ゴールデンカムイ第220話感想

こんばんは、うたげです。
ゴールデンカムイ最新話の感想です。
ネタバレを含みますので未読の方・コミックス派の方は気をつけてくださいね。

また、以下は私の所感です。
一ファン個人の想像・妄想・曲解を多分に含んでいますので、そういうものとしてお読み頂ければ幸いです。

 

第220話 毛皮

平太が見たというヒグマを杉元たちが探しますが、足跡も見つかりません。痕跡がないのにヒグマが目撃されるだなんて、流氷の上で白いクマをしっかり神の国に送れなかったから山の神が怒っているのでは…と案じる杉元に対し、「わからないことをカムイのせいにし考えないのは良くない」とアシリパさんがたしなめます。ヒグマがいれば必ず足跡が残る。それがないならヒグマもいないのでは――アシリパさんの言葉からは平太を疑うようなにおいが感じられます。

白石は大事な砂金掘りの師匠がヒグマに食われないようヴァシリを呼びに行きますが、当の平太は土饅頭にされた親父と三郎を見つけます。慌ててその場から走り去る平太の耳にどこからか念仏が届きます。それはヒグマに食われている嵩の声でした。腹を食い破られても念仏をうわ言のように唱える嵩の頭を踏みつけてヒグマは嵩のもとを去ります。嵩が食われ殺されるところに居合わせたノリ子は木の陰で声を押し殺していました。そこへ現れる平太。緊張と不安からかノリ子が平太に抱きつくと、興奮した平太がノリ子の唇に自分のそれを重ね合わせます。更には着物の袷にまで手をかけて……さすがにノリ子も抵抗し平太を諫めますが、そのときヒグマの大きな手がノリ子の顔を覆い、その美しい顔を爪で引き裂いたのです。

ノリ子の惨状を目撃した平太は走って逃げ、やがて杉元とぶつかります。「早く逃げないと次は私だ」「私はあいつに必ず食われる」と、平太たちを皆殺しにせんとヒグマが狙っているかの口ぶりです。親父・三郎・嵩・ノリ子、みんな平太がウェンカムイを連れてきたから食われてしまった…と涙する平太に向けられた杉元の言葉。「誰の話をしてるんだ」――実は平太の仲間たちは実在していなかったのです。嵩にいたちの行動はすべて平太が一人でやっていたこと。ヴァシリを誘惑したノリ子の行いも平太のもの。ヴァシリを呼びに行った白石は、彼が描くノリ子の裸、つまり平太の裸のスケッチを見て息を呑みます。平太の体には、金塊の隠し場所を記した暗号の刺青が入っていたのでした。

では平太が見たというウェンカムイは何だったのか。これも実在していないのか。その答えは、これも実在していません。平太は実はヒグマの毛皮を持っていたのです。何度捨てても平太の元にいつの間にか戻ってくる不思議な毛皮。ノリ子がヴァシリにスケッチしてもらったときに見つけて怯えていたのはこの毛皮のようです。しかし杉元たちから見れば、毛皮はいつの間にか戻ってきたのではなく、平太が大事そうに背負っていました。この毛皮を杉元と白石がヒグマを見間違えた、そう考えたアシリパさんは、ウェンカムイは平太の頭の中にしかいないのではと平太に言い渡します。
これまでの行動の事実が明らかになり、”自分の頭の中では”ヒグマに首を折られる平太。現実では突然倒れその上にヒグマの大きな毛皮が覆いかぶさります。”頭の中では”食われる平太が、毛皮の下で起き上がり、まるでヒグマが興奮したときのような荒い息の音を聞かせていたかと思うと……ヒグマの毛皮をかぶりまるでヒグマになってしまったかのように凶暴な顔をした平太が、杉元に攻撃を仕掛けました。

 

映画『JOKER』を見たあとに思うこと

平太は実は一人きりだったのですね。彼の妄想?の中に、ヒグマも嵩たちもいました。実在しない人物たちと行動していたということで、先週語られた「アイヌの人と仲良くなってもらった煙草入れ」のエピソードも、本当かどうかが疑わしくなってきます…。煙草入れはアイヌのものなのでアイヌの人の存在はおそらく間違いないと思うのですが、「仲良くなってもらった」の部分があやしいかな?ヒグマに殺されたアイヌの人のを持ってきた、そのヒグマは平太が仕留め毛皮にして持っている、そういったところでしょうか。

さて、平太のこれが、なんらかの原因があってそのショックからこうなったのか、それとも生まれついての一種の持病みたいなものなのか、何なのかはわかりませんが、少し悲しいなと思ってしまいます。
というのも大ヒットしている映画『JOKER』。この中で主人公のアーサーは、笑ってしまう発作や学習障害などのせいで”一般的な”社会生活からはじき出された存在です。アーサーも、”自分の頭の中で”起こっていることと現実に起こっていることが一致していませんでした。”一般的な”人たちから疎まれるアーサーは最終的にゴッサムシティの暴動の扇動者のような位置にたどり着きますが、あの映画は、人はなぜ犯罪を犯すのかという一例だと思います。
社会から仲間外れにされ笑いものにされる日々。そんな中、必死で何かをしても、社会には入れず空回るばかりかどんどん悪いほうへ向かっていく。いうなれば犯罪は、社会的弱者が辿り着く終着駅のようなものです。そこに平太を重ねてしまうのですよね…。

網走監獄に収容されていた囚人には土方さんのような時代の転換期に扱いが変わってしまったゆえの人もいれば、辺見ちゃんや親分のように己の生き様を貫いた結果の人もいたでしょう。でも実際に大半の囚人は、差別を受けていたり生まれつき体が弱かったり精神になんらかダメージがあったりという、社会からつまはじきにされた人たちだったと思うのです。
平太の頭の中には昔から親父たちがいて、という生まれついてのものでも、平太にはおそらく友達がいなくてノリ子への気持ちも報われなくて…という切ない人生の結果が網走監獄だったのだろうと想像してしまいます。また、何かの事件のショックでこうなったというのでも、きっとそれは人が殺されるということに慣れていないからで、辺見ちゃんたちとは違い自らの意思で網走監獄に入れられるようなことをしたのではないのだろうな…と想像できてしまいます。

これまでの囚人は、清く正しく自分の心に正直に生きていたら監獄に入っていたというノリの人たちが多く、ある意味真っ直ぐで明るくて、見ているこちらも清々しいまでの散りっぷりだったのですが、平太はこれまでと違って強烈に「後悔」「恐怖」という負の感情が見えるので、見ていて怖いですし不憫にも思えてくるのですよね…。その感情を抱かせる理由が、ヒグマの毛皮と煙草入れを持つに至った経緯にあるのではと思っていますが、さて平太の口から何が語られるのでしょうかね。
きっとこれまでの他の囚人の中にも平太と同じように監獄に入るまでの悲しい人生があった人間がいたのかもしれませんが、『JOKER』を見ないとそこに私は思い至らなかったわけで。存在はしているけれど目を向けたことがなかったものに気付くことができる良い映画だと思います。あれ、映画の感想になってる…?まぁそれだけ濃密なキャラクターが多いということですよねゴールデンカムイには!ホラー調の平太の話、結末までとても楽しみです。

 

 

 

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