嘘だよ」とがっかりさせる上エ地。
このまま少年は上エ地に殺されてしまうのかと思いきやそこへ虚無僧姿の牛山と都丹が登場!人のがっかりした顔が見たくて嘘をつき誰かの命すら手にかける上エ地はどうなる?

 

覚悟が必要

今回の話、あまりいい気分でないなぁ…。ワンちゃんがえげつない目に遭っていて、ちょっと見ていられなかった…。
人を殺したりする話なのでけっこうな描写があるのはわかっていたし、ヒグマやシカも狩られるから動物愛護団体に優しくないのは承知の上だけども、上エ地の欲望のためだけにこういうことが起こされるのはなぁ…。
万人向けの作品ではないとわかってはいたけども野田先生の中でも線引きがあるものと思ってただけに少し残念。子どもが被害に遭うという「言葉」はあっても直接的な描写は今までなかったように記憶してるし、動物が殺されるのもあくまで狩りの一環や出くわしてしまい致し方なく正当防衛で、というパターンばっかりだった気がするの。多少の残酷な描写も、杉元は回復するし、囚人はみんな戦った上で負けたのなら死も受け入れるような態度ばかりだったし、要するに自らの行動に苦痛が伴うリスクを覚悟してたんだよね。野生動物ももちろんそういう心構えなのではと思う。
でもそういう覚悟をしていない人が傷ついたり死んだりする様子、私は、すごく苦手で…。親分姫の話で競馬関係の二人が殺されたところ(首が階段に二つ置かれるところ)もあのシーンだけやけに鮮明に、無関係な人が巻き込まれてしまって嫌だなぁという気持ちと一緒に、覚えてしまっている。
ただ競馬の二人については「大人」という枠組みに入れることができる。大人なら多少そういう残酷なことがこの世にはあってしかも自分もその範囲にいるという理解ができているし、逃れようとする力や知恵があるからまだいいんだよ。でも今回は非力なワンちゃんと子ども…。
これまで野田先生の中でも、ひどい目に遭わせる対象の基準とか実際に描写するか言葉だけで済ませるかとか、そういうレーティングがしっかりあるものだと思っていたのだけれど。今回の話で何かそうでもないのだなということがわかったから、私も急に残酷なものを目の前にさらされるという覚悟はして読まないといけないね。
それにしても、この子がこれから一生タローのことを思い出すとき首と体が繋がってない姿なのかもと思うと心が痛む…。そもそもこんな小さいときにあんなもの見ちゃったらトラウマになっちゃうよ。野田先生は何を思って上エ地の悪魔ぶりの説明に少年と飼い犬が犠牲になることを選んだのかな。
私個人の一時の感情だけどもそういうブログなので素直に書いておくね。今回の話はあとから読み返すことはしないな。

当然なので上エ地への好感度も地を這ってる。もともと高くはないが…。次週に牛山にボッコボコにされない限りは安心して読み続けられない…。お願いチンポ先生、上エ地を倒して!!!

前半の月島軍曹と鯉登少尉は、鶴見中尉大好きで負けず嫌いな鯉登少尉が拝めてよかった。私も東郷閣下のメンコほしい。
ソフィアはキロちゃんが死んだ場面を見ていたんだね。これでソフィアと第七師団の因縁もしっかりできあがったわけで…。おそらくそうなるのだろうけどソフィアも札幌に来たら本当に全員大集合だ。

 

 

 

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第243話 上等兵たち

札幌で精子探偵を続ける宇佐美と、菊田。宇佐美の娼婦殺し犯人の捜索手段に呆れ気味の菊田は、「第七師団の上等兵はおかしなやつばかりだ」という主旨の発言をする。尾形を引き合いに出され怒る宇佐美。宇佐美と尾形には知られざるエピソードがあった。

尾形は初登場時、杉元に真冬の川に落とされていた。凍傷は免れたが入院を余儀なくされていたとき。うわ言で「勇作殿」とつぶやいたのを宇佐美は耳ざとく拾った。
勇作殿は尾形の腹違いの弟で花沢閣下の寵愛を一心に受けていた。本妻の子である勇作殿が生まれ母とともに見向きもされなくなった尾形百之助とは育った境遇も性格もまるで違う。花沢閣下の息子であり旗手である花沢勇作少尉ももちろん鶴見中尉の「駒」だった。はじめは殺して花沢閣下の寵愛を尾形へ向け、花沢閣下を意のままに操ろうとしていたが、清らかな偶像としての利用価値を見出されたため勇作殿は殺されずに済んでいた。花沢閣下からも鶴見中尉からも愛されていた勇作殿に対し尾形は嫉妬する。嫉妬のあまり勇作殿にロシア兵捕虜を殺すようけしかけるが、勇作殿は清廉潔白を貫き、誰も殺さぬまま兄様と慕っていた尾形に脳天を撃たれて死んでいった。
勇作殿が死んでも花沢閣下の愛が尾形に向くことはなかった。そしてその父親も、鶴見中尉の取り計らいにより尾形が殺すことになった。さて忠実に二人もの身内を殺した尾形に鶴見中尉の愛の矛先が向くかと言えば――向かなかった。
誰にも愛されず一人になってしまった尾形が気に食わない宇佐美。宇佐美には確信があった。尾形は鶴見中尉を困らせたいのだ。困らせて気を引きたい。だから絶対に札幌へやって来る。宇佐美は、勇作殿や鯉登少尉や尾形と違って宇佐美自身は、ただの「駒」ではないということを、示したいのだ。

 

複雑に見えてもでっかい子ども

尾形は宇佐美の妄想だっていなそうとしてたけども宇佐美の言ってたことだいたい当たってる気がする。
尾形は作中ほとんどの陣営を渡り歩いて腹の底が見えない男ナンバーワンの座をほしいままにしているけど、根源はごくごくシンプルだと思う。誰かに愛されたい。そんな人が本能的に持っている素朴な動機だと思うの。

尾形が勇作さんやアシリパさんを引きずり下ろしたい道理については第187話感想で書いた通りだけど、じゃあそもそもなんでそんなことするの?っていう純粋な疑問への答えを宇佐美は語ってたんだと思う。私が187話感想で書いた「清い人間がいたら愛をくれたはずの家族を手にかけた自分は何なのか」という怯えた気持ちもあるとは思うけど、それもやはり「愛されたい」という気持ちの裏返し。生まれからして愛に飢えているのねこの男は。

誰よりも愛を渇望して、罪悪感なんてないんだなんて謎理屈を持ち出して人を殺してまでほしいのに、いざアシリパさんから与えられると戸惑ってどう反応していいかわからない――そんなかわいい人間なんだよ尾形は!
今回の話で更に尾形を好きになったよね……かわいいが過ぎる。かわいいというよりも、いじらしい。本当に幼子のようだ……。

尾形も、尾形に嫉妬して対抗心を燃やしている宇佐美も、危ういなぁと思う。作中では子どもの扱いだ。
白石や鯉登少尉がいい例なのだけど、自らの心のままに行動できるようになった人間は、誰かからの見返りを求めていないと思う。鯉登少尉だってあれだけ鶴見中尉信者だけども実は鶴見中尉からの褒美は特に必要としていない。それどころかその道が正しいのか見極めたいというちょっと距離を感じるような発言も出た。白石に至っては金銭的な得があるか定かではないのに自発的にアシリパさんのそばにいることを選んだし。
けれどこの二人の上等兵は違う。尾形は誰かに愛してほしい、宇佐美は鶴見中尉の特別でありたい。思いっきり他人に寄りかかっている。つまりは自立していないとでも言えばいいのかな。だから子どもなんだろうなぁと思うわけ。戦闘能力はバリバリに高いのに心根の部分ではまだまだ小さい駄々っ子で、二人で鶴見中尉の愛情を取り合っているように見えるのだ。

宇佐美と尾形の意外な繋がりがあったと明らかになった。尾形が造反組を煽っていたのもバレていたし。一人で杉元たちに接近したのも鶴見中尉のお褒めがほしかったからなのかな?
尾形が想像以上に猫ちゃんで、宇佐美はやっぱりどこかネジが外れていて、二人の邂逅が楽しみだ。

 

 

 

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第242話 交互に

森が将棋倒しになる中に居合わせてしまった杉元とアシリパさん。北海道の伐採方法は、先に切り目を入れ風上の一本を倒し将棋倒しの要領で多くの大木を倒す手法だった。家が林業だったという海賊房太郎は落ち着いた様子だが、白石は杉元・アシリパさんが押し潰されていないかが心配でならない。必死に名前を呼ぶ白石。それを見て海賊は言う、そんなに必死に探すのはやはりあの二人、特に娘のほうが金塊への勝算なんだろう?と。たしかにそうだがそれだけではない白石は声の限り二人を呼び探し続ける。

一方杉元とアシリパさんは倒木に囲まれ脱出もままならない状態だった。アシリパさんの額からは血が流れ、いつもの狩猟時に見せる冷静さは欠片も見当たらない。弱った様子のアシリパさんに杉元は隣に寝そべりながら、金塊を探す目的を語り始めた。
梅ちゃんのこと、杉元の家族の結核のこと、寅次のこと。そして最後に、金塊を見つけたとしてもアシリパさんが納得できるまで相棒のままでいるつもりであること。初めて聞く杉元の金塊争奪の動機をアシリパさんがどう思ったかはわからないが、少なくとも「アシリパさんが納得できるまで相棒のままでいる」というのはアシリパさんの聞きたい答えではなかった。

何であれここから出なければいけないが、倒木の隙間は非常に狭く、折り重なった木々は内側からはびくともしない。でも白石なら関節を自在に操り隙間を縫って見つけ出してくれるに違いない。白石は、杉元との約束を守り樺太で自らの意思でアシリパさんのそばにいることを選んだ。だから杉元と同じように、アシリパさんが暗号を解く鍵を思い出したことを伝えてもいいのでは。そう杉元が言えば、本当はもっと早く教えてもよかった、と応じるアシリパさん。その会話を聞いて涙を流す、倒木の隙間から顔を覗かせた白石。樺太の旅が無駄でなくてよかったという喜びの涙だ。
頭巾ちゃんことヴァシリが杉元とアシリパさんが森にいるのを見ていたので二人の場所はすぐに特定できた。海賊が助けを呼び、二人はようやく木の下から出られた。

切り倒され見晴らしの良くなった大地。人口増加によって木を切り倒して土地を確保せざるを得ないのは札幌でも同じだった。丸裸になった地面を見てアシリパさんは考える。アイヌも生活の中で木を倒し獣を狩るが、必ず少し残しておく。山へ返し、次の季節には増えてまた生活の糧になるから。豊かに暮らすのは悪いことではない、取りすぎなければいいのだ。
とうにアシリパさんがのっぺら坊の娘だと感づいていた海賊に、支笏湖で拾った金貨をアシリパさんへ渡すよう白石が促した。掘られた文様はアイヌの文様に似ていて、「交互に」「交差」を意味する。文様がその意味通りなら、のっぺら坊が作ったと思われる金貨は、各地のアイヌが各々の土地の砂金を集め合った記念に作ったという推測ができる。ウイルクが目指したであろう「交差」は北海道アイヌの他にもある。帝政ロシアに脅かされる極東の少数民族だ。支笏湖に沈むときまで持っていたということは、これら少数民族が一丸となり自分たちの存在を守ろう、という意思は変わっていなかった、ということの表れでもある。そんな人がアイヌを殺すはずがない…確信を得たアシリパさんは、アイヌのためにすべきこともわかってきたのだった。

 

過去をやり直せたら。

今週……ユクの腹の中と同じ構図!!
ユクの腹の中で杉元とアシリパさんが二人で大雪山の夜を明かしたあの名シーン。杉元の好物干し柿から故郷を思い出し涙する杉元と、杉元の心の琴線に触れたとは気付いていない様子のアシリパさんの屈託のなさが印象的なユクの腹の中。それとあえて似せているのでしょうね。
でも今度はお互いの立場が逆になっている。杉元は覚悟を決めたかのように堂々と故郷と梅ちゃんについて話しているし、一方のアシリパさんは自分と杉元との関係を思いやや感傷的になっていそう。でもアシリパさんの心の機微に気付いていない様子の杉元。ユクの腹の中とは逆転している…。

アシリパさんの聞きたかった答えは、きっと杉元がこれからもアシリパさんのそばにいてくれるか?ということだったのではと思う。それに近い答えが今回杉元の言う「納得できるまで相棒でいる」ということになるけど、それは確かに条件(アシリパさんがのっぺら坊事件に納得できるまで)が設けられており、おそらくアシリパさんの理想である「ずっと一緒にいる」とは違うんだろうな。
アシリパさんはそばにいてくれる人を欲しているんだろう。先週も少し触れたけど、ウイルクといいレタラといい、アシリパさんの人格形成に大きく寄与した存在は、まだアシリパさん側にとっては必要というタイミングでアシリパさんのそばを離れてしまった。言わばウイルクもレタラも家族だったのに。だからアシリパさんは家族がほしいのだろうなぁと思う。フチもいるけれど、ずっとおばあちゃんと暮らせるわけではないよね。

アシリパさん、アイヌのためにすべきことって何!?民族が団結しようというウイルクの意志を引き継ぎ、森林伐採の様子を見て次代のために残しておくという旨のことを語り、そこから導き出される「アイヌのためにすべきこと」って…?
言い方は悪いかもしれないけど…血を残すため、そして和人(あるいは帝政ロシア)と一つになるため、民族という垣根を取っ払いお互いの国の元へ積極的に入り交わっていくということ?北海道独立の土方さんや戦争を起こし対立を深めようとしてる鶴見中尉とはまったく相容れなさそうな道ね。ただの妄想だけれど、間違いなく戦う道ではないでしょうね、これまでの旅路でのアシリパさんの発言の数々を思い返してみれば。
勘が悪く読み込みも浅い私には正直わからない…なので来週を楽しみに待ってる!!けど休載かぁ…。

 

 

 

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第241話 消えたカムイ

エゾヤマザクラの花が咲き、季節は春。狩猟シーズン到来。アシリパさん杉元にサクラやオンコの木などがいかにアイヌの生活に欠かせないかを説明して回る。
その様子を見る白石海賊房太郎。海賊房太郎は杉元とアシリパさんが片時も離れないことに何かを感じ白石に揺さぶりをかけていた。白石の人となりを知る海賊からすれば第七師団土方歳三を敵に回しても白石が杉元たちと一緒にいることには何か理由があるのだろうと思わざるを得ない。のっぺら坊と同じ色の目だな。アシリパさんには金塊にたどり着く決定打があるのだろうと踏んでいる海賊。それをのらりくらりとかわす白石。海賊は白石にだけあることを話す。支笏湖で彼が引き揚げたのは砂金だけではなかった。金貨のようなもの。その面には何かの模様が凹凸で表現されているが、それが網走監獄の二十四囚人の入れ墨に似ている…。

エゾモモンガ=アイヌ語でアッカムイを見つけたアシリパさんは父ウイルクのことを思い出していた。ホロケウオシコニというのが、アシリパさんの母がつけたウイルクのアイヌ名。キロランケの命を懸けた樺太への旅で思い出した金塊の暗号
ウイルクとキロランケ、アシリパを幼い頃から知る身内が二人もこの金塊争奪戦の中で命を落とした。二人の死の理由は金塊にたどり着けばわかるかもしれない――でも多くの人間の運命を狂わせたのが金塊だ。見つけてもさらなる混沌を招くだろう。それに今のアシリパさんには杉元がいる。杉元や大切な人たちを守るためにはこのまま暗号を解読しないのが一番いいのかもしれない。そうすれば鶴見中尉もアシリパさんや杉元に手出しできない。
アシリパさんは杉元と出会ってからずっと頭にあっただろう問いを口にする。金塊を見つけたら杉元は私から離れていくかもしれないという不安は心に押し込めたまま。
杉元は金塊を見つけられたらどうするんだ?

その問いに対する答えは返ってこない。
杉元が木の根元を指さした。不自然に真っ直ぐな切り込みが入っているのだ。それも一本ではなく二人の周囲一帯の木すべてに。異常な事態に急ぎその場を離れようとするが、どこかで木の倒れる音が聞こえ、それが切り込みを入れられた隣の木を押し倒す。将棋倒しになり杉元とアシリパさんに迫る森。一体この現象は何なのか。

 

過去をやり直せたら。

アシリパさんよくぞ聞いてくれた!!という回。
杉元の弾除けになるというのは杉元を恩人として大切にしたい気持ちはもちろんあると思う。でも離れていってしまうんだろう→寂しいな行ってほしくないな、と思うからこそ出てきた「好きだった人と暮らす」という言葉のチョイスに滲む恋心…。このページだけ恋愛漫画みたい。ロマンチックすぎない?

アシリパさんのこの質問は、やり直しをするのかどうか、という意味にも聞こえる。「故郷に戻って」「好きだった人と」暮らすって、病気や戦争で失われたかつての杉元青年が送るはずだった生活のようだから。もし結核がなければ、戦争に行ってなければ。杉元は梅ちゃんと暮らしていたんだろう。紆余曲折あったけどそれが形を変えて叶いそうな状況なのだ。
言うなれば杉元の故郷と梅ちゃんの存在は、過去。過去に掴めなかったものを今また手にするチャンスが到来した。
それに対してアシリパさんやアイヌは現在だと私は思う。未来とまで大仰な響きでは呼べないけれど、今現在の杉元があるのはアシリパさんはじめアイヌの皆さんのおかげだ。家族の病気や戦争で戻る場所をなくしていた杉元を、自分たちの家へ招き入れ狩りの手ほどきをし一緒に食卓を囲んだのは誰だろう。梅ちゃんではないでしょう。恩人だからこれからも一緒にいないと、というわけではないけど、杉元がこれからの人生の中で一緒にいる時間を長く取るべきなのは、梅ちゃん<アシリパさんだと思うなー。

アシリパさんもけっこう極端で、故郷の梅ちゃん(自分から離れていく)か北海道のアシリパさん(ずっとそばにいる)かを選ばないといけないみたいな頭になってるけども、どちらも取っていいんだって!と老婆心で言いたい。梅ちゃんの目を治してから北海道へ戻ってくるという選択肢もあるのよ…。

杉元が離れていく想像をしただけで、少女漫画と見紛うようなモノローグ+切なげな表情の展開になってしまうアシリパさんにも、わかる部分はある。今週出てきたホロケウカムイ、消えてしまったカムイ。アシリパさんのそばからすでに二体のホロケウカムイが消えているから。ウイルクレタラ。そばにいてほしかったのに消えてしまったホロケウカムイたちのことと、アシリパさんが立派に狩りをしていてもまだまだ家族の愛情を切望するくらい幼いことを考えれば、ここまで親しくなった杉元が離れてしまうのは寂しいよね…。

ホロケウカムイ=消えてしまったカムイ、ウイルクの名前ホロケウオシコニが金塊の暗号を解く鍵。
これらから、金塊はもう消えてしまってありませんというのっぺら坊からのメッセージだ、という変な展開は想像した。(絶対にない展開)

ちなみにブログ冒頭の画像は無料配布されているものを使わせていただいているのだけど、この狼の画像はとてもお気に入り。ゴールデンカムイって感じがすごくするから。森に佇む二頭の白い狼。ウイルクとアシリパさん、レタラとアシリパさん、杉元とアシリパさん。どのコンビでも素敵なのだけど、今週の話を読むとウイルクとレタラに見えるね。この二体の狼は、アシリパさんを今でも見守っているような気がする。

 

 

 

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