ゴールデンカムイ第204話感想
こんばんは、うたげです。
ゴールデンカムイ最新話の感想です。
ネタバレを含みますので未読の方・コミックス派の方は気をつけてくださいね。
また、以下は私の所感です。
一ファン個人の勝手な見解を多分に含んでいますので、そういうものとしてお読み頂ければ幸いです。
第204話 残したいもの
豊原まで南下してきた杉元一行。月島軍曹が鶴見中尉からの電報を受け取り、今後の予定が決まります。
鶴見中尉は登別温泉で用事を済ませ樺太へ向かうとのこと。大泊に二週間後に到着するのでそれまで豊原で自由時間です。
谷垣はチカパシ・リュウと散策。北海道へ戻りインカラマッに会うのが楽しみな二人に対して、エノノカは寂しそうな顔を見せます。
杉元はアシリパさんとクズリ狩りをします。山へ入る前のお祈りとしてアイヌの伝統的な火起こし道具で火を起こすアシリパさんは、アイヌの伝統文化について思うところがある様子です。マッチの普及により火起こし道具は猟の前のお祈りでしか使わなくなったそうです。そうして日常の中から段々と存在感を消していく自分たちの文化を、どうすれば残せるのか。いつかなくなってしまうことを憂えている様子です。ですが、狩りの途中で出会った人たちから活動写真=シネマトグラフのことを聞き、表情が明るくなります。
一方、杉元とアシリパさんの様子を遠くから双眼鏡で観察する月島軍曹。そのすぐ近くにはヴァシリも…。ロシアに帰らず本当についてきたようですね。
アシリパさんに変化が?
今週は、ロシア・樺太での大立ち回りを終え、鶴見中尉と合流するまでの、”凪”のようなお話でした。
大陸で死闘を繰り広げ、一旦収束しましたが、鶴見中尉と会えばまた何かが始まると思います。具体的には刺青の暗号を解いていよいよ金塊の在り処を突き止め、それを誰が手にするのかの争いが激化するはずです。なので鶴見中尉との再会は新しいうねりの始まりでもあるはず。月島軍曹が杉元を双眼鏡で観察、いえ、監視していたのも、杉元と第七師団は敵対関係にあったということを思い出させますね。今は利害が一致したので一時的に手を組んでいるに過ぎないのです。
月島軍曹はきっと日本領にいる間は間近で観察した杉元の様子を鶴見中尉へ電報で報告していたと思います。今回の監視や、鶴見中尉からの電報を受け取ったくだりなどから、その様子が想像できますね。
鯉登少尉は今回は冒頭でボンボンぽさを見せた以外は特に出番なし。ちなみに白石も冒頭のコマにいただけで他は登場なし。
谷垣はチカパシと本当にいいコンビだと思います。寡黙で優れたマタギである谷垣が持っていない部分を、アイヌの子どもであるチカパシが補い合っている。素敵な組み合わせですね。谷垣が、チカパシのことを頭ごなしに叱ったり、子どもの言うことだと軽くあしらったりせずに、チカパシの言動をしっかり受け止め反応しているのも、信頼関係があるという安心感、お互いが認め合っているという充足感があり、見ていて落ち着きます。
このコンビと比べると、今の杉元アシリパさんの組み合わせには少し不安感を覚えます。
アシリパさんは、自分たちの民族の伝統文化が段々と失われていくのを、ロシアでのキロちゃんとの旅を通じて肌で感じています。キロちゃんの狙い通り、この旅はアシリパさんの心境に変化をもたらしたものと思います。それまでは父親について真相を知りたいというあくまで個人の意思で金塊争奪戦に関わってきましたが、今週のお話のアシリパさんは、北海道アイヌ全体を思っているように読み取れます。
一方の杉元は、民族を思うアシリパさんに対してどう思っているのでしょう。特に明確な描写はありませんが、アシリパさんの変化に気付いたのでしょうか。先週までのことから述べるなら、杉元は”個人”としてのアシリパさんのことしか考えていないはずです。アシリパさんには、山で狩りをして暮らしてほしい、戦いになんて参加してほしくない。そう思っているはずです。
アシリパさんを戦いに巻き込みたくない杉元と、民族のためになることをしたいアシリパさん。この二人のすれ違いが、今後、大きくならないといいなと思っています。
アシリパさんの物語
以前から、アシリパさんがどうしたいのかが物語のキーになるのでは、と思っていました。今週のお話を読むに、民族を守るため、キロちゃんやウイルクが望んだように戦うのでしょうか。
万が一戦うという選択をした場合、杉元の願いとは相反しますが…アシリパさんが望めば杉元は手を貸すのでしょうか?再び、杉元vs第七師団vs土方一行の勢力図が出来上がるのでしょうか。
杉元とアシリパさんが別々の陣営に分かれることになりこの二人の和解が物語の締めくくりを導くという展開のほうが、アシリパさんの少数民族として生まれた者の葛藤が見え、アイヌを題材とする物語として深みが増す気がするのですよね。ただの妄想ですが。
ただ、アシリパさんのこれまでを思えば、アシリパさんが戦うことを選ぶとは思えないので、戦わずに伝統を残す道を選ぶものと思いますが…戦わずに存続を勝ち取る手段とは何なのでしょうね。シネマトグラフを残すことでしょうか?それこそ歴史的史料となり、日常から消えていくことを傍観しているだけのように思えますが…アシリパさんの言う「残す」ってそういうこと?
と、やっぱりアシリパさんがどうしたいのか、非常に気がかりです。
あとはなんといっても尾形ですかね。鶴見中尉と合流するまで二週間もあるので、さすがに一度くらい襲撃してきそうな予感があります。
それとも先にちゃっかり北海道へ戻っていたりするのかしら。
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