ゴールデンカムイ第276話感想

こんにちは、うたげです。

ゴールデンカムイ最新話の感想です。
ネタバレ含むうえに一ファン個人の想像・妄想・曲解だらけなので苦手な方は気を付けてください。
小難しい考察はしない・できないので、気楽に読んでくれたら嬉しい。

第276話 エビフライ

初めての洋食を前に見合い開始早々、ギブアップ宣言をしそうになる杉元だが…金子花枝子はそれを「おふざけ」と受け取ったようだった。勧められ脱帽した杉元の顔を見て金子花枝子が生唾を飲み込む。彼女は面食いだった。
最近流行だというエビフライは非常においしく、帝国ホテルの他にも鹿鳴館などへ行くという金子花枝子の話を聞きながら、杉元は父が死んだあとの過酷な食事を思い返していた。他人の家の猫の餌すら食べなければならない状況だった。

見合いの第一回目は何事もなく終了したが、杉元には上流階級の見合い結婚が異文化として映った。杉元にとっての結婚で身近な例は寅次と梅ちゃん。寅次に言われた、梅ちゃんにとっては杉元がまだ一番だ、という主旨の言葉が忘れられない。ただ菊田に言わせれば、女は好きな男を塗り替えるからいつまでも同じ男が一番であり続けるわけがないし、男は未練たらしく好きな女のことを思い出すもの。寅次の不安を理解して、二人のいる故郷はキッパリ捨てろ――そのアドバイスに杉元は笑顔を見せた。

一方で金子花枝子のほうは、花沢勇作に扮した杉元のことをいたく気に入っていた。杉元は寡黙なつまらない男を演じたつもりだったが、金子花枝子にとっては自分の話を否定せず聞いてくれる男に映っていた。あと何より顔が良かった。
お付きの女中である山村ハマ子にも面食いであると言われていた金子花枝子は、いとこにも面食いであることをとがめられていた。そのいとこのお兄様は、華族女学校から花嫁を選ぶ男性の例に漏れず、器量で相手を選んでいた。金子花枝子のいとこが器量で選んだ相手は、「クリクリの癖毛の田舎娘」だった。

見合いの席でのエビフライを思い出していた杉元の心には、一つの疑問が生じていた。花沢勇作自身は聯隊旗手になりたがっているのか?と。
軍隊で死ぬかもしれない日々を送るよりも財閥に入りエビフライを食べる日常のほうが送りたいのではないか――菊田は余計なお節介だと一蹴したが、杉元は花沢勇作本人に会いに行き本音を確かめようとする。死ぬかもしれない旗手に本当になりたいのか、と杉元が問いかければ、花沢勇作は、父の教えに染まり切った答えを返すのみ。エビフライを食べる道があるかもしれないのに、今菊田と杉元がしていることはその道を隠すこと。杉元にはそう思えてならなかった。果たして別の道もあると示されたら花沢勇作はどちらを選ぶだろうか。
杉元の質問が終わると花沢勇作のほうが杉元に問いかけてきた。その帽子は菊田軍曹のものではないか?と。菊田から借りている帽子には、射撃訓練でついた小さな穴の縫い目があった。さらにその帽子は、日清戦争で病死した菊田の弟のものだった。
病死した弟さんの帽子を見ながら歩いていると人にぶつかり、帽子を落としてしまう。それを拾ってくれたのは、月島・尾形・宇佐美を連れた鶴見中尉だった。

 

誰のための道か

今回も…情報量が多い…

えご草ちゃん、本当に東京へ嫁いでいたとは…!ということは鶴見中尉が月島軍曹に語ったことは事実だった…。生きていてよかった。旦那さんとお金に不自由しない幸せな生活を送っているといいな。
でも今回の菊田の話を当てはめると、えご草ちゃんはもう基ちゃんが一番ではない、ということになりますかね…?月島軍曹のほうだけがずっと思い出し続けているという…。まぁ月島軍曹はえご草ちゃんが幸せならそれでいい、と言いそうだし、何より花沢勇作の見合い相手のいとこの嫁、という遠縁が月島軍曹と繋がってしまう可能性は低そう。だから今回のえご草ちゃんの登場は、「鶴見中尉が語ったのは真実」ということの示唆…?つい数話前の、「月島軍曹が欲しがっていた答えを与える鶴見中尉」を見たばかりでこの展開は、本当に揺さぶってくれますね…!

菊田がくれた帽子はやはり弟さんのものでしたね。でも射撃訓練で殺されかけた、って…事故ではないような言い回しなのが気になるんですけど…。候補生の恨みを買うようなことがあったのでしょうか?

勇作さんは父上に洗脳されている様子でしたね。それを堕落させてなし崩し的にそうさせようとしたのが尾形で、別の道もあるのになと思いながらも何もできず悶々としているのが杉元。尾形は鶴見中尉の命で、杉元は菊田さんに協力して。鶴見・尾形と、菊田・杉元の人の動かし方の違いが出ているし、勇作さんはこんな人たちに翻弄されまくっていて大変だな…と思います。結局彼は父親の操り人形のようにで、自分自身の意志で何かするというわけではなかった。腹違いの兄上を抱きしめたのは彼自身の意志かもしれないけれど、それすらも父をはじめ周囲に刷り込まれた価値観からと見るほうがしっくりきますからね。
杉元と勇作さんが会話する場面で、別の道があることを言わずにおいた杉元はやっぱり優しい青年だなと思うと同時に、その道を歩みたいのは杉元自身では?とも思うわけです。勇作さんにとってはお国のため命を使うのが幸せな道なのに、それ以外の道もあると思ってしまうのは、ただの他人からの幸せの押し付けでしょう。菊田さんに止められているからという理由の他にも、自分の理想の押し付けでしかないから、というのも別の道があると言い出さなかった理由でしょうね。
そう思うと勇作さんは、自分はこの道を歩みたいのに、他人に別の道があるのにと葛藤されたり(杉元)、こっちの道においでと強制的に連れ込まれそうになったり(尾形)と、まぁ翻弄されていますね…。高級将校のお坊ちゃんらしい役回りだなと思います。

食うに困っていて飯のために軍隊に入ろうかなと言ったりエビフライが食べられる生活に嫉妬したりする青年にとっては飯が何より大事なはずなのに、いつの間にか金塊を見つけて治療費にすることが参戦動機になるのだから、やっぱり杉元にとって梅ちゃんは心のとても大きな部分を占めていたのですねぇ…。今はウェイトが変わっていると思いますがね、アシリパさん中心に。

 

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