ゴールデンカムイ第212話感想

こんばんは、うたげです。
ゴールデンカムイ最新話の感想です。
ネタバレを含みますので未読の方・コミックス派の方は気をつけてくださいね。

また、以下は私の所感です。
一ファン個人の想像・妄想・曲解を多分に含んでいますので、そういうものとしてお読み頂ければ幸いです。

 

第212話 怒り毛

鶴見中尉のもとから逃げている杉元とアシリパさん。舟が置かれた倉庫の中を走り抜けていきますが、アシリパさんは行き先が決まっているようです。逃げる先に当てがあるということで、誰か味方になってくれる人がいるのでしょうか。

鶴見中尉は当然、部下たちに二人を捕らえるよう指示します。月島軍曹たちが手分けして探し始める中、谷垣が狼狽えた様子でこぼしたのは、アシリパさんがフチの村に戻れなくなる、ということ。鶴見中尉はフチの村、つまりアシリパさんが北海道に戻ったら行く先である場所を知っているのです。

倉庫の入り口で出くわした宇佐美を、杉元がバックドロップと踏み付けで追い込み、アシリパさんが積まれた米俵を落として動きを完全に封じます。応援にやってきた他の兵士に対しても米俵が大活躍。第七師団の兵士を蹴散らしながら二人は逃げ続けます。

しかしながら月島軍曹に出くわしてしまい、杉元の足は止まります。月島軍曹は躊躇なく撃ってきたのです。3、4発の銃撃を食らい倒れた杉元のところへアシリパさんが駆け寄ります。アシリパさんのおかげで銃撃は止まったものの(鶴見中尉はアシリパさんの記憶がほしいので傷つけたくない)、鯉登少尉までやってきてしまいます。

銃撃を複数発受け、杉元は再起不能に思われたのでしょう。アシリパさんへ拳銃を向けながら鯉登少尉が二人へ近づきます。それを見て、離れろと叫ぶ月島軍曹。ヒグマのように、怒りで毛を逆立てた杉元は、鯉登少尉に反応を許さず鯉登少尉の心臓の位置へ剣を刺します――。

剣は鯉登少尉の体に刺さると同時に背中側まで貫通しました。
俺は不死身の杉元だ、そう叫んだ杉元は他の兵士を叫んだ勢いのまま始末し、奪った銃を振り回して周囲を圧倒します。

二人がその場から逃げ出すと、月島軍曹が座り込んでいる鯉登少尉へ近寄ります。剣を抜かないよう鯉登少尉を制止し、さらに、感情的に動くなといつも注意していたでしょう、とこぼします。昨日は素直に注意を聞いてくれたのに、と胸の中でも同時にこぼしながら。

そのとき鶴見中尉が通りがかります。鯉登少尉の頭を膝に乗せている月島軍曹を一瞥し、無言で杉元たちが逃げたほうへ歩いていく鶴見中尉。月島軍曹にも、鯉登少尉にも何の言葉もかけません。

鯉登少尉が戦闘不能になり兵士も数名失った鶴見中尉と月島軍曹。銃撃を受け満身創痍の杉元と、アシリパさん。彼らの追いかけっこはどうなるのでしょうか。

 

それぞれの境遇おさらい

今回は各自の言動で、置かれている状況や辿ってきた経歴がよく見える話だったなと思いました。

まずは谷垣。アシリパさんとフチを心配していましたが、彼がこの旅にやってきたそもそもの発端は、レタラによって負わされた脚の怪我をフチにお世話になって癒したことが始まりです。恩返しのために、孫を連れて戻ってくるというのがきっかけなのです。
また、彼自身もインカラマッを人質に取られているような状況です。アシリパさんにとってフチが人質になっている状況だというのを、おそらく他の誰よりも理解できています。だからこそ二人が逃げ出して一番肝を冷やしたのではないでしょうか。

次に鯉登少尉は、状況を冷静に見極めず突っ走ってしまう青さが目立ちました。若い将校、という性格のほうが勝った描かれ方でしたね。
なんやかんやあっても生き残る次代の象徴というポジションかと思っていましたが違うのでしょうか…。迂闊なボンボンとしてこのまま終わってしまうのですかね…尾形に言われたことが気になって最終的に鶴見中尉の元を離れるという筋書きが一番きれいだと思ったのにな…。

月島軍曹は、鶴見中尉のやることに対し思うところありつつも、それを行動に表すことはせず任務を忠実にこなす人でしたね。でも刺された鯉登少尉に対して、戦友への想いの一端を見せていたあたりが今週の好きポイントです。菊田のようにすぐに杉元たちを追わず、鯉登少尉へ声をかけるところが、激昂のあまり父親を殴り殺し上官にも殴り掛かる彼の激情っぷりを少しだけ見せています。ただただ鶴見中尉に忠実な部下ではないのです。それに、かつての鯉登少尉のようにひたすら心酔というわけでもない。思いを抱えながらも自らの選択として鶴見中尉についていくことを選んだ大人の部分と、刺された鯉登少尉を通り過ぎることができなかった情に厚い部分とが、今回のお話に詰まっているなと感じました。

月島軍曹は鯉登少尉を救おうと急ぐ様子も、想定外のことを引き起こされて焦る様子もなく、ただただ静かに語りかけていました。この逃走劇に似つかわしくない穏やかさが、鯉登少尉の終わりを確信しているように見えますが果たして鯉登少尉はどうなるのでしょうか…。鶴見中尉も一瞥しただけで素通りです。鯉登少尉は駒に過ぎず使い終われば声をかける必要もないということでしょうか?

 

暴走杉元再び?

杉元はスチェンカで暴走したとき、根っこには網走監獄で何もできなかった不甲斐ない自分についての後悔がありました。その後、アシリパさんを戦いから遠ざける、とアシリパさんの意思を確認せずに突き進みます。このように杉元はアシリパさんと離れてからやや不安定な部分がありました。
しかし前回のお話でアシリパさんが杉元へ私のことは私が決める、と意思表示。それによって杉元もアシリパさんの意思を確認し同意したうえで戦うことになり、久々に清々しい笑顔を見せてくれました。

アシリパさんは杉元を救って来たのです。北海道の山で狩りをし、戦場に行ったままの青年の心を少しずつ人に戻しました。
暴走していた杉元の心も、矢じりに毒のない矢を放つことで、一瞬で信頼し合っていた相棒の頃の杉元へ戻してしまったのです。

さて、今回はアシリパさん側の心境について考えてみました。
俺は不死身だと自分を奮い立たせ、短期間であれ行動を共にした鯉登少尉ですら攻撃し、敵であれば容赦なく殺す杉元を見て、アシリパさんは何を思ったのでしょうか。

おそらく、杉元にはまだ救いが必要だと思ったのではないかなと思います。本人がそう自覚したというよりも、尾形との流氷上でのやり取りを経て、杉元のこの様子はもしかして苦しんでいるのかもと感じたんじゃないでしょうか。

杉元は、俺は不死身だと叫びますが、これは自分を奮い立たせるためだと思います。不死身だから暴力を恐れない。不死身だから恐怖に屈しない。不死身だから立ち向かえる。不死身だから死ぬことは怖くない――。
でもそれは裏を返せば、痛みや死を恐れるただの人間の心があるからゆえなのではないでしょうか。恐怖する自分を焚き付け前進させるための合言葉が「俺は不死身の杉元だ」。

杉元は本当は梅ちゃんに認識してもらえる人間でありたいのかもしれません。アシリパさんと出会い山で狩猟生活をしていた頃の杉元はあの頃の杉元だったのかも。
そのときの杉元を近くで見ていて、尾形からも清さを問われたアシリパさんだからこそ、樺太での離れ離れのあとに再会した杉元の様子に気付いた、と考えられるのではないでしょうか。
しかも杉元が暴走する原因はアシリパさんです。暴走しているかのように自分の体や命など顧みず敵を倒す杉元を見て、この青年は自分のためにここまで鬼になっているのだと感じ、杉元に必要なことは何だろう?という考えが過ったのではないかと。

直前に鶴見中尉・月島軍曹・鯉登少尉のエピソードが挟まれたのもそういう意味かしらと思えてきます。
鶴見中尉のために汚れ仕事も引き受ける月島軍曹。アシリパさんのために人殺しを行う杉元。
この役割分担を続けるのかそれともアシリパさんがやむを得ず誰かを手にかけ戦う人生を選ぶのか、はたまたアシリパさんは手を汚さず杉元にもこれ以上手を汚させない道があるのか。

ほとんどただの妄想ですけど、アシリパさんと杉元の間にはもう一段階くらい、峠がありそうな気がしています。

 

 

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