ゴールデンカムイ第221話感想
こんばんは、うたげです。
ゴールデンカムイ最新話の感想です。
ネタバレを含みますので未読の方・コミックス派の方は気をつけてくださいね。
また、以下は私の所感です。
一ファン個人の想像・妄想・曲解を多分に含んでいますので、そういうものとしてお読み頂ければ幸いです。
第221話 ヒグマ男
平太と戦う杉元。それまでの親切な砂金掘り師匠が幻だったかのような形相と怪力で襲ってきます。
刺されて悲鳴を上げる平太は、もはや人なのかヒグマなのかも曖昧な様子で描かれています。苦痛に悶える平太なのかヒグマなのか曖昧な存在の口から出てきた人の手が、アマッポの紐を引き……杉元の喉元へ向けて飛んだ矢は、平太の喉に突き刺さりました。まるで杉元をかばうかのように自ら射られに行った平太のおかげで、ヒグマ男と杉元の戦闘は唐突に終わりを迎えます。
松田平太は、人を殺して死刑囚となっていました。幼い頃に聞いたアイヌのウェンカムイの話が恐ろしくて、ずっと空想していた平太は、砂金を掘ってもすぐに散財してしまう家族を憎んでいました。そしてある日、平太のウェンカムイが散財する家族にバチを与えました。家族を惨殺したのです。門倉の話では、平太は自分の中に何人もの人間がいると話していたそう。ヒグマが平太の頭の中の人間を一人ずつ食べていき、最後に平太が食べられるとウェンカムイに乗っ取られる。乗っ取られたら現実の人間を殺さずにはいられなくなり、殺すと平太の体はバラバラの肉片になって飛び散り、やがて元の平太に戻る。それを何度も繰り返して網走監獄に入ったのです。しかしウェンカムイに食われ誰かを殺す行為を誰かに止めてほしいと願っていた平太は、杉元と戦うことで自らとどめを刺すことに成功したのです。
アイヌにとってウェンカムイは悪い神であり、仕留めたあとは皮も肉も切り刻んで、改心するよう山へばらまいています。また、ウェンカムイに殺された人間は、カムイに好かれていたから連れていかれたとされています。平太が自分の中で膨らませたウェンカムイ像は、アイヌの考えが正しく伝わっていないがために間違った方向へ膨らんでいたのです。
アシリパさんの言うように正しく伝えることの重要性か。はたまた砂金の人を狂わせる魔力か。平太の件から得られる教訓は様々です。
人間を送るということ。
今週は平太の話の解決編でした。が、気になる点がいくつか。
■平太にとどめを刺したのは本人なの?
平太の毛皮の口から手が出てきてアマッポを作動させ、それがとどめとなりました。が、あの手は、一体誰のものだったんでしょうか。作中では平太の空想と読者・杉元の視界が入り混じっていて、何が現実なのかがわかりにくくなっています。意図的にそうしていると思うので、だからこそ大事なとどめの場面でそうする理由が何かあると思うのですが……残念ながら私にはわかりません!
平太はヒグマの毛皮を被っているだけでヒグマ自体が戦っているわけではないのですよね。けれどヒグマが唸り声を上げたり刺されて悲鳴を上げたり。ウェンカムイに乗っ取られそうになっている平太、というのを表しているのだろうなと思います。
ヒグマの口から出てきた手は、杉元と同じコマに描かれていても、その手を杉元が目線で追っている様子がなくて認識していないように見えます。つまり平太の妄想かもしれないのです。
けれどアマッポは発動していますから、誰かが紐を引いたのでしょうけど。実際には揉み合っているうちにどちらかの体が紐に触れて、ということなんでしょうか。それを平太の側から描くとこうなるのかな。
■杉元の銃は何を示している?
杉元の銃は、平太と揉み合って崖から落ちたときに木に引っかかっていました。二人の後を追うアシリパさんが回収した様子もないので、平太が倒された今週の話の最後の時点ではまだ木の上です。
揉み合ったときに体を離れることはままあると思うのですが、木の上にあるのをしっかり描いたコマが挟まれていて、銃が杉元の体を離れたんだなぁとハッキリわかります。あえてそれを見せる理由が何かあると思うのですよね。
私なりに思うのは、平太に人間として向き合う、という意味だったのかなぁと。銃は、ゴールデンカムイの中で、「軍人の象徴」として扱われているのかなと思います。銃を持っているのはたいてい軍人ですし、杉元も元兵士ですし。軍人が銃口を向ける先は様々でしょうが、お仕事で向けているので、そこにあまり感情を差し挟むことはないと思います。なので、銃を使わない=平太を彼の妄想通りのウェンカムイとしてではなく、一人の人間・松田平太として手厚く葬った、ということになるのかなと。一人の人間として送ってやりたいというのが誰の意図なのかわからないですが、優しいことじゃないですか。平太は殺人衝動に苦しんでいたようなので、ウェンカムイから解放され救われたのはよかったです。
また、杉元が白いクマを仕留めたにも関わらず送れなかったことも少し関係あるのかしらと思います。どちらで見ればいいかわからないのですが、「銃で仕留めた(=クマと人間が離れている状態で)から次は送れるよう銃を使わないよう山の神が仕向けた」「白いクマを送れなかったから山の神が銃を取り上げた」、どちらかかしら。でもどちらもほとんどこじつけなので、解釈しきれないことをカムイのせいにしてはいけないですねー。
最後は、アシリパさんと杉元の視点が違うことが浮き彫りになっているようで切ない…。
アシリパさんはアイヌ文化を伝えることを、杉元は砂金(金塊)を。二人が目指すゴールは違うものかもしれないですが、道のりは同じはずなのですれ違いなく走り抜けてほしいですね…。
それにしても北海道に戻ってきた途端に鶴見中尉や土方さん、尾形の動向が見えなくなって怖いですね。さすがに次回あたり出てきそうですが、来週はお休みです。ということは次のお話が読めるのは12月…。早いなぁ…。
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