ゴールデンカムイ第193話感想

こんばんは、うたげです。
ヤングジャンプで連載中の「ゴールデンカムイ」最新話の感想です。
ネタバレありますので、未読の方・コミックス派の方は気をつけてくださいね。

 

登別温泉

樺太組はすっかり落ち着き、杉元白石アシリパさんの三人組もすっかりいつもの感じですね。
尻を出し合う杉元と白石。…という字面だけだと何が何やらですが本当にそうです。
菊田・有古のペアは第七師団の中の反乱分子みたいな位置付けかなと思っていたのですが、他の兵士と同じように鶴見中尉を信奉しているよう。
それゆえに宇佐美・二階堂のほうがよりお傍に置かれていることを良く思っていないようです。
金塊に繋がる情報をより多く得るため嗅ぎまわっていた菊田はついに都丹が刺青の囚人とつきとめ、二人が激突。
というのが今週のあらすじです。

 

アイヌの昔話

作品の中で昔話(伝承レベルのものから個人の思い出まで)が出てきたら必ず何かに繋がる展開を予想しますよね。
ゴールデンカムイではアイヌの昔話がよく出てきます。
それが次の展開の伏線になっているので今回出てきたニヴフの「ばけもの川」というお話もつい深読みしてしまいます。
この話でキーになるのはやはり「」。
かなりわかりやすく杉元とアシリパさんの会話のシーンでまとめられていますね。
伝承されているお話には教訓があるもの。このお話の教訓は「悪いことをする者は、自分を見られることが怖い」。
アシリパさんがこういった旨のことを語るシーン、背後には横になる尾形が。
もちろんその目元には包帯が巻かれていますが、そもそも包帯がなくても柱で目が隠れる位置にいるという。
二重に目が隠されていて、尾形にこの言葉が痛いほど当てはまる存在だということを示しているように思えるのです。
アシリパさんの言う「悪いことをする」というのは行動そのものの是非が問題なのではなく、「うしろめたさがあることをする」ということなのではないかなと思います。
尾形は人を殺す人間には罪悪感なんてないはずだと自分に言い聞かせながら人を殺していました。
でも、ないはずだ、という否定の言葉は、それを持っているからこそ出てくる言葉。
こちらの記事(ゴールデンカムイ第187話感想)でも書いたように、尾形はそもそも人を殺すことに罪悪感を覚えていると思います。
罪悪感があるからこそ、人殺しは越えてはならない境界線を越え罪悪感すら覚えない存在になったのだ、という罪悪感を押し込めるための理屈が必要なんです。
今回、柱と包帯で二重に「目」が隠された尾形
罪悪感というキーワードは作品一似合う男ですね。

さて「」といえば忘れてはいけないのがやはりアシリパさん
ウイルクの娘というしるしとして、薄く緑がかった青いきれいな目を持っています。
そんな印象的な目を持つアシリパさんが、罪悪感代表・尾形の目を傷つけたというのは興味深いです。
アシリパさんの透き通った美しい目は、真実を見つめる目――という位置づけのような気がします。
まっすぐ見つめられたら罪悪感を持つ者は膝をつき改心する、という効果がありそう。
それってまるでキリストみたい…。

もう一つ気がかりな点があります。
それは杉元
杉元と尾形は似ているのですよね。
どちらも人を殺すことへの罪悪感から逃れるための自分なりの理屈を持っています。
尾形は、みんな罪悪感なんてないはずだ。
杉元は、殺されるやつは人間じゃないんだ。
二人とも主に戦争のさ中に敵兵と対峙した際の心の支柱のようなものだと思いますが、尾形のほうはアシリパさんの前で華々しく散りました。死んでませんが。
その屁理屈とも呼べる人殺し理論は、アシリパさんによってくじかれたといいますか、やっぱりおかしいってわかってるよね?と心の根っこの部分を指摘されたように見えるのです。
そして今の杉元は、先週の感想に書いたようにアシリパさんの意思から段々離れつつあるのかもしれない
これらの状況を踏まえると、どこかでアシリパさんが杉元を軌道修正する時が来るような気がします。
アシリパさんを解放するという目的のため周りが見えなくなりつつある杉元。
アシリパさんには杉元の目を覚まさせてあげてほしいなと…キリストよろしく迷える子羊を導いてあげてほしいなと思います。
その過程でアシリパさんが傷つく展開も予想できるので少し心苦しいですが…でもそういうこともアシリパさんなら乗り越えられるって信じてる。

 

刺青人皮集め

樺太は心理面に不穏な気配を読み取れますが、北海道ではドンパチやっています。
都丹は同じ盲目の仲間たちとあんまの振りをしながら第七師団の情報を集めていたのですね。
そしてそれを土方さんへ流していたと。
明かりを用いた戦い方は都丹らしく好きです。
自分の戦力を考えて有利な状況を作り出す、頭脳戦が好きなのですよね。
でもそれを上回る菊田特務曹長の先読み力
眼帯を外しながら暗闇で戦う様、かっこいいです。

かっこいい戦闘の他、第七師団の中がどうなっているのかが少し垣間見えたのが面白いです。
鶴見中尉が絶大な支持を集めているのはよくわかりました。
菊田特務曹長も鶴見中尉に心酔しているようですね。
でも、そんなカリスマ(という表現が合っているかは自信がないです)だからこそ、そのお傍にいるべきなのは誰なのか?という、右腕争いが起きているわけですね。
とはいえ階級も実力も申し分ない鯉登少尉と、過去の出来事を乗り越えてそれでも共にいる月島軍曹は、鶴見中尉の側近殿堂入りクラスでしょう。
なので菊田特務曹長が争う相手は、次点の宇佐美や二階堂になる。
宇佐美たちを妬ましく思いどうにかその座を奪いたい菊田特務曹長に対して宇佐美たちは特に何も気にしていなさそう。
果たして菊田特務曹長のこの奮闘が報われる日は来るのでしょうか。
たいてい仲間内の誰かの座を奪おうとする側ってうまくいかないことが多いので心配…。
それに都丹も、得意な暗闇での戦闘も決して有利ではない状況で、どう戦うのでしょう?
先週まで樺太の果てのさらにその先の氷の上で、満身創痍の男たちの悲痛な戦いが続いたので、久々のテンポのよさそうな戦闘にワクワクします。

来週も楽しみですね!

 

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