こんにちは、うたげです。
ゴールデンカムイ最新話の感想です。
ネタバレ含むうえに一ファン個人の想像・妄想・曲解だらけなので苦手な方は気を付けてください。
小難しい考察はしない・できないので、気楽に読んでくれたら嬉しい。
第313話 終着
杉元が振り下ろした土方歳三の愛刀により鶴見中尉の仮面が落ち、権利書の入った矢筒も紐が切れた。そして鶴見中尉の胸元からは、妻と娘の指の骨が転がり出た。
鶴見中尉の体から離れた矢筒目掛けてアシリパは飛んだ。しかし鶴見中尉が早かった。鶴見中尉は妻子の骨を諦め、権利書を手に入れるほうを選んだのだ。
未だ動き続ける汽車の車輪にひかれ粉砕された骨。散っていくさまを仮面のはがれた顔で見つめる鶴見中尉。
アシリパは鶴見中尉の握る紐をマキリで切り、矢筒を奪い返した。しかし足場が悪く汽車から落ちそうになってしまう。そこへ身を乗り出し手を掴んだのは杉元だが、鶴見中尉により和泉守兼定を奪われ刺されてしまう。
ゴールデンカムイに愛するものみな殺される。
すべてウイルクのせいだ。
ウイルクの娘アシリパに鶴見中尉は言葉を投げつける。
刀が胸を貫通している杉元は力を振り絞り、アシリパを上空へ放り投げた。
そのときアシリパが見た杉元は微笑み、いつもの言葉をそっとアシリパへ手渡すのだった。
アシリパはあとから馬で追って来た谷垣と白石に受け止められた。汽車は終着駅の車庫の扉を突き破る。
杉元は鶴見中尉の手を握り銃口の向きを変えさせると、力を込めて引き金を引かせ、鶴見中尉の胸を撃ち抜いた。
そのまま二人は汽車もろとも海へ落ちた。
成仏した死神
鶴見中尉は妻子の遺骨よりも権利書を優先したのですね。
しぶとさが表れているなと思いました。
これから先も生きていくには妻子の思い出よりも権利書が必要だと理解していますし
咄嗟のときもその理性的な判断に従えるくらいには
鶴見中尉はまだまだ生きて活躍(暗躍)していくつもりだったのでしょう。
ここで奥さんと娘さんの遺骨が砕かれることで鶴見中尉にとっては成仏できたのかなと思います。
もはや軍での居場所もなく愛した家族もなく仲間も失った鶴見中尉。
「死んでいる」といっても過言ではないのではないでしょうか?
けれど彼とこの世を力強く結びつけるものがありました。
それがフィーナとオリガの骨です。
骨が砕かれてなくなってしまうことで、彼をこの世へ縛り付ける鎖がなくなったのかな…と感じました。
だから海へ落ちる前に、虚ろな目で歯をカチカチ打ち鳴らすという、死神風情の仕草をしたのかなと。
アイヌの金塊を狙ったのは満州進出のためだけか?
個人的な弔いはただその大義に付随しているだけか?
最終局面でウイルクの名前を出した理由は何か?
鶴見中尉の意図は本当のところ何だったのか?
彼自身の口から語られていることは果たして真実なのか、わかりません。
ただ全てを語っているわけではないというのは確実だと思うので、
私たちは鶴見中尉の思いを想像するよりほかないのですよね。
でも満州というのは建前な気が、やっぱりするのですよね…特に今回の話を読むと。
本当は愛した妻子を奪われた恨みが根底にあり、本音もそこにあるのでしょう。
だとするとやはり土方さんと同じで鶴見中尉も死に場所を探していたのかなと思ってしまいます。
妻と娘を亡くしたときに自分も死ぬべきだったが死ねなかったのです。
それであれば自分に課せられた使命を全うするのみ。
でも本音としては妻と娘のいない世界に生きる意味を見出せない。
だから満州進出という支えが必要だったのかもしれませんね。
満州とか戦友とかは、本当はどうでもよくて、
自分が今も生きてしまっていることへの言い訳程度だったのかもしれません。
妻と娘の仇討ちや、これから先を生きる意味、といったものを正当化するために作られた建前かもしれません。
そうだとすると、今回、遺骨ではなく権利書に手を伸ばしたのも理解できる気がするのですよね…。
権利書があれば生きる意味というものがとりあえずは続きます。
けど遺骨に手を伸ばして権利書を諦めてしまったら。
鶴見中尉のパーソナリティを考えれば、遺骨を選んだ場合はどうにか逃げて生き延びるでしょう。
けれど、なぜ生きるのか、という支えの部分がなくなってしまうんです。
それなのに遺骨によりこの世にまだ縛られる。
空虚な人生よりも可能性に賭けた、という感じでしょうかね。
アシリパさんと杉元を相手に生き残る可能性は高くないけれど、
死んだような生を生かされるよりは…と。
そう思うと鶴見中尉もやっぱり人間なんだなと思わずにはいられないです。
長谷川幸一としては一度死んでいて、鶴見中尉という死神として金塊争奪戦を走り抜けたのだと思いますが、
長谷川幸一としても鶴見篤四郎としても、今回で成仏してほしいなと思います。
鶴見中尉は今回で(おそらく)死亡してしまいますが、鶴見中尉の勝利でしょう。
仮に生きて満州へ進出しても、ここ死んでいたとしても、どちらも彼の望みなのですから。
さて死神が(おそらく)去り、果たして黄金のカムイはアシリパさんや杉元に恩恵をもたらしてくれるのか。
それとも鶴見中尉の言う通り、災いをもたらすのか。
残り一話、ドキドキしながら一週間待ちます。
(このブログは私の想像で作り上げた部分がほとんどですのでご了承ください。
なぜこの行動をするのか?を想像していくのがゴールデンカムイの楽しみ方の一つだと思いますので
楽しんで読んで解釈させていただいております。)
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