ゴールデンカムイ第284話感想

こんにちは、うたげです。

ゴールデンカムイ最新話の感想です。
ネタバレ含むうえに一ファン個人の想像・妄想・曲解だらけなので苦手な方は気を付けてください。
小難しい考察はしない・できないので、気楽に読んでくれたら嬉しい。

第284話 私たちのカムイ

午前三時半、五稜郭の兵糧庫の地面を掘り続け、ついに大きな箱が出てきた。中には厳重に防水対策をされた冊子が入っていた。
それは土地の権利書。かつて箱館につくられた蝦夷共和国の政府からアイヌが未開拓の北海道の地を金塊で買う契約を交わしていたのだ。なおこのとき土方歳三は官軍との戦いでそれを知るどころではなかった。
しかし金塊を受け渡す前に蝦夷共和国は消滅。榎本武揚が明治政府にこのアイヌとの土地の契約を引き継ぐよう働きかけてくれたおかげで、この契約は今でも有効なようだった。
アシリパさんは金塊の使い道をずっと考えていた。森のある土地を買い占める。戦わずにアイヌを守る道はこれ以外にない、と。しかしそれは昔のアイヌたちによってすでに達成されていた。災厄をもたらすゴールデンカムイは、アイヌが必要とするカムイになっていたのだった。
アイヌが北海道の土地の権利を有しているということは、つまり、金塊はすでに明治政府に支払われている、ということを意味していた。金塊を夢見て奔走していたアシリパさん以外は拍子抜けしてしまう。
だがそこで土方歳三があることに気付く。土地の権利の購入に使われた金塊は二万貫あると言われているうちの一万貫のみ。残り一万貫は果たしてどこにあるのか?

そのとき五稜郭の稜堡の一角で爆発が起こる。夜明けの到来と共に起こった爆発はにこやかに朝の挨拶をする鶴見中尉の先制攻撃なのだろうか。

 

ゴールデンカムイ!!

ここのところ毎回胸が熱くなる展開すぎます…!
表題でもあり作中で誰もが求めた金塊こと黄金のカムイ、ゴールデンカムイ。多くの人間を巻き込み命を奪ってきたこのカムイは災厄をもたらす存在としてまるで忌避されているかのようでしたが、実は遥か昔に土地の権利書に化けて今アシリパさんが必要とする存在になってくれていた。悪いのはこのカムイではなくそれを求める人間のほうだったんですねぇ。
アシリパさんが考え得る最良の道を過去の人たちがすでに実践していたという、時を越えた意志の共有。そして登場人物たちを取り囲み不幸なほうへ不幸なほうへ誘っていたかに見えた存在が、実は未来を切り開いてくれる手ほどきをしてくれていたという変わり身。今回のこの二点はアツすぎますね。それと同時に、金塊がなくてよかった…と思いました。だって金塊があったらみんな欲望丸出しで、今度は今味方として組んでいる杉元たちと土方一派の争いも始まるわけでしょう?そんなのは見たくないよ…。

残り一万貫の存在や鶴見中尉の真の狙いなど不穏な要素はまだまだありますが、黄金のカムイがアイヌが愛する北海道の大地そのものになっていて、もう素直に感動しました。ありがとう、野田先生。こんなに素敵な展開、読み始めた当初はまったく想像していなかった…果ての果てまで殺し合うものかと思ってました。。

さて、一万貫が土地の購入に使われたとなると、気になるのは鶴見中尉の目的ですよね。金塊の捜索を命じた奥田中将はもしかしたら本当に知らなかったかもしれないですが、鶴見中尉ほどの人が明治政府がすでに金塊を受け取っていた(ハッキリ受け渡したとは描かれていないですが少なくとも一万貫の使い道はすでに決まっていた)事実を知らないでしょうか…。
残り一万貫をめぐっての争奪戦だった?それとも権利書を奪い取るため?権利書を無条件譲渡させるためにここまで手を尽くし杉元たちを追い詰めてきたのですかね?
鶴見中尉がほしいのは(もちろん金塊もあるに越したことはないでしょうが)北海道の広大な土地だとすると、権利を譲渡させるという目的はわりと理にかなっている気がします。一番初めに語られた鶴見中尉の目的は、軍事工場を北海道に作り軍事産業で経済活動をおこなうことでしたからね。記憶があやふやなので表現はアレかもしれないですが。
本当に鶴見中尉は果たしてどこまで知っているのでしょうか…。気になりますがしばらく休載なんですよね!早く続きが読みたい…!

ちなみに今回、地名は「函館」ですが蝦夷共和国ができたのは「箱館」となっています。明治期に入って蝦夷から北海道へと呼び名が変わった際に「はこだて」の漢字も変わったようですね。理由は諸説あるらしく少し調べただけではわかりませんでしたが、同じく漢字の変わった「大坂→大阪」と同じく時の中央権力への抵抗が起きた土地ですので、そういう理由かなぁと思うと少しだけロマンを感じます…。

 

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第283話 神の刺青

五稜郭は稜堡式城郭といい戦いに特化した形状をしていた。星形の先端部分を稜堡といい、そこに兵を配置することで死角をなくすことができる。稜堡に配置する兵はソフィアたちパルチザンも戦力として考え、あとは彼らが到着するまでに塹壕を準備せねばならない。

杉元や白石にとってソフィアは、極東ロシア少数民族のために戦っていたはずなので信用できるかどうかわからない。土方歳三は手を組まねば鶴見中尉に全て奪われるためやむなしという考えだが、アシリパさんは信用できると言う。
函館へ向かう汽車の中、パルチザンたちはリーダーソフィアの演説を聞いていた。同志ウイルクが思い描いた北海道の多民族国家で足元を固め、ユルバルス(キロランケ)が思い描いた極東連邦国家へと広げていく。二人の仲間の遺志をどちらも継ぐとソフィアは決心したのだ。その様子を聞いているのかいないのか、同じ汽車の中で目を閉じている尾形の姿もそこにあった。
一方、札幌停車場では鶴見中尉が運転士に向け何か協力を要請しているようだった。また同じく函館へ向かうであろう汽車の貨物車両にヴァシリが乗り込んだ。金塊争奪戦の関係者たちが続々と函館に集まってくる。

杉元たちは土方歳三の指示で五稜郭の中の兵糧庫を掘り返していた。他の建物や堀など金塊を隠した可能性のある場所は多々ある中でなぜこの兵糧庫なのか。その理由は、土方歳三だけに彫られた「神」の文字の刺青。暗号解読の際にその「神」の文字が兵糧庫に重なっていたからだった。

 

函館全面戦争秒読み

ついに土方さんの刺青が…!お年のわりに引き締まった肉体でドキドキしちゃう。。
「神」、カムイを意味する文字だなんて、間違いなく特別な意味がありますよね。絶対に土方さんにしか彫られていない。土方さんとウイルクの間の信頼関係がどのようなものかいまひとつわかりませんが、ウイルクは土方さんを信用してこの文字を託したのでしょうね。作品の題名にもなっているカムイを意味する漢字が終盤で重要な意味を担ってくる展開はアツすぎます!
そしてこの「神」の文字は鶴見中尉は知らないはず。土方さんの刺青はおそらく今回脱ぐまで本人くらいしか知らなかったはずですからね。この点では土方さんのほうが一歩リードしていますね。あとは五稜郭籠城戦を乗り切れば…というところですが。鶴見中尉が五稜郭の性能を知らないはずはないし何かしら対策してくるだろうなぁ。砲弾なんて撃ち込まれたら生身の兵士なんてひとたまりもないし。

そしてやっぱりいた尾形!どこでどう嗅ぎ付けたのかわかりませんが120名のパルチザンと一緒に汽車に乗って来るとは…。これはもしかしてパルチザンに紛れて五稜郭に入ってくるパターンありますかね?
そして鶴見中尉は汽車の運転士に何を依頼した(脅迫した)のか…函館全面戦争が楽しみすぎます!

………楽しみなんですが。彼らが走り抜けたあとの歴史を生きる者としてはやはり複雑な気持ちになるのが、今回のソフィアの言葉でしたね。
史実通りの結果となるなら北海道は独立せず多民族国家にもならず、極東連邦もできず…形としては鶴見中尉が描いた、日本国存続というルートになってしまうんですよね。
もちろん結果が全てではないのでそこに至るまでの金塊をめぐる人々の戦いそのものが楽しみたいので、結果自体はいいのですけれど。
でも、ウイルクもキロランケも命を落とし、おそらく多くのパルチザンも五稜郭で命を落とすのだろうと思うと……命を懸けた結果が夢破れてなのだと思うと……ここから先の展開、おそらく胸が締め付けられる描写が多いのだろうなーと覚悟する次第です。
一体、ゴールデンカムイとは何のでしょうね?手にするのは誰?手に入れた者の望みはかなうのか?彼らは金塊争奪戦後どういう人生を歩む?気になることは尽きないですねぇ。

 

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第282話 一刻

五稜郭近辺にいた第七師団の兵士3名を始末したが、持っていた電報から鶴見中尉も暗号を解き函館へ向かっていることを知る一行。暗号解読に成功したというアドバンテージがなくなり目に見えて焦る白石。果たして函館山のロシア領事館から運ばれた金塊は五稜郭の具体的にどこに隠されているのか。見つけるより前に鶴見中尉が追い付いてしまう可能性が高い。また、金塊を見つけられたとして大量の金をどう運ぶのかという問題もあった。そもそも金塊を発見してすぐに持って逃げなければならない事態なぞ誰も想定していなかったのだ。

そこで杉元は五稜郭での籠城戦を提案する。土方歳三は戦闘を想定してすでに手を打っていた。ソフィアを筆頭としたゲリラ勢力を函館に向かわせているのだ。そして土方歳三は五稜郭の戦闘経験があった。

 

函館山と五稜郭

先週までちょっと勘違いしていましたね私。。ロシア領事館と五稜郭の位置がイコールといいますが五稜郭の中に領事館があるのかと思ってました。。五稜郭に行ったこともあるはずなのにこの勘違い…。
一旦函館山のロシア領事館に運んだ金塊を、ウイルクたちが五稜郭へ運んだのですね。アシリパさんの言う通り何往復もして。

そして金塊は本当に五稜郭にあるので間違いない様子。鶴見中尉の電報が物語っていますね。ということは音之進誘拐事件のときには鶴見中尉は金塊には本当に気付かなかったわけか…。
まぁこちらはまだ五稜郭へ鶴見中尉が向かう理由が語られていないので可能性の余地は残されていますが、五稜郭が最終決戦の地になるのは間違いなさそうですね。史実において土方歳三最期の地となった五稜郭でこのゴールデンカムイをめぐる物語が幕を閉じようとしていると思うと……胸に迫ってくるものがありますね。

 

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第281話 函館のひと

函館に到着した杉元・アシリパさん・白石・土方歳三・永倉新八・牛山・都丹・門倉・キラウシ・夏太郎は真っ先に五稜郭――刺青人皮の暗号解読結果が示す場所へやって来た。
五稜郭は元は江戸幕府の役所であり土方歳三はじめ幕軍が官軍と戦った最後の場所。そして明治30年までは陸軍練兵場があった。広い五稜郭の中でも目指すべき場所は決まっていた。海賊房太郎がアイヌの老人から得、今際の際に白石に伝えた場所、それは「函館山のロシア領事館」だった。

ウイルクたち七人のアイヌがまだ仲間割れを起こす前、キムシプの案内で七人はここ函館のロシア領事館へやって来ていた。建物内に運ぶときにいたというキムシプの証言を基に、図書室に作られた壁を破壊し地下室へ歩を進める。
そのとき建物の外に誰かがいることに仲間の一人が気付いた。扉を破り中へ入ってきた人物は鯉登少尉の父だった。音之進少年誘拐事件の折にもこのロシア領事館が舞台となっていたのだった。そしてウイルクたちには気付いていない様子で鯉登少尉の父は領事館を立ち去る。
再び地下室の探索へ戻る七人のアイヌたち。地下室に置かれているものに灯りを近づけるが、照らされたそれを見たウイルクの表情には驚きや焦りが見て取れた。キムシプは意味深に「ウェンカムイにみんな殺された」と言う。

話は杉元たちの時代に戻る。暗号解読の際に土方一派には海賊房太郎がもたらした函館という具体的な地名があったため五稜郭にたどり着くのが早かった。鶴見中尉が果たして暗号を解読できたのか、できたとして最速で移動した土方一派に追いつけるのか――そう高を括る白石の背後に第27聯隊の肩章をつけた兵士らが迫っていた。

 

またもニアミス

函館のロシア領事館って聞き覚えがあるなと思ったら。音之進くん誘拐事件でたしかに出てきましたね。ちょっと今手元に既刊がないので確認できずなんですが…犯人からかかってきた電話の発信源がここだったような??
細かいことはおいておくとしてもすごいニアミス!あの誘拐事件のあと鶴見中尉はロシア領事館を調べたりはしなかったんでしょうか…調べてたらとっくに金塊(かどうかも今回のウイルクの反応ではあやしいけれど…)を手に入れているし暗号解読する必要もないですけど。ていうかそれだと物語が始まらないな…。
でもこのニアミスは一体何を意味するのでしょう?何の意味もなく同じ場所、しかも暗号解読結果の重要な建物を二度も出すわけがないし、ここで同時刻にこの事件がありましたよということを今回の話で示す必要もないし…やはり鶴見中尉側はすでに何かこの時点で情報を得ていたのでは?今回のニアミス描写はそれを仄めかしているのでは?と私は思います。

さて、函館のロシア領事館地下室に隠されていたのは、金塊なんでしょうか?ウイルクの反応を見る限りそうではなさそうな可能性もあります。もしくは金塊は金塊だけども明らかに誰かが手をつけた形跡があるとか。いずれにせよウイルクだけが異変に気付いているようなので金塊があるにはあるのかしら。でも何か事前に得ていた情報と違う部分がある…といったところでしょうか。

鶴見中尉がウイルクたち存命時にすでに函館のロシア領事館にアクセスしていたことやウイルクが金塊に違和感を覚えたことを基に想像すると、現在の鶴見中尉は函館ではない場所へ向かっていて、函館にいる兵士は第七師団のほんの一握りだけ…ということではないでしょうか。肝心の函館ではない場所、というのが皆目見当もつかないのですが、星形から連想される別の場所が鶴見中尉には心当たりとしてあるのかも…。海賊が掴んできた情報自体がミスリードの可能性だってありますからね。

都丹の言う通り、金塊は一体どこから来たのか…本当に金”塊”と呼べるほどの量が北海道で採れたのか…まだまだ謎は尽きないですね。

 

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第280話 決意の号砲

鶴見中尉は自らが撃った菊田にある紙切れを見せた。それは菊田が中央とやり取りしていた手紙だった。札幌の中島遊園地のベンチでタバコに見せかけ残したのだが(デッド・ドロップ)、通りすがった男性に拾われ、そしてその男性はさらに宇佐美にその手紙を渡していたのだった。
中央への情報の受け渡しの際に菊田の生存が確認できなければいよいよ中央が鶴見中尉を止めにかかるはず。それを理解したうえで鶴見中尉は菊田を撃ち、必ずや金塊を手に入れるという決意を示したのだ。
そのとき菊田が出した名は、中央ではなくノラ坊。ノラ坊が必ず鶴見中尉を倒すはずだ、と言い、胸元から拳銃を取り出すが、撃つ前に月島軍曹によって撃たれ菊田は絶命した。

一方の杉元たちは汽車の中で暗号の解読に成功していた。アシリパさんの言ったように、他の線と交わらず突っ切っている線が現れ、その形は五稜郭を示していた。
刺青は全て集めなくても解読が可能であることは土方歳三陣営も第七師団も理解していたが、そのおかげで両陣営がほぼ同時に解読するという結果になっていた。
汽車はもうじき函館に到着する。

 

役目を終えたら

菊田さんはやっぱりあのカーチェイスのときに杉元をかばったんですねぇ…。拳銃を持っていたのにもかかわらず蹴り落すに留めたのはどうしても殺したくなかったからなんですね。
実際に接していたのはお見合い大作戦の短い間だけだったのに、鶴見中尉を倒すのはノラ坊だとまで言える杉元への信頼感。菊田にとって杉元は、弟の代わりに許しをくれた人で、弟のようにかわいい存在で、でも不死身と呼ばれるほど強く頼れる男なんでしょう。このほんの短時間で、中央ではなく杉元を信頼しあとを任せてしまうほどの菊田からの思いの強さ。杉元も、菊田さん相手なら故郷から出たばかりの純粋で素直な頃に心が戻っていそうで、兄弟みたいな二人でしたね。そんな人すらも黄金のカムイのせいで失ってしまいましたが…。

月島軍曹は心の底から鶴見中尉を信じているというような具合ですね。やや疑いのまなざしをまだ持っている鯉登少尉とは違う…。かつて鶴見中尉に対して妄信であった鯉登少尉と、尽忠であった月島軍曹が入れ替わったように見えます。鯉登少尉は今回一コマのみの登場ですが、その表情からはアシリパさんのたった一言の情報だけで一人で暗号を解読してしまった鶴見中尉の恐ろしさを目の当たりにしておののいているように見えるような。この二人の行き着く先はどこなのでしょうね…。特に鯉登少尉の今後の出方は楽しみです。

そしてついに金塊の隠し場所が判明!まさかまさかの五稜郭。
北海道の有名どころはたいてい出ている作品なので、いつ函館が出るかなー土方さんもいるし五稜郭はアツそうだなーと思ってましたが。おそらく五稜郭が最終決戦の場所になるのでしょうね。土方さんが史実では最後に戦った場所…。そこで彼が何を思うか、全員が何を見つけるのか、非常に楽しみです。

本当にもうじきこの作品の連載は終わってしまうのですね……。
さて今頃尾形はどこにいるのかな?解読結果を盗み聞きしているかな?

 

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第279話 俺の手柄

菊田が杉元に貸した軍帽は日清戦争で病死した菊田の弟・藤次郎のものだった。飯を食うために陸軍へ弟を誘った結果、苦しんで死なせてしまった――「地獄行の特等席」という発言も合わさり、菊田が弟のことで自らを責めているのは明らかだった。
そんな菊田に対し杉元は、陸軍に入るきっかけは菊田だが最後は自分で決める、だからもう自分を許してはどうか、と声をかける。その杉元の姿に菊田は弟を重ねていた。観念した様子の菊田は杉元に軍帽を譲り、二人は札幌の教会近くで再会するまでしばし別れたのだった。

その後、陸軍第一師団長・奥田秀山(ヒデノブ)中将に呼び出された菊田は、第七師団への転属を言い渡される。鶴見中尉の監視と報告の任務を背負うのだ。そしてその部屋には尾形もいた。同じく鶴見中尉の監視をする者だが共倒れを防ぐためにお互いの邪魔をせず動くように、と奥田中将は菊田へ説明するのだった。

二〇三高地で頭を撃たれたはずの花沢勇作が目を開くところで杉元の夢は終わる。現実は汽車の中で、アシリパさんと土方歳三が中心となり暗号の解読を進めていた。
「ホロケウオシコニ」のいずれかの音を持つ漢字が四文字以上入っている皮を重ねると文字の間隔が合う、というところまで解読は進んでいた。もとは漢字がほぼ読めなかったであろうアシリパさんに漢字を用いた暗号を残したウイルクの真意は、「和人と協力せよ」なのか「和人を利用せよ」なのか。
そしてアシリパさんは海賊房太郎が渡した、ウイルクが作り支笏湖で落とした金貨を見て、「どの線にも交わらない一本の線を表す文様」が刺青にも共通していることを見つける。

一方の第七師団は、菊田が有古を届けた病院から鶴見中尉たちの待つ教会へ戻ってきていた。ノラ坊こと杉元と再会できた喜びを噛み締めながら。不死身の杉元の日露戦争における活躍は目覚ましく、陸軍入りのきっかけを作った菊田としては誇らしかった。
そして教会内では鶴見中尉が暗号を解くことに成功していた。ついに金塊にたどり着くぞとざわつく他の面々を、まだまだこれからだとたしなめたかと思いきや、鶴見中尉は菊田の胸元に二発、発砲した。

 

役目を終えたら

やっぱり尾形も中央スパイだった………
どういういきさつでそうなったかはよくわかりませんが、菊田とは敵同士ではないにせよ協力する味方でもないといったかなり淡泊な間柄だったのですね。この関係性が、あの札幌麦酒工場ですれ違った場面に凝縮されていて、非常に良いです…味わい深い…。
尾形ももとは第一師団にいたのですかね?茨城から東京の第一師団へ入団?けど鶴見中尉の信頼もかなり得ていたようだったしいきなり第七師団に入った線のほうが濃厚かなと思うのですが…それだと奥田中将とのパイプはいつ頃できたのですかね。
尾形の出自を奥田中将が知っていたら、派閥争いにおいて利用していない手はないので、たぶん奥田中将は知らなかったのかな…でも第七師団ではみんな知っているようだったし奥田中将の耳に入っていないはずはないし…当時は妾の子はそれなりによくあることだったのですかねぇ。でも妾の子はよくて本妻との子を財閥に入れようとするのが恥というのはちょっとよくわかりません…私の現代の感覚で読んではいけないってことなんでしょうか。

そして鶴見中尉はやはり菊田が中央のスパイであることに気付いていたのでしょうね。まぁもともと第一師団にいた人間が勇作さんの件…正確に言うと奥田中将から金塊の件を聞かされて以降、急に転属してきたらまずあやしいですもんね。それ以外にも色々確証を得るに十分なことが色々あったのでしょうが。
それにしてもこのタイミングまで泳がせていたのは、今までは中央に報告されても特に障壁にならないという自信があったからなのですかねー。でも実際に金塊の在り処が割れたらさすがに中央にそれを知られるわけにもいかないので始末した、というところでしょうか。
弟分として短い期間ながら可愛がっていた杉元が生きていたことを知り、更には杉元の回想(夢)の中で弟を重ね合わせた杉元から許しももらえて…死亡フラグが立ちまくっている今回の菊田。杉元と殺し合う未来はなくなったし、忠誠を誓っている相手も特にいないでしょうし(中央には仕方なく、でしょう)、この世に未練はもうないのではないかな…と思ってしまいました。きっと地上での役目を終えたのでしょう…。地獄行の特等席だなんて言わず、弟さんの待つ天国で兄弟仲良くいてほしいものです。

杉元の回想の最後については、勇作さんが二〇三高地で撃たれたことを杉元は知っていたのですかね?特に明確に今まで言及されていないような気がしますが、私の記憶違い?
それはともかくとして、最後、脳天を撃ち抜かれて間違いなく即死したはずの勇作さんが目を見開きこちらを見る、という、おそらく幻覚。そんな幻覚を見るだなんて杉元は罪の意識があるのでしょうね…。尾形と同じじゃん。尾形は撃たれた勇作さんが倒れる前にこちらを振り向いた幻覚を見て、杉元は倒れた勇作さんが目を開いて見つめてくる幻覚を見て。二人とも似た者同士。そして杉元はけっこうたちが悪い。菊田には、自分を責めるなというようなことを言っておきながら、自分は勇作さんの別の道があるのを知っていたのに戦場へ向かわせて死なせてしまった、とでも思っているのでしょうか?
菊田のように堂々と自分ができたこと・したことを誇りに思いそれを拠り所にしていてほしいですね。杉元は寅次のことも梅ちゃんのことも勇作さんのことも、自分が関わった人間のことを思いすぎていて…優しさの表れでもあるとは思いますが、そんなに自分を責めて自分の心を痛めつけて楽しいか?と聞きたいくらいです。この優しすぎる男は金塊争奪戦の最後に少しでも救われるのですかねぇ。

 

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第278話 花枝子お嬢様とふりちんノラ坊

花枝子を鶴見中尉・月島軍曹・尾形・宇佐美から守るため全裸で戦う杉元。ようやく現場に菊田も駆け付ける。鶴見中尉は花枝子お嬢様と一緒にいる男が花沢勇作ではないことに気付くが、杉元の暴れっぷりはまったく衰えず。仕方なく月島軍曹が発砲するが、寸でのところで割って入った菊田により杉元は被弾を免れ、杉元・花枝子・菊田の三名は山村ハマ子の活躍もありなんとか帝国ホテルの一室から脱することができた。
ホテルの外まで逃げる途中に花沢勇作本人と出くわしてしまうが、本来見合いをするはずだった男をかわして花枝子は杉元の手を引き進む。

ようやくホテルから離れた往来まで出てこられたが、そこで花枝子は杉元と結婚したいと言い出す。それに対し杉元は自分は陸軍に入るのだと断る。さらに山村ハマ子が三人に追いつき、杉元と花枝子の結婚なぞ花枝子の家が絶対に許さないだろうと花枝子を諭す。花枝子は行き遅れになりつつあるのが悔しくて素敵な男性を結婚相手として見つけ自分の優秀さを証明したかったのだった。山村ハマ子の言葉で目が覚めた花枝子は杉元と深いお辞儀を交わし、去っていった。

花枝子が去ったあと、菊田は杉元に花沢勇作のことは忘れろ、と伝える。そして陸軍に入るという杉元の言葉を本気と受け取っておらず、杉元に貸した弟の軍帽を返すように言う。

 

自分の価値を知る人がいるということ

今回のMVPは間違いなく山村ハマ子でしょう!!名家の女中として暮らしていてこの言葉をお嬢様にかけられるなんて素晴らしい。きっとお嬢様の素晴らしさとそれが評価されない世の中への悔しさを一番近くで見てきたからこそ出てきた言葉なのでしょうね。
ゴールデンカムイは明治時代の日本が舞台ですが時折こうして現代にも通ずる価値観を持った人たちが登場するのが面白いですよね。殺伐とした殺し合いの中でホッとできるエピソードはありがたいです。きっと彼らは当時からしたら浮いていたのでしょうけど、私も行き遅れなんて価値観はクソ喰らえだと思いますし、杉元と同様に数回の見合いだけで人生のパートナーを決めることに違和感があります。女性は結婚の道具みたいな見方だったんですねぇ。
花枝子お嬢様は自分を身を挺して守ってくれた杉元に惚れて、素敵な恋をしたなぁ…と今回のお見合い替え玉大作戦はホッコリ温かい気持ちになりました。男性を見る目がありますよ彼女は。のちに財界で「女帝」と呼ばれるほどの大活躍を見せる花枝子お嬢様ですが、日露戦争での活躍も考えるに、当時主流だった「どんな生まれで誰と結婚するか」という価値観ではなく「自分がどんな人間で何を成すか」という価値観で生きていた、非常に先進的な女性だったのでしょうね。この価値観は、選択を他人任せにせず自分の心に素直になるというゴールデンカムイ全体を貫くテーマとも共通しているものがありますね!

菊田はなぜ杉元の陸軍入りを拒むような素振りを見せるのでしょうか?弟さんのこともあって軍隊に入るのが幸せとは限らないと思っているから?自分が引き込んだせいで一人の若者の未来を戦争に捧げさせる罪悪感があるから?
地獄行の特等席」という決め台詞も菊田がここで杉元に言うものだったのですね。杉元の回想のスタート地点です。まさか下半身が丸出しだったとは思いませんでしたが…。

それにしても勇作さんの替え玉の次は花沢夫妻の替え玉って、菊田さんには作戦の相談ができる人がいたほうがよかったんじゃないかな…。

 

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第277話 花沢勇作童貞防衛作戦

花沢勇作の見合いの件は鶴見中尉(当時は少尉)の耳にも入った。第七師団所属のはずの鶴見中尉が第一師団長・奥田秀山(ヒデノブ)中将に呼び出されていた。話の発端はアイヌの金塊。
中央のため金塊を見つけてほしい、第七師団長の花沢閣下には貸しがあり自由に動けるので集めた情報は上官たちを飛び越え逐一私へ報告してほしい――というのが奥田中将の依頼だった。花沢閣下への貸しというのが、今回杉元も関わっている勇作さんの見合いの件だ。
しかしながら奥田中将の会話からうかがえる事情はもう少し複雑なようだった。
まず花沢閣下は薩摩藩出身。当時の陸軍内では薩摩と長州の派閥争いがあり、薩摩側に不利になることを恐れ小倉藩出身であり中立の立場である奥田中将に本件の助けを求めてきた、というのが奥田中将の談。そしてさらに鶴見中尉が新潟は越後長岡藩の名門士族の出であることも明かされる。
北越戦争の恨みがあり薩摩も長州も憎いはずだ、アイヌの金塊で陸軍内の藩閥政治に終止符を打とう、と奥田中将は畳みかける。

第一師団司令部を出たあと鶴見中尉は、奥田中将は薩長の派閥争いにおいては中立ではなく長州側だと推測していた。奥田中将は薩摩側へ金塊が渡るのを恐れているのだろう。当時の陸海軍では「薩長出身者でなければ軍人にあらず」と言われるほどに薩長の力が強く、激しい派閥争いがあったのだ。
ロシアでの諜報活動により得たアイヌの金塊の情報の裏付けも取れ、北海道でいよいよ金塊探しをおこなう前に、花沢勇作と菊田軍曹に会うため鶴見中尉は陸軍士官学校へ足を向けた。

勇作さんの見合い相手・金子花枝子令嬢から二度目の見合いについて連絡があった。場所は同じく帝国ホテル。杉元は菊田に替え玉とバレたらどうするのかを聞く。勇作さんの童貞を奪えという今回の見合いの意図を知っている令嬢はどうなるのか――その質問に菊田は「第2の作戦」とだけ答える。
陸軍士官学校では見合いの件が勇作さん本人にバレていた。事務の女性がうっかり「帝国ホテルの件」と口を滑らせたのだ。ここ数日の勇作さん宛の手紙・電報はすべて菊田軍曹を通るようになっていた。直接本人に聞くと言い出ていった勇作さん。そこへ入れ違いで鶴見中尉がやって来て、花沢家の醜聞を知る人間が帝国ホテルに集まる事態になる。

帝国ホテルでは再び杉元と金子花枝子が食事の席についていた。杉元のもとへ運ばれるのはビーフスチウ。しかし給仕の女性が手を滑らせて杉元の軍服にシチューをぶちまけてしまった。着替えを進め上階へ杉元を連れていく金子花枝子。階段を上がる二人の様子を月島軍曹が見ており、勇作殿ではないかと鶴見中尉一行はあとを追う。
帝国ホテルの客室まで連れてこられた杉元は、あまりに周到な用意にあやしいと思いながらも、金子花枝子に勧められるがまま浴室で軍服を脱ぎ丸裸になっていた。そこへ浴室へ入ってこようとする金子花枝子。扉を閉めてなんとか金子花枝子と浴室に二人きりになるのを防いだ杉元だが、金子花枝子は「私を拒むなら考えがある」と言い、今回の件は花沢家にとっては醜聞になるのだと言い放つ。
母上が私を軍から遠ざけたいのだろうと勇作さんになり切って答える杉元。花沢夫人はかつて日清戦争で広島予備病院で看護婦をしていた。戦争の怖さをよく知る母の気持ちを汲んではどうか、という金子花枝子の揺さぶりに、杉元は「勇作が決めることだ」と替え玉と偽ることを捨てて答え、浴室の窓から外にいる菊田へ向かって替え玉であることが知れた合図を送った。

その頃、金子花枝子と杉元がいる客室の前では、先ほどの給仕の女性に扮していた、金子花枝子のお付きの女中・山村ハマ子が仁王立ちしていた。鶴見中尉に、陸士候補生と若い女性を見なかったかと聞かれ、知らないと白を切るハマ子。しかしハマ子が守るようにして前に立つ扉から、金子花枝子が「勇作さん」と呼びかけるのが聞こえてしまい、菊田が見合いを潰すよう指示されているにもかかわらずなぜ二人きりで部屋にいるのかと鶴見中尉は非常に訝しみ、客室の扉を蹴破って中へ入った。
突然の乱入者に、出ていかないとすべて陸軍に話すと震えながらも言い放つ金子花枝子。そんな彼女に鶴見中尉は、穏やかな紳士的な物腰ながらも、そうするならあなたを殺さねばならないと返す。
そのやり取りを浴室のドア越しに聴いていた杉元。口封じに殺すのが菊田の言う「第2の作戦」とは許せない、と憤り、裸に軍帽だけの格好で浴室から飛び出す。そして未だ勇作さんと会ったことのない尾形百之助にとって、替え玉とはいえこれが腹違いの弟との出会いになるのだった。

 

誰のための道か

今回は鶴見中尉の出自が明らかになりましたね!越後長岡の名門士族…。
文句のないお家柄であることがわかって、一つ疑問なのが、鶴見中尉って日露戦争後も中尉までしか昇進してないのですよね…。士官学校を出てすぐ少尉になるものだったと以前調べた際に本で読んだ記憶があるので、日清戦争やロシアでの諜報活動などがあったことを考えると、勇作さん童貞防衛作戦のときには少尉ですが、この時期にも中尉くらいにはなっていてもよいものなのでは?と思うのですが…。諜報活動は大っぴらに評価されず昇進にはあまり影響がないとか?それとも上官をすっ飛ばして奥田中将へ報告、という変な報告体系があるがゆえに、きちんと自分の上官に評価されていないのでしょうか。こちらの推測は作中にも仄めかされる描写がありましたよね。
あとはやはり今回出てきた薩長派閥争いでしょうか。九州出身でない鶴見中尉は昇進のチャンスがあまり回ってこないのですかね…。そういった事情があるなら、「中央にはうんざり」という今回の発言も納得です。こうして使われるだけ使われて見返りはほとんどないのですからね…。

そして中央からも鶴見中尉に正式に(奥田中将が上官すっ飛ばさせてるあたり正式とは言い切れない気もしますが)金塊捜索の依頼がされていたということも明らかになりました。だからこそ中央からのスパイとして菊田が鶴見中尉のもとについていたのですね。でも中央から金塊の話があった時点で菊田が鶴見中尉側にいなかった、という事実から、菊田=中央のスパイ、というのに鶴見中尉はもう気付いてそうな気もしますが。

中央のスパイといえば菊田と尾形の関係も気になるところ。おそらく今回の勇作さん絡みの件で接触があったであろうことは想像できますが、そこからどうして尾形が中央側へつくようになったのか?それとも本当は菊田とも仲間ではなく二重三重に周囲を騙しているのか?物語もかなり終盤へ来ているのに未だにまったく真意が読めない男です、尾形は。

ところで中央=第一師団in東京、という理解なのですが合ってますよね…?

 

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第276話 エビフライ

初めての洋食を前に見合い開始早々、ギブアップ宣言をしそうになる杉元だが…金子花枝子はそれを「おふざけ」と受け取ったようだった。勧められ脱帽した杉元の顔を見て金子花枝子が生唾を飲み込む。彼女は面食いだった。
最近流行だというエビフライは非常においしく、帝国ホテルの他にも鹿鳴館などへ行くという金子花枝子の話を聞きながら、杉元は父が死んだあとの過酷な食事を思い返していた。他人の家の猫の餌すら食べなければならない状況だった。

見合いの第一回目は何事もなく終了したが、杉元には上流階級の見合い結婚が異文化として映った。杉元にとっての結婚で身近な例は寅次と梅ちゃん。寅次に言われた、梅ちゃんにとっては杉元がまだ一番だ、という主旨の言葉が忘れられない。ただ菊田に言わせれば、女は好きな男を塗り替えるからいつまでも同じ男が一番であり続けるわけがないし、男は未練たらしく好きな女のことを思い出すもの。寅次の不安を理解して、二人のいる故郷はキッパリ捨てろ――そのアドバイスに杉元は笑顔を見せた。

一方で金子花枝子のほうは、花沢勇作に扮した杉元のことをいたく気に入っていた。杉元は寡黙なつまらない男を演じたつもりだったが、金子花枝子にとっては自分の話を否定せず聞いてくれる男に映っていた。あと何より顔が良かった。
お付きの女中である山村ハマ子にも面食いであると言われていた金子花枝子は、いとこにも面食いであることをとがめられていた。そのいとこのお兄様は、華族女学校から花嫁を選ぶ男性の例に漏れず、器量で相手を選んでいた。金子花枝子のいとこが器量で選んだ相手は、「クリクリの癖毛の田舎娘」だった。

見合いの席でのエビフライを思い出していた杉元の心には、一つの疑問が生じていた。花沢勇作自身は聯隊旗手になりたがっているのか?と。
軍隊で死ぬかもしれない日々を送るよりも財閥に入りエビフライを食べる日常のほうが送りたいのではないか――菊田は余計なお節介だと一蹴したが、杉元は花沢勇作本人に会いに行き本音を確かめようとする。死ぬかもしれない旗手に本当になりたいのか、と杉元が問いかければ、花沢勇作は、父の教えに染まり切った答えを返すのみ。エビフライを食べる道があるかもしれないのに、今菊田と杉元がしていることはその道を隠すこと。杉元にはそう思えてならなかった。果たして別の道もあると示されたら花沢勇作はどちらを選ぶだろうか。
杉元の質問が終わると花沢勇作のほうが杉元に問いかけてきた。その帽子は菊田軍曹のものではないか?と。菊田から借りている帽子には、射撃訓練でついた小さな穴の縫い目があった。さらにその帽子は、日清戦争で病死した菊田の弟のものだった。
病死した弟さんの帽子を見ながら歩いていると人にぶつかり、帽子を落としてしまう。それを拾ってくれたのは、月島・尾形・宇佐美を連れた鶴見中尉だった。

 

誰のための道か

今回も…情報量が多い…

えご草ちゃん、本当に東京へ嫁いでいたとは…!ということは鶴見中尉が月島軍曹に語ったことは事実だった…。生きていてよかった。旦那さんとお金に不自由しない幸せな生活を送っているといいな。
でも今回の菊田の話を当てはめると、えご草ちゃんはもう基ちゃんが一番ではない、ということになりますかね…?月島軍曹のほうだけがずっと思い出し続けているという…。まぁ月島軍曹はえご草ちゃんが幸せならそれでいい、と言いそうだし、何より花沢勇作の見合い相手のいとこの嫁、という遠縁が月島軍曹と繋がってしまう可能性は低そう。だから今回のえご草ちゃんの登場は、「鶴見中尉が語ったのは真実」ということの示唆…?つい数話前の、「月島軍曹が欲しがっていた答えを与える鶴見中尉」を見たばかりでこの展開は、本当に揺さぶってくれますね…!

菊田がくれた帽子はやはり弟さんのものでしたね。でも射撃訓練で殺されかけた、って…事故ではないような言い回しなのが気になるんですけど…。候補生の恨みを買うようなことがあったのでしょうか?

勇作さんは父上に洗脳されている様子でしたね。それを堕落させてなし崩し的にそうさせようとしたのが尾形で、別の道もあるのになと思いながらも何もできず悶々としているのが杉元。尾形は鶴見中尉の命で、杉元は菊田さんに協力して。鶴見・尾形と、菊田・杉元の人の動かし方の違いが出ているし、勇作さんはこんな人たちに翻弄されまくっていて大変だな…と思います。結局彼は父親の操り人形のようにで、自分自身の意志で何かするというわけではなかった。腹違いの兄上を抱きしめたのは彼自身の意志かもしれないけれど、それすらも父をはじめ周囲に刷り込まれた価値観からと見るほうがしっくりきますからね。
杉元と勇作さんが会話する場面で、別の道があることを言わずにおいた杉元はやっぱり優しい青年だなと思うと同時に、その道を歩みたいのは杉元自身では?とも思うわけです。勇作さんにとってはお国のため命を使うのが幸せな道なのに、それ以外の道もあると思ってしまうのは、ただの他人からの幸せの押し付けでしょう。菊田さんに止められているからという理由の他にも、自分の理想の押し付けでしかないから、というのも別の道があると言い出さなかった理由でしょうね。
そう思うと勇作さんは、自分はこの道を歩みたいのに、他人に別の道があるのにと葛藤されたり(杉元)、こっちの道においでと強制的に連れ込まれそうになったり(尾形)と、まぁ翻弄されていますね…。高級将校のお坊ちゃんらしい役回りだなと思います。

食うに困っていて飯のために軍隊に入ろうかなと言ったりエビフライが食べられる生活に嫉妬したりする青年にとっては飯が何より大事なはずなのに、いつの間にか金塊を見つけて治療費にすることが参戦動機になるのだから、やっぱり杉元にとって梅ちゃんは心のとても大きな部分を占めていたのですねぇ…。今はウェイトが変わっていると思いますがね、アシリパさん中心に。

 

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第275話 東京愛物語

時は日露戦争前。神奈川の故郷、全焼した実家跡地で寅次は杉元にこれからのことを尋ねる。まだ髪が長く顔に傷のない杉元は、自分が幸せになれるところを探すため、東京へ行くことを決める。

東京は見たことないものばかりで観光を楽しんでいた杉元だったが、陸軍士官学校の候補生たちと往来のど真ん中でケンカを起こした。そこへ事態の収拾をつけるためやって来たのが菊田。菊田杢太郎。当時はまだ軍曹だった。菊田は腹が減っているゆえに暴れている杉元へ持っていた茶碗の米を分けてやり、そのままケンカのことはお咎めなしで、安くて不味いが量は多い食堂へ杉元を連れて行った。杉元を地元の野菜「野良坊菜」から「ノラ坊」と呼び、菊田はそのノラ坊にある任務を与える。

菊田が杉元に頼んだのは、花沢勇作の見合いの替え玉だった。
第七師団長である父花沢閣下は聯隊旗手になることを望んでいるが、母花沢ヒロ夫人は息子を死なせたくないあまり、見合いをさせ息子を童貞でなくしてしまおうと画策していた(童貞であることは、聯隊旗手の暗黙の要件だった)。
結婚媒介所に密かに連絡した夫人は、金子花枝子という令嬢に目を付けた。華族女学校に通う彼女は行き遅れそうで非常に焦っている。女側の財力など問題にならない男たちに選ばれない理由は、顔からにじみ出る性格のキツさだろう。夫人は金子花枝子に「花沢勇作の童貞を奪え」と手紙を出していた。童貞を奪うだけでなく運良く既成事実が作れれば、責任を取らせるという建前で財閥へ勇作さんを引き込み、死地から遠ざけることができるのだ。

しかしこの工作を気取った花沢閣下は東京の第一師団へ相談し、菊田が実行部隊として動いていた。全ては秘密裏に片付けなければならない。師団長の妻が愛国心を疑うような行動をしているのだから、関係者に知られては士気にかかわる。
そこで部外者の杉元を菊田が拾ったのだ。ひと目見たときから杉元の顔には品があり花沢勇作の替え玉として説得力があると菊田は気付いていた。候補生のように髪を剃り、士官学校の制服を着て帽子を被れば、高級将校のご子息の替え玉として文句のつけようがない風貌の男の出来上がりだった。
「軍隊に入れば食うに困らないか」と飢えと無縁の生活を想像する杉元を見て、菊田の脳裏には自身を「兄ちゃん」と呼ぶ男がよぎった。

見た目は花沢勇作になれた杉元だが、見合いをすれば中身が伴っていないことはすぐに見破られてしまう。料亭での食事を見越して杉元の内面磨きが始まった。箸や食器の持ち方、食べ方、してはいけないこと…それらを徹底的に叩き込まれた杉元がいざ見合いの席へ臨むと。
場所は料亭ではなく帝国ホテルだった。料理は和食ではなく洋食。箸は一切出てこない。見慣れない銀食器でエビフライに立ち向かう杉元だったが、左右どちらにもフォークを持つ杉元を見て金子花枝子が違和感を抱き――。

 

二人の珍道中

菊田は杢太郎。そしてどうやら士官学校へ通う弟がいた様子。一コマだけの描写ですが、熱にうなされている弟から士官学校の帽子を渡されるシチュエーションということは、弟さんは病気で士官学校を卒業しないまま亡くなった、ということですかね…。杉元に渡した制服も、菊田本人のものではなく弟さんのものだろうな。だから「菊田さんの?」と聞かれても何も答えなかったのではないかな。

杉元の風貌がべた褒めされててなんだか見てるこっちが気恥ずかしい!品がある、だなんて…。もしかして勇作さんと杉元の顔って似ているところがあるのかな?見合い、しかも裏の意図がめちゃくちゃにあるから、金子花枝子側にも勇作さんの写真くらい送られていそうなもの。それを見ていたとして、食事の席に着くところまで進められたのだから、まったく別人のような見てくれではないはず。
もしこの二人がやや似ているとしたら尾形の心境やいかに。撃ち殺した腹違いの弟に面影のある男が何度も何度も立ち向かって来るのだから…。

菊田さんとノラ坊が、再会時にすごく仲良さそう…というか、当時にしては珍しく年の差がありそうなのにわりと対等そうな雰囲気だったのは、利害関係や上下関係のない状態での出会いだったからなんですね。むしろ二人そろって課題に立ち向かう仲間、バディ感すらある。
この頃はバディだったかもしれないけど今は敵同士なんですよね…アシリパさんを支える杉元にとって中央政府は味方ではないもの…。不思議な縁で繋がれた二人、殺し合うことなくずっとこのときの「菊田さん」「ノラ坊」の間柄のままでいてほしい…!どっちもちょっと抜けてそうなところがかわいいんだもの…見合い場所の事前調査が間違ってるとかある?それともこれも替え玉を想定した夫人の作戦なんでしょうか…。

 

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