ゴールデンカムイ第231話感想

こんにちは、うたげです。

ゴールデンカムイ最新話の感想です。
ネタバレを含みますので未読の方・コミックス派の方は気をつけてくださいね。
また、以下は私の所感です。一ファン個人の想像・妄想・曲解を多分に含んでいますので、そういうものとしてお読み頂ければ幸いです。

 

第231話 出産

フチのいるコタンにたどり着いた谷垣インカラマッオソマの母も手伝い、インカラマッのお産の準備が整えられていきます。
フチは19歳のときからお産を助けている百戦錬磨。骨盤の大きさからの判断と、首の後ろの憑神様のおかげでお腹の中の子の性別を当て、「男の子ならうつ伏せに、女の子なら仰向けに」取り出してあげます。向きを間違うと長生きできないそうです。

インカラマッをフチたちに任せ谷垣は追ってきているであろう月島軍曹を迎え撃ちに出ます。インカラマッの制止も聞かず外へ飛び出すと、そこにはすでに待ち構えていた月島軍曹がいました。
銃を奪われ殴り倒された谷垣に向け、月島軍曹は、お前は選択を誤ったのだと語りかけます。

そこへ馬に乗って現れた鯉登少尉が月島軍曹を止めますが、「脅しは実行しなければ意味がない」と月島軍曹は銃口を谷垣とインカラマッへ向けます。それどころか鯉登少尉にまで拳銃を向け、あなたも鶴見中尉を裏切る造反組か?とまで言い出します。

そんな月島軍曹へ鯉登少尉がかけた言葉は、「銃を下ろせ、上官命令だ」。
鯉登少尉には鶴見中尉を裏切る気はありません。鶴見中尉の進む道すがらで皆が救われるのならば、鯉登少尉自身や父親までも利用されていても、鯉登少尉には問題ではありません。
でも、もしも鶴見中尉に本当の目的があるのなら。その目的に鯉登少尉の感じる正義がないのなら。きっと後悔と罪悪感に苦しむことになるでしょう。だから谷垣とインカラマッを殺してはいけない。

しかし月島軍曹にはそれはもう手遅れに思われるのでした。すでにここまで多くの人を殺し、あるいは利用した末に死なせてしまいました。本当に大切なものを諦めた。だからもう自分の仕事をやるしかない。
月島軍曹がここまで厳格に鶴見中尉に付き従うのは諦め捨てたものがあまりに大きかったからか?という鯉登少尉の問いかけで月島軍曹の中で何かが剥がれ落ちたのでしょう、これまで頑なに真相を見つけることを拒んでいた、大切なもの――いご草ちゃんの行方を、インカラマッの占いに託そうとしたのです。

インカラマッが手を透かして真実を見通そうとしたとき、激しい陣痛がインカラマッを襲います。
いよいよ赤ん坊の取り上げが間近です。オソマの母は谷垣・鯉登少尉・月島軍曹にも仕事を割り振り、手際よく準備を進めていきます。お湯を沸かしたりお産道具を集めたり別の子どもの面倒を見たり臼を転がす「臼躍らせ」で安産のおまじないをしたり…慌ただしく過ごしますがいざ分娩が始まれば三人は家の外で待機する他ありません。
やがて産声と共に出てきた赤ん坊は、仰向けでこの世に登場しました。

 

鯉登少尉の器

先に言いますが、今週号めちゃめちゃおもしれぇー。

鯉登少尉の信条が見えましたね!上官命令という絶対的なルールを発動させてまで月島軍曹を止めたのは痺れました。そこまでしっかりした考えがあったのだと惚れ直しちゃいますね。てっきり男子小学生で鶴見中尉に心底心酔しているのだと思っていましたから…。
きっと鯉登少尉の中では、谷垣のように望まないのに恭順を強いられている人間がそこから逃げようとするところをまた無理やり従わせたりするのは、正義ではないのでしょうね。この二人を殺しても誰も救われないのです。それに逃がしたところで痛手も特にない。
また、もし鶴見中尉の目的が誰も幸せにならないなら、この先ずっと後悔します。ただでさえ多くの者を手にかけてきたのです。そこに、家族だけは助けてくれと懇願するかつての仲間や、親しく過ごした女とその子や老婆も加わるとあらば、気も狂いそうになるでしょう。
鯉登少尉、かなり真っ当な考えを持っているじゃないですか。しかもその後悔や罪悪感といったものを月島軍曹も抱えていると理解し手を差し伸べる優しさもある。これで惚れるなというほうが無理な今週号…。

「鶴見中尉の行く道の途中でみなが救われる」という思考は人の上に立つ者として備えておいてほしい考え方で、これもまた今回めちゃくちゃかっこいいところですよね。鶴見中尉の幸せだけではないところがグッときます。当時の軍人らしからぬ考え方な気はしますが、それだけ鶴見中尉の狙いがわからないということなのでしょうね。

鯉登少尉は造反組についてはどう考えているのでしょう。鶴見中尉の思想に納得できないからこそ離れたのであって、あえて見つけて処分する必要はない…と考えていたりしないでしょうかね。これまでの話がちょっとうろ覚えなのですが、造反者を積極的に追う鯉登少尉はいたかな?
もし造反者もこちらに歯向かってこなければ深追いしない、と考えているなら、鯉登くんは本当に次代を担う若者ですね…。日本の未来託したい…。
望まない者はお咎めなし、と考えているならば、彼の部下になった人たちは幸せでしょうね。

 

信者対決

今回の鯉登少尉に対して、怒り心頭になりそうなのが、宇佐美。やはり鶴見中尉信者対決くるか…?
頭のてっぺんからつま先まで全身鶴見中尉色に染め上がった宇佐美VS自分の芯のところまでは染まっていない鯉登少尉。ありそうだな…。
今回の流れでいくと、鯉登少尉と月島軍曹が鶴見中尉と袂を分かつ未来もありそうじゃないですか…?もしくは鶴見中尉を止める側に回る。

取り上げられた子は仰向けなので女の子かな?稲妻お銀の子と仲良く遊んで成長していってほしいです。
あと、出産に立ち会う女たちのたくましさはいつの世も頼もしいですね。

 

 

 

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第230話 家永カノ

家永が首元に注射したことで体の自由を奪われた月島軍曹。家永によれば二時間は動けないそう。その間に逃げてほしい、インカラマッはこれから完璧になるのだから見逃すなと、自分自身から出ている血だまりの上に横たわりながら家永は谷垣に語りかけます…。
家永を置いて逃げ出そうとする谷垣とインカラマッの前に、当然ながら鯉登少尉が立ち塞がります。しかし構えた銃を下ろし、鯉登少尉は谷垣とインカラマッを見逃しました。怪我の療養中によく占いをして時間を共にしたので情が芽生えたのではとインカラマッは推測しますが、谷垣にとってはその程度で鯉登少尉が許すとは思えませんでした。今までの鯉登少尉なら。

病院からインカラマッを連れ出すことはできましたが、馬の揺れのせいで様子がおかしいインカラマッ。街はずれの廃屋で休むことにします。アイヌの文様の額当てで額からの出血を抑える谷垣。これでいいかと思いきや足からも出血しており…。その出血の跡を追って月島軍曹に居場所を突き止められてしまいます。

なんとか月島軍曹の襲撃をいなし山へ馬を進める谷垣。山ならば谷垣のほうが有利なので山中を逃げればどうにかなると考えていましたが……山へ入る寸でのところでインカラマッが破水。仕方なく馬を出血させ放ち、月島軍曹をまこうとします。馬を失った谷垣はインカラマッを抱え膝まで雪に埋まりながら走ります。全部うまくいくから、とインカラマッを励ましながら向かった先は、フチのところ。孫を連れて帰るという約束を果たせないうちに帰ってくることになり「ごめん」という言葉と共に帰宅することになったのでした。

 

谷垣が額当てを締めるとき

谷垣がアイヌの額当てをつけるところ……すごく見覚えがあります。レタラによって負傷したおかげでフチのコタンに滞在していた谷垣を尾形と二階堂が襲って来たときにもありましたね。あのときは杉元をかばって彼はここに来ていないと嘘の証言をしていました。そのときも今回も、軍人としてはあるまじきことですが、谷垣自身が守りたいもののために決断をしていると思います。その決意が見える形になって表れているのが、アイヌの額当てを締めるという行為なのでしょう。
インカラマッと我が子を守りたい。だから鶴見中尉の命令に背くし月島軍曹とも戦う。谷垣、やっぱり情に厚いいい男ですねぇ。

インカラマッと親しくなったせいか谷垣とインカラマッを見逃してくれた鯉登少尉。谷垣の言う通り、これまでの鯉登少尉なら、鶴見中尉は絶対でありそれに従わない者は即刻処分!…となりそうなものですが…。何話か前にあった、病室でのインカラマッを中心とした場面は今のこの状況を暗示していたのですかね。鯉登少尉はインカラマッの占いをはじめ彼女自身に魅力を見出していたけれど月島軍曹は懐柔されない、みたいな…。

しかし鯉登少尉が二人を逃がしてしまったので、今後の月島軍曹や鶴見中尉との関係性も気になります。いつも突っ走ってしまう激情型の鯉登少尉を補佐する月島軍曹、という関係は何があっても続いていましたが、さすがに「個人的な感情で上官の命に背く鯉登少尉」は月島軍曹でも助けないし助けられないと思うのですよね。それどころか普通に考えれば月島軍曹が鯉登少尉を命令違反として始末してもおかしくない…。月島軍曹と鯉登少尉はどうなってしまうのでしょう…。

さて、鯉登少尉はどうして二人を見逃してくれたのでしょうね。インカラマッの言う通り親しかったからというのもあると思いますが、月島軍曹に聞かされた鯉登少年誘拐事件の真相も絡んでいるといいなぁと思います。少しずつ鶴見中尉のやり方に疑問を持ち始めている鯉登少尉……なんていい展開じゃあないですか。そしてそうなると間違いなく敵対するであろう月島軍曹。
月島軍曹が谷垣を追うのは、鶴見中尉の命令というのもありますが、個人的な感情も少し混じっているような気がします。以前、鯉登少尉が鶴見中尉にたらし込まれた話をした際に、鯉登少尉に向かって「いいじゃないですか」と言っていたと思います。つまりまだ未来のある鯉登少尉がうらやましいのだと思います。月島軍曹はいごちゃんを失い、それまでに父親も失っており故郷での居場所もなくし、もはや鶴見中尉に付き従う他ないような状況です。それに対し鯉登少尉は父親が存命しており、本人も将校ですので順当に進めば軍の上へ登るでしょう。谷垣に至っては軍以外のマタギという道を取り戻した挙句に愛する女性との子どもまで授かりました。月島軍曹だけが、鶴見中尉以外に道がないのです。
だから他に生きる意味を見出した谷垣を単独でも薬を打たれても執拗に追うし、もし鯉登少尉が鶴見中尉の命に背いたとあらば、冷徹な仮面をかぶってその実腹の底は生き方を変えられる者に対する嫉妬と羨望ではらわたが煮えくり返りそうになりながら、鯉登少尉を始末しようとすると思うのです。

谷垣が危険を承知で取った行動が、鯉登少尉を変え、月島軍曹の腹の底にあるものを引っ張り出してくれそうな予感にワクワクします。あとは稲妻とお銀の子らしい子どもがフチの隣にいましたね!あの子が稲妻お銀の子なのか、どんな子なのか、そちらも楽しみです。

物語が進むのは楽しみなようでいて不安もあります。色々なところで色々な人が敵対しまくっているしレギュラーメンバーでもバンバン死ぬので、今週登場した中で誰かが死なないか本当に本当に不安…。
谷垣がやたら「大丈夫」「うまくいく」と言うしインカラマッもそれに全てを託すかのように優しく微笑むので、インカラマッにフラグが立っているような気がしてならないのですよね…。インカラマッも谷垣も二人の子も、どうかみんな無事でいてほしいです。
お願いだから月島軍曹はフチのコタンにたどり着かないで……鯉登少尉は今のうちに逃げておいてほしい…。
家永は……さすがに希望が持てないかな……本当に惜しいですが……。

 

 

 

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第229話 完璧な母

谷垣源次郎との子を身籠っているインカラマッはもういつ生まれてもおかしくない状態でした。そのお腹の膨らみを、「神秘的な曲線」と称える家永
家永は妊婦に思い出がありました。家永の母も妊婦であり、生まれてくる子…家永の妹か弟になるはずだった子を抱く母親を見るのを、家永自身が楽しみにしていたのです。肖像画の中の家永の母はとても美しく、今の家永とほぼ同じ外見をしています。家永は美しい母を追い求めていました。妊娠してもなお完璧だった家永の母。その膨らんだお腹にいる子をいつかその手に抱いたら、きっと聖母のようだろう――しかし現実は無情で、家永の母は階段で足を滑らせ流産してしまいました。
女性、特に母というものに憧れがあるらしい家永は、インカラマッの出産の手伝いを申し出ます。命の恩人だからと快諾するインカラマッに、「じゃあ胎盤はちょうだい」といつもの調子で返す家永でした。

一方、インカラマッのお腹の子の父親、谷垣源次郎は、インカラマッとそのお腹の中の子を人質に取られ、鶴見中尉に命じられ杉元からアシリパさんを奪還すべく馬を進めていました。その胸中はやはりインカラマッと自分の子への気持ちであふれていました。
杉元を殺せるような冷血漢ではないという自覚があるうえ、杉元を殺してしまえばアシリパさんは間違いなく悲しみます。失意の中にある孫を送り届けたところでフチも幸せでしょうか。谷垣の選択がアシリパさんを不幸にしてしまうのです。ではアシリパさんを探すフリをして金塊争奪戦が落ち着くのを待つのはどうかといえば――それではインカラマッにも生まれてくる子どもにも何年も会えない可能性があります。
しかしそれでもインカラマッと子どもに会いたい。そこで母子を危険にさらすのを承知のうえで、谷垣は網走の病院周辺を探ります。かつてインカラマッたちがいた網走の病院。関係者に聞けば彼女がどこへ移されたかわかるでしょうが、おそらくそれを探りに来た者がいると鶴見中尉にすぐ知らせがいってしまうでしょう。
病院の近くまで来たはいいものの次の行動を起こせずウロウロするだけの谷垣に、イケマの根をかじる女性?男性?が話しかけます。インカラマッはこの人物にあることを託していました。スケベ熊ちゃん、つまり谷垣が病院近くへやって来たら絵葉書を渡してほしい。このインカラマッの絵葉書によって、谷垣はインカラマッがいまは小樽にいることを掴み、市内の病院までインカラマッを迎えに来ることができたのです。

インカラマッの病室へ忍び込んだ谷垣。インカラマッも危険を覚悟し、共に逃げ出そうとします。いつも見張りをしている月島軍曹が風呂に行っている隙に馬で逃げ出す予定でしたが…。風呂へ行く途中、いつもはいないはずの馬が外に繋がれているのを見て、月島軍曹はすぐに谷垣が来たことを察します。部屋に鋲を打った軍靴の音が近づき、予想外にかなり早く侵入に気付かれたことを悟った谷垣。銃を構え臨戦態勢を取りますが、月島軍曹が蹴破った扉で倒され、銃も蹴飛ばされてしまいます。
抵抗手段をなくした谷垣に銃口を向け、鶴見中尉の命令を反故にするか、と詰め寄る月島軍曹。谷垣の前にインカラマッが立ちはだかり月島軍曹が引き金を引くまでの時間をわずかに伸ばした隙に――家永が背後から月島軍曹の首に注射器を刺しました。逃げて、と伝える家永に向け、月島軍曹は振り向きざま発砲し、その弾は家永の胸部と腹部へ命中します。

 

母を追い求めて

家永がなぜ若さと美しさにこだわるのかが垣間見えたお話でしたね。自分の欲望に忠実で、欲望を満たせるなら正義でも悪でもかまわないといった振る舞いはとても好きなキャラクターでしたが……今回かなり命の危機に瀕してしまい残念です…。天才的な医者でも自分の負傷は治せないですかね…。

家永のお母さんはとても美人でしたね。お母さんへの憧れから同物同治を繰り返し、中年男性ながら若く美しい女性の姿を維持しているということなんでしょう。
ただ今回のお話だけでは、彼の強いこだわりのうち、美しさにしか説得力がない気がします。若い=美しい、という図式はそりゃ誰の目にも明白ですが、きっと階段で足を滑らせてからもお母さんは存命だったと思うのです。でも、その事故以降、失意も相まって家永のお母さんは老け込んでしまい、美しさも若さも一気に失われてしまったのでは…と想像しています。

今回、家永が母について肯定的な姿勢を見せたことにちょっと驚きです。家永の求める若さや美しさって、子を産んでいない若い女性のものかと思っていましたから。子を成すことは若さ美しさを失わせるもの、ととらえていてもおかしくなさそうに感じていました。でも、インカラマッのお腹の膨らみを、「神秘的な曲線」と例えたのはとても素敵でしたね。人体の神秘。そう、神秘なんです。良いとか悪いとかではない。家永母のようにその神秘的な膨らみに裏切られるものもあるしインカラマッのように再び愛する人と会うためのエネルギーになるものもある。これがもし「温かい曲線」とか「優しい曲線」とかだったら良い側面しか切り取っていないような響きですよね。家永にとっては母の苦い思い出とともにあるはずなので「神秘的な曲線」という言葉がとてもぴったりだと思います。

さて家永はどうして危険をわかっていたはずなのにインカラマッと谷垣を助けたんでしょうか。やはり自分のお母さんが望んでも手に入れられなかった未来を見てみたいという気持ちからかなと思います。インカラマッに思い入れがあるよりも、彼女に自分の過去の出来事を重ね合わせていると思うのですよね。インカラマッの出産が無事に済めば、記憶の中の家永の母も家永自身も少しは報われるのではないでしょうか。
あとは私の趣味ですが、やはりインカラマッにも言っているように、どんなに見目を若く美しい女性にしても家永自身は妊娠出産ができない、というところもポイントかなと思います。自分ではしたくてもできないからこそ、身近な妊婦の助けになりたいという気持ちがあるんじゃないでしょうか。そうなると家永の負う宿命が途端に重く感じられますが……インカラマッの子を取り上げる助産師になってほしいのでお願いだから死なないで…!

 

 

 

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第228話 シマエナガ

杉元アシリパさん白石ヴァシリの四人は空知川流域へ来ていました。平太の砂金サンプルの採取場所の一つだからです。周辺のアイヌ集落をまわり、海賊房太郎の手がかりを探っていました。
平太との戦いで腕を負傷した杉元は、山道を歩いているときに飛べないシマエナガに気を取られたことでアシリパさんたちとはぐれてしまいました。霧が濃くなり日が暮れてきたため、杉元は下手に動かずアシリパさんが助けに来るのを待つことにしました。シマエナガ(ウパシチリ)と共に野宿です。

アシリパさんから教わったサバイバル技術をシマエナガに説明しながら暖を取る杉元。シマエナガも杉元の解説に合の手を入れるようにさえずります。アシリパさんが作った携行食をシマエナガにも分け与え、彼(彼女?)を「ウパシちゃん」と呼び杉元は眠りにつきます。

翌朝、近くでした足音に目を覚ますと、それはアシリパさんではなくヒグマでした。ヒグマの足跡を見てこれまたアシリパさんとの狩猟生活で身につけた知識を総動員する杉元。
若いオスは人間と同じで好戦的で注意が必要。オッサンの熊は無駄な争いはしないので人の気配がすれば大人しく立ち去る。
そこでふと懐かしい人のことを思い出す杉元。人間の戦争でもオッサンが最前線なら誰も戦わなくて誰も死なないかもしれないね、とウパシちゃんに語りかけるとも独り言ともとれるように話します。未来ある若者が死ぬのはもったいない。特に若い奥さんと小さい子どもがいるような奴は。あんなに気立ての良い嫁さんを残して…。

ヒグマがうろついているところを片腕しか使えない人間が出歩くのは非常に危険です。霧が晴れてアシリパさんがやって来るのを待つのが賢明です。

しかし二日経っても三日経っても、一週間経っても霧は晴れません。
この頃になると杉元とウパシちゃんは完全に意志疎通していました。アシリパさんの作った携行食のお団子があるうちに発っていればよかったのに、とウパシちゃんが言えば、お前もガツガツ食べただろうと杉元がすごみます。
実際、ウパシちゃんはかなりの量を食べていました。霧に閉じ込められた一週間のうちに杉元の帽子の上でどんどん丸く大きくなっていくウパシちゃん。濃霧に覆われ近くにヒグマがいるかもしれない状況、しかも片腕を負傷している杉元にとって、まるまると太ったウパシちゃんは可愛らしい雪の妖精よりも食料に見えていました。

ごめんなさいごめんなさいと謝りながらウパシちゃんの羽をむしる杉元。京都で食べたスズメの焼き鳥の記憶を頼りに小さな鳥を焼きます。食べて力をつけたらここを出よう、そう決意して口に含んだ瞬間。アシリパさんの杉元を呼ぶ声が聞こえ、それに杉元は絶叫で返すのでした…。

 

さようならウパシちゃん

今週はちょっと一息可愛らしい回かなと思ったらラスト3ページすごかったです。

「ウパシちゃん」と呼び帽子の上を居場所にしてあげ、お団子を分け与え、寒いのにマフラーを寝床として提供してあげる。それくらい、甲斐甲斐しくお世話して可愛がっていたウパシちゃんを、生き延びるために食べる!さすがサバイバル回。

そこまでの杉元とウパシちゃんのコンビの可愛さがすごいだけに落差もすごいです。語彙がない!
シマエナガを手に乗せ助け話しかけるだけでもヒロイン属性かってくらい杉元が可愛いのに、お団子を好きなだけお食べと差し出す杉元と、待ってましたと言わんばかりの勢いで食べるウパシちゃん。可愛い。一人山道に取り残され不安な杉元の心を、あんなに小さな体のウパシちゃんが支えてるんだね…と思うと涙が出てきそうなくらいに素晴らしい関係です。
でも残念ながら杉元は可愛い動物運…と言っていいのかわからないけど、とにかく可愛い動物運がない!彼が可愛いなと思った動物はアシリパさんによって解体され食事として再会することが多いんですよね。動物を狩って暮らしているアイヌなので動物は見て楽しむのではなく食べるものとして見るのは当然なんですけども。この作品に出てくる可愛い動物は犬以外だいたいすぐにお別れになってしまいますよね…。

今週はウパシちゃんが本当に本当に可愛くて癒しでした。野田先生の描く動物ってすごいですよね。リュウもすっごく可愛かったし、今週のウパシちゃんも愛らしい。キャラクター的な表情があるのにリアルタッチで特徴をしっかりとらえている。
リアルといえば、羽を怪我したウパシちゃんの行く末もリアルだなと思いました。自力で飛べなくなった鳥は他の動物の食料になるしかないのですよね。杉元が食べなくてもきっと他の動物が食べていたでしょう。アシリパさんが何と言うのかはわからないですが、自然の摂理だと言って同じように焼いて食べるのではないかな。多少人間が手当てしたところで自力で生きていけないことにはそう変わりないでしょうし…。

先週の私、アシリパさんと山で過ごしてみたい、癒されそう…だなんて書いてました。でも今週のお話を読む限りそんなことはなさそうですね。もし私が今週の杉元だったら、自分の生への執着と友情とを天秤にかけて身も心もボロボロになりながら焼き鳥食べてそう…。
安易な気持ちで山暮らし楽しそう的なことを言ったのを見透かされたみたいでちょっと恥ずかしいです。アシリパさんぜひ杉元のメンタルケアしてあげてほしいな…山でできたお友達食べちゃったし…。

 

 

 

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第227話 共犯

宇佐美時重に喉を踏み抜かれた高木智春は泡を吹きました。鶴見中尉が止めに入るものの危険な状態です。
しかし宇佐美少年は、気が進まなかったのに篤四郎さんが言うから、と言い出します。

宇佐美によれば智春は親友ではなく、鶴見中尉との時間を邪魔する存在でした。
智春の父親は陸軍第二師団のお偉いさん。そのため鶴見中尉に目をかけてもらっていたでしょうし、東京に行くのも陸軍幼年学校に行くため。東京行きを宇佐美に最後まで言わなかったのは宇佐美を見下していたから。そういった宇佐美と智春の生まれた境遇の違いからくるものは宇佐美にとってまだ許せることでした。
しかし鶴見中尉の一番だけは譲れません。鶴見中尉は智春に「君のほうが時重くんより強くなれる」ということを言ったのを、宇佐美は聞いてしまったのです。それゆえに宇佐美は凶行に走ったのでした。

鶴見中尉といえば、智春少年の命の危機にも慌てず、完全に頭に血ののぼっている宇佐美の様子にも狼狽えず、それどころか「智春くんにああ言えば彼が諦めて帰ると思ったからだ。一番は君だ」と宇佐美に言うなど、一枚上手です。その言葉を聞いて安心して笑顔に戻る宇佐美。
しかし智春はすでにこの世を去っていました。共犯関係となった鶴見中尉と宇佐美少年。宇佐美を殺人犯にしないため、鶴見中尉の馬に蹴られたということで智春の死を処理。知らせを聞いた智春の父は怒り狂い馬を撃ち殺しました。こうして宇佐美が馬へ向けるほの暗い感情が形成され、宇佐美は彼の人生で初の殺人を犯したのです。
しかしこの一件で鶴見中尉は第二師団にいられなくなり北海道へ左遷され、第七師団で宇佐美の入隊を待つことになります。

武田先生と話す鶴見中尉。日清戦争を経て一つの確信を得ていました。
人が殺人への抵抗を乗り越えるには「愛」が必要だと。
愛する戦友の期待を裏切る不安が敵に銃口を向け引き金を引かせるのです。
人を殺めることへの罪悪感すらも乗り越えるほどの愛を部下と育めるかが指揮官の仕事、と鶴見中尉は考えます。

しかし中には罪悪感を抱かない、生まれついての兵士もいます。
ほとんどの兵士が羊なのに対し「犬」にも例えられるような兵士は、まさしく忠犬のごとく、飼い主に忠実で敵には攻撃的。飼い主のためならどんなことも厭いません。
それが宇佐美でした。

一方、北海道のどこかの病院では。
インカラマッが千里眼で盗まれた二階堂の義手を探し当てていました。インカラマッの占いをすっかり信じ込んでいる鯉登少尉月島軍曹にインカラマッに試しに見てもらえと言います。
月島軍曹の脳裏にちらつく探し物の影。その人物は月島軍曹にとってはいわば人質のような存在です。谷垣にとってのインカラマッと同じく人質。鶴見中尉の策略で愛する者同士が会えないという似た境遇の月島軍曹とインカラマッ。この二人の交流は果たしてどんな意味を持つのでしょうか。

 

愛ゆえに

宇佐美はやっぱり激ヤバでしたねー。生まれながらの兵士。後悔や自責を感じない。
その性質を見抜いて、智春少年を助け第二師団での地位を守るよりも宇佐美獲得のほうが良いと即座に判断した鶴見中尉もさすがですけどね。

殺人の童貞喪失したのは宇佐美と同じくらい尾形も幼い頃でしたが、尾形は殺人に対して罪悪感を覚えているようなので、尾形は生まれながらの兵士というわけではなく生まれ育った環境ゆえにそうせざるを得なかったのでしょうね。誰かを手にかけた罪悪感を内に押し込めて見ない振りをしてきた尾形は、樺太でどうやら何か振り切れたようですが。

今回は「」というキーワードが鶴見中尉の口から出てきました。
鶴見中尉と部下との愛で第七師団はここまで来れたのですね。
愛を育んできたと考えると、尾形の言っていた「たらしこみ」という表現も非常にしっくりきますね。旗手である勇作さんに童貞を捨てさせようとお膳立てしたのは愛が形成されているかを試していたのでしょうね。仲間のために自分の一線を越えられるかどうか。勇作さんはその一線が殺人ではなく、旗手としての隊員たちからの信頼だったわけです。この場合、隊員たちは裏切ることとなりますが、それによって鶴見中尉や尾形への愛は証明されることになりますね。

鶴見中尉の言う「」は、足枷のようなものに感じます。戦友の期待を裏切る不安から敵兵を撃つので、世間一般に想像する愛情ではなく、何かもっとこうマイナスイメージのあるようなものだと思います。
そして、自分と何かを結び付ける非常に強烈な感情が「」だとするならば、怒りや恨みも「」になると言えると思うのですよね。
谷垣は、賢吉に抱いていた怒りを、賢吉の死と彼の語る真相で消化したと思いますが、これまでの動機を失って不安定な状態だったと思います。そこへ差し伸べられる鶴見中尉の手。お前が必要だと囁きます。
尾形は、鶴見中尉が自分をたらしこもうとするのをうまく使っていた部分はありますが、やはり父親への恨みが原動力の一端にはなっていたと思うので、それをなくしてバランスを失った時があったと思います。そんなときにも寄り添い愛を囁く鶴見中尉。
こんな感じで、何かに向ける並々ならぬ激情が行先を見失ったときに、そっと支えるようにして愛へと挿げ替える手口なのかなと思います。ただ谷垣も尾形もその感情は鶴見中尉ではない誰かに向けていたもの。鶴見中尉に対し激怒した月島軍曹や、妄信的な憧れを抱いている鯉登少尉とは少し違います。だから谷垣と尾形の二人は「」という名の足枷を外して、歩き出したのでしょうかね。

ではその足枷を外すものって何でしょう。とても興味があります。
尾形はアシリパさんへの執心のように見えますが、鶴見中尉の例を見るにアシリパさんへは「」ではないのかなと思います。何だってやる、という献身などは微塵も見えないですからね。
谷垣はインカラマッとの愛情はあるでしょうが、それよりもマタギとしての生き方を思い出したことのほうが重要だったのではと思います。山での生活が自分の根源的な部分を目覚めさせてくれる。

期待を裏切る不安から引き金を引かせるのが「愛」ならば、罪悪感を覚えさせ踏みとどまらせるのは、その人のありのままを受け入れることではないかなと思います。ちょっとうまく言葉がまとまらないですが…。
その受け入れる役割を果たしているのがアシリパさんなのかなーと。杉元と狩りを楽しみ、谷垣にはコタンでの祖母との交流を提供し(彼女が望んでそうしたわけではないにせよ結果的に)、尾形をも肯定したのではないかなと。アシリパさんは誰も拒否せず全て受け入れていますからね。

ただ目的のためならば鶴見中尉の「」のほうが強力です。鶴見ボーイズが強い理由が今回わかりましたが果たして杉元やアシリパさんはそれにどう対抗するのでしょうね。
本編と関係ないですが私もアシリパさんと一緒に過ごしてみたい…体力的にはハードだけどすごく癒されそう…。

 

 

 

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こんにちは、うたげです。

ゴールデンカムイ最新話の感想です。
ネタバレを含みますので未読の方・コミックス派の方は気をつけてくださいね。
また、以下は私の所感です。一ファン個人の想像・妄想・曲解を多分に含んでいますので、そういうものとしてお読み頂ければ幸いです。

 

第226話 聖地

杉元はある集落でリュウに似た犬を見つけました。樺太へチカパシたちとともに置いてきたリュウに思いを馳せる杉元白石アシリパさんの三人。リュウの前の主人、二瓶の形見である銃のことも忘れるくらいに幸せになってほしいと願いますが。
セタ(アイヌ犬)はあまりの忠誠心の強さゆえ、裏返せば嫉妬深く気性が荒い犬です。あるアイヌ犬はひどく叱られた翌日、主人が留守の間に飼っていたニワトリを全て殺してしまいました。主人への愛が強すぎるゆえの衝動。その気配が幼少期からすでにある人物が、宇佐美です。

戦争から一時新発田へ帰ってきた鶴見中尉の元へ宇佐美が訪ねてきたのが先週号。その場所は、宇佐美が「聖地」と呼ぶ何の変哲もない道場の片隅です。
その更に二年前、宇佐美が12歳の頃のことです。宇佐美は武田先生の道場で柔道を習っていました。そこへ時折現れていたのが鶴見中尉。二人の出会いは柔道場でした。
家で柔道の稽古が順調だと嬉しそうに父親に話す宇佐美少年。宇佐美は鶴見中尉の見立てでは最も才能のある子だそうです。宇佐美少年こと宇佐美時重の柔道の才能は父親譲りだと豪語する母親と、それに気を良くする父親。仲睦まじい両親ですがそれを見つめる宇佐美の顔にはどこか作り物のような笑顔が張り付いています。

春、田んぼの足踏み水車を回す鶴見中尉と宇佐美少年。低地ゆえ水車がなければ田んぼの排水ができないと語る宇佐美の元へ友人である高木智春が賭けてきます。鶴見中尉の話し相手が自分から智春へ移り、ここでもまた作りもののような笑顔を浮かべる宇佐美。

冬、稽古後に鶴見中尉と宇佐美少年は二人で帰路につきます。学校を卒業したら父の仕事の手伝いをするという宇佐美に、鶴見中尉は、強いのだから柔道を続けなさいと言います。そんな鶴見中尉は、「朝鮮半島というところで問題が起きた」ために道場へ来るのが難しくなるだろう、と話します。

そしてまた春、智春が道場へ通う最後の日です。智春は卒業後に東京の学校へ行くことが決まっていました。智春は何度も宇佐美に乱取りで挑みますが、結局一度も勝てないまま。宇佐美に勝てたら東京でも一人で頑張れる気がする…そんな思いで挑む智春に対し、宇佐美も気を遣って負けたくないから東京へ行くことは知らんぷりしていました。
二人の戦いを道場の庭で鶴見中尉が見届けます。これが最後だと思うと涙があふれる智春を宇佐美が地面に叩き伏せます。
地面に背をつけ、まだだと言う智春の、喉元。そこを宇佐美はかかとで力いっぱい踏みつけました。鬼の形相で友人の喉を踏む宇佐美には、智春が抱いているような友情のようなものは見えません。
あまりの衝撃で体が硬直する智春。なぜ宇佐美は智春を明確な悪意を持って攻撃したのでしょうか?やはりアイヌ犬の話の通り、忠誠心の強さゆえでしょうか。

 

嫉妬ゆえ

鶴見ボーイズがそろっていますが、今のところ最も若いときにそのヤバさを露呈したのはこの宇佐美時重でしょうね。12歳にして友達にこんなことができるなんて。

家族と話す場面や鶴見中尉と話しているところに智春が寄ってくる場面などで、作り物みたいな笑顔の下で凶暴な衝動を隠し持っていたのだろうなと思うと震えが止まりませんね。
家庭での場面では、きっと父親の関心が自分に向いていたのが、いつの間にか父親と母親の間の会話にすり替わったのが面白くなかったのかなと思います。妹らしき人が鶴見中尉の名前に反応したのは、鶴見中尉大好き宇佐美はこの頃からいたと思うのでよいのかなと。
智春はタイミング悪いですねぇ……楽しく鶴見中尉と二人きりでお話しているときにやって来るし、稽古をせがむときも鶴見中尉を取り合い。宇佐美にとっては邪魔だったのでしょう。

それにしても親友を攻撃した場所が「聖地」とはどういうことでしょうか。
やはりその心酔具合から鶴見中尉が宇佐美を自分の配下へ誘う流れになり、それで聖地扱いなのでしょうか。
智春かわいそうだなぁ…。できれば鶴見中尉には仲裁に入ってもらい、智春には無事でいてほしいのですが…。幼い人がいたたまれない目に遭うのは見ていて本当に気持ちが良くないのでね…。

鶴見中尉と宇佐美の激重愛情エピソードは次回最高潮を迎えそうですね。

 

 

 

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こんにちは、うたげです。
明けましておめでとうございます。いつの間にか年をまたいでいました…。
こんな感じで自由気ままに書いていますが、今年もよろしくお願いいたします。

ゴールデンカムイ最新話の感想です。
ネタバレを含みますので未読の方・コミックス派の方は気をつけてくださいね。
また、以下は私の所感です。一ファン個人の想像・妄想・曲解を多分に含んでいますので、そういうものとしてお読み頂ければ幸いです。

 

第225話 貧民窟

札幌は東地区。明治時代では「貧民窟」と呼ばれ、かなりアウトローな世界観を持つ地域がありました。
ここで生きていくには女性は花を売るしかないのでしょう。没落した名家生まれの女がシルクハットをかぶった男へすり寄ります。しかし男は何も言わず女の首をナイフで切り裂き…。
殺される直前、男の顔を見た女は何かを言いかけました。「あんた日本…」彼女は何を見て何を言うつもりだったのでしょうか。それに彼女を殺す男の胸元には刺青が見えました。刺青の囚人が札幌にいるのです。

翌朝、発見された死体は、喉を切り裂かれ引き出された腸が右肩にかけられていました。先月31日にも似た手口の犯行があり、警察は同一犯の可能性も考えているようです。
札幌で起きている連続娼婦殺人事件。石川啄木はそれを民衆の興味をそそるよう書き新聞の売れ行きは好調。事件について土方さんたちのところへ報告に来ます。門倉には犯人に心当たりがあるようです。かつて横浜で遊女をメッタ刺しにし網走監獄へ送られた男が。
新聞でも騒がれるほど派手に暴れている娼婦殺しの囚人。その噂を聞きつけ鶴見中尉たちも動き出します。

鶴見中尉がいるのはオホーツク海沿岸の集落。菊田特務曹長宇佐美上等兵札幌行きを命じます。鶴見中尉は「宇佐美は札幌で役に立つ」と意味深な発言をします。当の宇佐美は、見知らぬ男性が飼っていた馬を殺したり、札幌で土方陣営と出くわしたら皆殺しにしてやると言うなど、かなり殺気立っている様子。

時はさかのぼり、明治28年、新潟は新発田。鶴見篤四郎が戦地から戻ったばかりの頃のこと。
鶴見中尉は戦地で「面白いもの」を見たと武田先生(おそらく医師?)に話します。実戦においてはどんなに訓練された兵士でも、殺人に抵抗があり、「発砲するふり」をするのだと。ただしもちろん例外もいます。おそらくそれが宇佐美なのではないでしょうか。鶴見中尉は当時まだ14歳の宇佐美上等兵とも面識がありました。新発田で宇佐美時重と「久しぶり」と言葉を交わす鶴見中尉。彼もまた鯉登少尉と同じく、少年の頃より鶴見中尉に心酔している人物だったのです。

 

鶴見ボーイズ揃い踏み?

今週さすがに処理が追いつきませんね。宇佐美もまさかこんなに小さいときに鶴見中尉と知り合っていたなんて!

他に鶴見中尉といえば鯉登少尉と月島軍曹がいますが、二人とも鶴見中尉に大切な人を救ってもらったように見せかけられ、実際は人質といっても差し支えない存在として足枷をはめられているような状況でしたね。二人とも自発的に鶴見中尉についてきているようにも見えますが、ついてくる発端は間違いなく鶴見中尉が作り出したもの。尾形もその牙に一度はかかったはずですが彼は紆余曲折あり鶴見中尉とは敵対する勢力へついています。

宇佐美は初登場時よりずっと狂気がダダ洩れの人なので、殺気全開の今、土方さんたちと出くわしたら何をするかわかりませんね…。なぜあそこまでイラついた様子なんでしょう。そして何より!馬と宇佐美、どういう関係なのでしょう?見ず知らずの馬を殺す理由は?次回以降、宇佐美が馬を殺した理由や鶴見に妄信的についている理由がわかるかもしれませんね。

残るは菊田ですが彼は鶴見ボーイズに比べ年上そうなので少年時代からの知り合い…ということはなさそう?でも宇佐美にまで鶴見中尉心酔の背景がしっかりあるので、菊田にも中央に背いてまで鶴見中尉に従う理由がありそうですよね。
鶴見ボーイズの過去が揃い踏みになるのが楽しみです。

 

 

 

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こんばんは、うたげです。
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第224話 支笏湖のほとりで

平太と砂金採り・戦闘をした雨竜川沿いで杉元アシリパさん白石の三人は野営していました。先週尾形が捕獲したレタッチリですが、アシリパさんもレタッチリを捕まえ食事にします。尾形がレタッチリをどう捕らえたかは描写がありませんでしたが、アシリパさんは水辺で火を焚きレタッチリの目をくらませ、棒で首を殴り捕まえます。レタッチリはきれいに食べたあとの頭を川に流すことで、レタッチリがまた生まれ変わりこの世へ戻ってくることを祈ります。

白石は平太の残した砂金をヒントに、金塊獲得の道筋を考えていました。
アイヌによって採られた砂金は一箇所に隠され、争いの火種となるため隠し場所を知る者たちは口を閉ざし続けましたが、のっぺらぼう事件で殺されました。しかし他にもまだ隠し場所を知る者がいて生きているはずだと白石は言います。なぜなら隠し場所を知る七人を全員殺せば、のっぺら坊は隠し場所から金塊を移す必要がないから。金塊を移したということは、他にもかつての隠し場所を知っている者がいるということです。そして大量の金塊を一人でそう遠くへ運べるはずもないので元の場所の近くにあるはずです。だから最初の隠し場所を知っている人間に会ってその場所を聞き出せれば、刺青人皮を集めなくてもひょっとしたら金塊を手に入れられるかもしれないのです。
そこでヒントとなるのが平太が標本にしていた砂金。砂金は産地ごとに特徴があり、熟練した砂金掘りになら産地の識別が可能です。だから金塊の一部を手に入れられれば、砂金が掘られた場所が割り出せる。そして金塊の最初の隠し場所を知る人間は、おそらく今も砂金が掘られた川の近くに住んでいる可能性が高いから、その砂金の産地に行き隠し場所を知っていた人間を探し出す……。
この金塊入手ルートには、アイヌの金塊の一部が必要ですが、それらは支笏湖の底に眠っているはずです。のっぺら坊は砂金の一部を持って逃亡し、砂金の重みで舟が支笏湖で転覆したのですから。

支笏湖は北海道で最も深い湖です。底めがけて潜り砂金を見つけるのは至難の業ですが、それを試み、達成した人物がいました。それが海賊房太郎。本名大沢房太郎(フサタロウ)です。
舟には平太もおり、35分経ったら縄を引き上げろと伝える房太郎は、水中で動き回るためのような体をしており人を水中に引き込んで溺死させ強盗をはたらき網走へ収監された人物です。その手口からやがて「海賊」と呼ばれるようになりました。

水深200メートルまで潜った房太郎は湖底の岩盤に引っかかるように横たわる舟を発見。そのときに砂金も見つけたと思われます。その砂金を平太が鑑別し、支笏湖の底で見つかった砂金は「徳富川 沙流川 空知川 知内川」のものであることがわかっています。海賊も当然これら砂金の産地を知っています。産地のどこかで海賊房太郎に会えるのです。
刺青人皮を集めるため海賊との戦闘は待ったなしです!

 

男前白石

今週は白石が元囚人らしい頭のキレの良さを披露してくれました。こういうときの白石はやたら男前でずるいです…。

平太師匠の仕事の丁寧なこと丁寧なこと。いい仕事してますほんとに。
そして網走監獄の囚人たちのうち、かなり金塊まで接近していたのが海賊と平太の二人ということなんですね。他の囚人は金塊にまったく興味がなかったり、土方さんのように金塊を手に入れた先を見据えて動いていたりと様々ですが、今週の白石の考えと同じようなことを考えたのでしょうね海賊は。頭の回転がかなり早そうで強敵の予感です…!
でも水中戦って見ているほうも息苦しくなってくる感じがして少し苦手なのですよね…。アニメとかで応援しているキャラが水中で戦っている間、一緒になって息を止める…っていうのやりませんでした?まぁそんなに長く止められるはずもないんですが…一緒に戦っているっていう私なりの応援だったんだと思います。今はもうやらないですがそれにしても海賊の30分潜水はすごいですね!きっと水中戦で苦戦を強いられるんだろうな。

金塊の輪郭がおぼろげに見えてきてまたまた面白くなってきましたね!来週も楽しみです。

 

 

 

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第223話 元気になる

鯉登少尉が傷を癒している北海道のどこかの軍病院。発明好きの有坂閣下がもたらした、彼の友人の薬学者・長井の開発したメタンフェタミンという薬のおかげで、二階堂はすっかり元気になり、廊下を走り回っていました。
軍病院には家永が医師として留まっていました。家永の刺青は鶴見中尉も土方さんも写しを持っているため金塊争奪戦でもはや家永が刺青の囚人として命を狙われることはありません。そのため家永は若い患者の血が目当てで逃げずに自発的に鶴見中尉の下で治療をおこなっているのでした。

一方の土方陣営では、家永が鶴見中尉の下にいるということが問題になっていました。家永はかつて土方陣営と共に網走監獄まで旅をしたため、家永が情報を提供すれば今の土方陣営の滞在先が鶴見中尉に知られている可能性が高いのです。網走監獄までの怒涛の旅は目まぐるしく、ひとところに長くいたわけではありません。それでも永倉門倉のように安穏と構えていてはいけないのが鶴見中尉です。尾形は、鶴見中尉は全ての滞在先を当たり自分たちを見つけに来るだろうと言います。それに土方さんも同意。鶴見中尉には用心しすぎることはない、ということで滞在先を家から寺へ移すことになります。

寺へと引っ越す中、尾形は一人食料の調達のため鳥撃ちに出ます。水辺を飛ぶマガモを狙い発砲しますが、弾は空中を飛ぶのみでした。寺へ戻った尾形が手にしていたのはマガモではなくオオハクチョウ。冬場のオオハクチョウは肥えていて飛べず、鉄砲を使わずとも捕獲が可能です。
アイヌでは「白鳥を食べると将来白髪になる」と言われており、キラウシは子どもの頃ハクチョウ=レタッチリを食べさせてもらえませんでした。白髪になりたくないと土方・永倉の大人組以外は食べようとしませんが、ぶつ切りにして鍋で炊いたレタッチリを二人は実に美味しそうに食べます。誰でも老い死ぬのだから今美味しいものを楽しむものだと土方さんは語り、それに対し尾形は鼻で笑うように返すのでした。

レタッチリの調理前、尾形がオオハクチョウを持ち帰ったとき。有古と尾形は土方陣営で初めて顔を合わせます。尾形の姿を見て驚く有古に対し、尾形は落ち着いた様子ですが、まさか有古が裏切るとはと意外そうなことを言います。

また、次の囚人のヒントが門倉の口から土方さん永倉さんへ語られました。網走監獄再建のため樺戸監獄から囚人を移送中、何者かの待ち伏せにより数名が脱走。脱走したのは海賊房太郎の側近たちでした。海賊は網走脱獄囚24人の一人です。海賊房太郎を仕留め土方陣営は鶴見中尉より先に新たな刺青人皮を手に入れることができるのでしょうか。

 

ハクチョウは水面下で…という俗説

尾形はもう狙撃ができないのでしょうね…。撃てど当たらない。オオハクチョウも、キラウシが手でも捕まえられると言っているから、マガモを打ち落とせず仕方なく仕留めた獲物かなと思います。外した描写は一発だけなのでミスリードな気もしないではないですし、訓練してまた精度を上げてきそうな気もしますけどね。尾形って努力していることを一切におわせなさそうだし、かつてできていたことができないという一面を見せるのも嫌がりそうですし。土方陣営で狩りをしながらリハビリするのかしら。

それにしてもオオハクチョウって大きいな!水鳥だから羽が多そうだけど大の大人がこんなにいてもまかなえるほどの量があるとは…。
あと寺で修学旅行みたいにお布団並べて寝てるの可愛すぎません?すっかり打ち解けた感じ出てるし。尾形も有古の隣にちゃっかり寝てるの本当に可愛い。コマ構成の都合かなとも思いますが布団の真ん中よりも有古側に寄ってるの可愛いですねほんと…人と馴れ合わないわりに置いてかれるのは嫌いそうで、猫ちゃんだ本当に。
土方さん永倉さんの歴戦の志士たちがいるおかげで世間一般ではとうにオッサンと呼ばれる年齢である門倉たちも少年みたいに見えてくるので、年齢構成や関係性って大切ですね!尾形もこの安定感あるメンバーの中では猫ちゃんとして振る舞えていますし。樺太のメンバーでは猫ちゃんになれる関係ではなかったんですよね、たぶん。

さて尾形は、有古との再会や土方さんの死生観から、何を思ったのでしょう。
有古が二重スパイだと気付くのは尾形のような気がします。観察眼すごそうだし鶴見中尉の下にいたからどの情報を二重スパイのために持ち込まされたなどもわかりそう。
尾形はどんな死生観を持っているのかな。私は土方さんの語る、今を生きるということに共感を覚えますが、尾形の「はッ」は共感にも反発にも受け取れますね。
土方さんと尾形といえば、土方さんは尾形が狙撃手としての機能を失っていることに気付いているのではないかなとも少し思いました。「尾形が正しい」、これは鶴見中尉の下にいた人間としての価値があると認めているということかなと。狙撃手としての座をなくしても戦略担当として居場所がきちんとあるのだと伝えているように受け取りました。狙撃手が片目をなくすってそもそも痛手ですからね。マガモ狩りの様子を誰にも見せず一人で行っているあたりからも、やはり尾形はもう撃っても当てられないんじゃないかな…。この段の冒頭で述べたことと変わっていますが、尾形はジョブチェンジを余儀なくされ、チェンジしたあとのレベルが低い状態でも構わない役に立つさと土方さんが言っているのだと思います。

 

 

 

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第222話 刺青人皮

北海道の病室。樺太で負傷した鯉登少尉は、インカラマッに今日の運勢を占ってもらっていました。鯉登少尉はほとんど簀巻きにされ寝かされていますが、月島軍曹は普段通りの様子。占いで楽しそうな二人に対し相変わらずの鉄仮面対応です。

さて、なぜ鶴見中尉に半ば谷垣にとっての人質として捕らえられていたインカラマッが、鯉登少尉と仲良く病室で占いで盛り上がっているのか?インカラマッは網走監獄でキロランケがウイルク殺しに関わっていると証明するため、自らの腹に彼のマキリを刺して負傷していました。鶴見中尉に捕らえられたあとは治療を受け、順調に回復へ向かっていたはずですが――
彼女は妊娠していました。父親は谷垣です。

一度は大泊で金塊争奪戦を抜けマタギに戻ると宣言した谷垣ですが、鶴見中尉にインカラマッが身籠ったことを伝えられると、さすがに驚きを隠せません。そこへ追い打ちをかけるように囁く鶴見中尉。
アシリパを連れてくれば谷垣とインカラマッを解放する。お前ならば警戒されずに杉元たちに近付けるはずだ。
谷垣は鶴見中尉の元へ寝返り、杉元を出し抜いてアシリパさんを連れてくるのでしょうか…。

一方、不穏な気配は土方陣営にもありました。土方・永倉・牛山・門倉・キラウシに、尾形が合流したのです。
何食わぬ顔で戻ってきた尾形は網走監獄以降のことを話します。もちろん、全てが真実というわけではありません。尾形がキロランケと手を組み、のっぺら坊ことウイルクと杉元を狙撃したはずですが、「流れ弾に当たった」と嘘をつきます。
ソフィアたちが鶴見・土方の二陣営に加わり三つ巴の戦いになるであろうこと、アシリパが暗号解読の鍵を思い出したであろうことを尾形は語ります。

残りの刺青人皮は、4枚。鶴見陣営と土方陣営に集中していますが杉元たちはどう立ち振る舞うのでしょう。

 

二人目のスパイ

今週は、展開が、情報が、多い!!!

まず何と言ってもインカラマッの妊娠。まさかあのラッコ鍋のときのアレが……!
そしてそれを利用する鶴見中尉。稲妻・お銀の子に対しては慈悲深いところを見せましたが、今回はお腹の中の子ともども人質です。授かりものなのでまったく読めない要素ですが、これによって鶴見中尉がアシリパさんを手に入れる糸口を見つけたので、鶴見中尉は本当に悪運に恵まれていますね。
これで鶴見中尉は二人のスパイを得たことになります。一人はもちろん谷垣。杉元たちに向けたスパイですね。まだ谷垣がそれをすると決まったわけではないですし、律儀な性格からして人をだますなんてできなさそうなので、結局杉元たちに味方することになる予感もありますが、谷垣にはまだまだ苦難が待ち受けています。
そして鶴見中尉のスパイ、もう一人は有古。鶴見中尉を裏切ったと見せかけ土方陣営に潜り込んだはずですが、今週は姿が見えませんでしたね…。もう対処済みなのかな…?

あとは鯉登少尉も無事に回復しているようで何よりです。相変わらず元気そう。占い結果にはしゃぐところなんて子どもみたいでかわいい。インカラマッになついていそうなのもいいですね。この絡みをもっと見たいですが、最終的に敵対関係になるだろうことがなんとなく見えているので、一時の関係かと思うと切ない…。

 

何なんだ尾形

そして最後に尾形。しれっと嘘をついてまた戻ってきたのが、もう本当に、お前………。それでこそ尾形だ!という興奮すら覚えますね。
そういえば北海道のときは猫ちゃん扱いだったんですよね。牛山やアシリパさんからの扱いが特にそうだったような。猫ちゃんみたいに自分の真意を見せない人間なのかなと思っていましたが、それが樺太に行ってからは――人が変わったというか、おそらく樺太で見せた顔のほうが本性でむき出しの感情をそのまま出しましたという格好なのでしょうけど――まるで今までと別人のようで怖かったです。今まで同じ旅路を歩いた仲間だったのに杉元を狙撃したあたりからショックでまったく尾形という人間がわからなくて、樺太では常にアシリパさんを試しているような態度で、なんだかずっと落ち着かない感じでした。樺太で初めて尾形の感情丸出しの部分を本人の言葉つきで垣間見て、ますます訳がわからなくなりましたね!真意を見せない猫ちゃんみたい、とは言いましたが、その真意の出し方も下手くそか!という感じで、まぁ猫ちゃんであることには変わりはないんですけども……猫ちゃんは誰かを大好きだけどそれを隠すツンデレな感じのイメージでしたが、尾形が隠していたのはもっとヤバい感情でしたね。ツンヤバ。

尾形は土方陣営に戻ってきましたが、今回もまた真意が見えません。なんでこいつ金塊争奪戦やアシリパさんにこんなにこだわるの?という大本の疑問はまだ何も語られていないんですよね…。人を騙していくつもの陣営を渡り歩いて、アシリパさんに執着しているけども近くにいたいとかそんな温かな理由ではないですし、けれど鍵を聞き出したい金塊を手に入れたいというのが理由でもなさそうで。ほんと何なの?

でもこんなに訳のわからない男ですけど、それでもやっぱりいいなぁと思ってしまうのです。何か目的があって俺以外全員騙して裏切るなんてかっこいいじゃないですか。その行動の理由がたぶんドロドロにくすぶったマントルみたいな感情だと思うと、本当にこの先の尾形が楽しみですね……!

 

 

 

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