ART meets MUSIC ムンクとグリーグ

こんばんは、うたげです。
演奏会に行ってきましたのでその感想です。

 

ART meets MUSIC

先日ムンク展に行ってきた際に知った演奏会。
東京都美術館と東京文化会館、そして東京都交響楽団のコラボレーションイベントのようです。

パンフレット表紙には、三つの施設・団体の名前がしっかり記載されています。
演奏前に奏者の方が話されていたのですが、上野にある文化施設とそこを本拠地に活動する団体が協力し、お互いの集客力を高め合おうという意図が感じられました。美術鑑賞が好きな層と音楽鑑賞が好きな層、きっと親和性があると思うので、それなりに効果があるのではないかなと思います!
また、第3回目ということで、それなりに好評であろうことも伺えます。

 

行き方は?

さて、こちらの「ART meets MUSIC」、私はこうして行きました。
(第3回ということでこれまでの2回は違う方法だったかもしれませんし、これから変更になる可能性もあるので、あくまで私の行ったときの話として書いています。)

①ムンク展に行く。
②鑑賞後の半券を、東京都美術館の案内所に提示し、演奏会の整理券をもらう
③演奏会当日、整理券を持って入場する

演奏会そのもののチケットをお金で買うわけではありませんでした。
美術鑑賞をした人のうち、演奏会に行きたい人が先着順で行けるということになります。
私の整理券は400番台。東京文化会館小ホールの収容人数は649席で、うち何席かは関係者席としてブロックされていたので、実際に一般の人は620人ほど入っていたと思います。
また、ムンク展のスタートが10月27日で、私が整理券をもらったのが11月3日だったと思います(展示会はそれより前に行っていたのですが帰りに整理券をもらうのを忘れて別の日にまた来ました…)。
となると、展示会が始まってから一週間で7割ほど整理券が出ていたことになります!なかなかに人気なのですねぇ…。
行きたい方は展示会開始から一週間以内に整理券をもらいに行くことをおすすめします!半券提示でもらえるので、例えば前売り券を買って整理券をもらっておいて、展示会は後日ゆっくり…という方法もありかなと。

当日は、10:30開場でしたが、10:15頃に着いてみるとすでに待機列ができていました。30分ぴったりに入場開始。自由席なので気に入った場所を選び席を確保します。
15分頃に着いて並び始めましたが、そのくらいのタイミングだとわりと早いうちに入れたほうで、なかなかいい席を取れたと思います。一人なら開演ギリギリでもそれなりの席に着けるけれど、お友達同士で来ている場合は別々の席になるかも。でもどの席でも音はしっかり響くのであまり問題ではないと思います。

 

ムンクとグリーグ

さて、いよいよ開演!演奏者さんが舞台袖から出てきます。
通常の演奏会だと、すぐに演奏に入るのですが、今回は演奏者の方のトークがありました。
演奏会の概要(三つの施設・団体のコラボであることなど)や曲紹介を丁寧にされていて、極めつけは「では今からチューニングという音出しをしてから曲を演奏します」とおっしゃっていました。普段こういう演奏会にあまり来ない方向けの親切な対応に関心しました。
他にも、女性はドレスで華やかにしていたりと(通常は黒い服装)、クラシックコンサートに親しみを持ってもらおうという気持ちが随所に見える演奏会でした。

演奏は、まずはエルガーとモーツァルト。どちらも言わずと知れた名曲です。絶対にどこかで耳にした機会があるはずです!
ヴァイオリンは軽やかな印象。アンサンブルは息がぴったりでした。

後半はムンクと同時代に活躍した、グリーグの曲から。皆さん歌いまくる!前半がきっちりまとまった仕上がりな印象でしたが、後半のグリーグはとにかく感情を揺さぶってきます。ヴァイオリンも前半とは打って変わって重みのある音色でした。
最後の組曲「ホルベアの時代」以外は抜粋でした。「アイネ~」も、第1楽章と第4楽章のみ。抜粋の場合は楽章の切れ目で拍手すべきかよくわからなかったので、空気を読んでおきました。

「胸のいたで」は、選曲理由の通り、ムンクに近しいものを感じました。
思考が内側に向かって行って、様々な感情が湧き出てくる。それらに耳を貸すのが嫌になってふと顔を上げると、今度は周囲からの圧を感じる。
ムンクは、そうして自然からの叫びを聞いたのではないかなぁと、素人ながらに解釈しました。

アンコールまで終わったら終演です。アンコール後はコントラバスが奏者と一緒に退場して舞台が椅子以外すっからかんになるので、わかりやすいな…と思いました。楽器が置かれたままだとたまに終了がわからないときがあるんですよね…演奏者が何度も舞台に戻ってきたりとか。

 

演奏会のおまけ

さて、地味に気になる演奏会前の過ごし方。
東京文化会館の小ホールにはバーカウンターがあるので軽食がいただけます。私は朝ご飯を食べ損ねて行ったのでワッフルとコーヒーをいただきました。
午前中の公演だったのでワッフルしかないようでしたが、メニュー表には記載があったので午後からの公演ではサンドイッチが食べられると思います。
もちろん各種飲み物もあります。シャンパンを頼まれているマダムがいて、午前中からとても優雅な空気が流れていました。

演奏会終了後は、せっかくの上野なので近くでご飯を食べたいところです。
今回は東京文化会館にある「cafe HIBIKI」さんへ。精養軒のミニハヤシライスの他、カフェメニューがいただけます。ハヤシライスは本当にミニサイズなので普通のご飯としてはちょっと物足りないです…カフェラテと比べるとサイズがよくわかりますね…でもお味は抜群でした。
こちらのカフェは、どうやら大ホールに公演がある日はテラス席のみの営業のようです。今回は公演がない日だったので室内の席に着けましたが、大ホールのロビーの一部が室内席になっているため、チケットを持たない人が入ってしまうことを防ぐためでしょう。暑い日や寒い日は気を付けたいですね。写真は室内席からの眺め。大ホールのロビーがよく見渡せます。

他にも東京文化会館内にはレストランもあります。こちらはランチ1,000円台~と安くはないですが、精養軒が運営しているようなのでクオリティは間違いないと思われます。
小ホールのバーカウンターも精養軒の系列店の名前だったような。上野公園と精養軒は切っても切れないんですね。

 

美術展と演奏会の取り組み

実質無料の演奏会、とても満足しました。
演奏の質もとてもよかったのですが、何よりも、初めて演奏会へ来る人への配慮がすごく嬉しかったです。
私は配慮を受ける側ではないのですが、慣れた人たちの「こういうルールだから」という暗黙の了解って、初心者をすごく遠ざけると思うのですよね。

クラシック音楽の演奏会の敷居を高くしている要素として考えつくのが、こちらの三つ。
①値段が高い!
②聴くのに緊張する!
③プログラムのどの曲を演奏しているかわからない!

①については今回は実質無料なので、入り口としては最良だと思います。国内団体ならテーマパークに行くより安く聴けますし。

②については、値段の高い公演の話になりますが…やはり、一音も聞き逃すまい!という気持ちになりやすいとか、好きな人ほど集中したいとか、そういう理由かなと。
有名オケや指揮者の来日公演ともなれば、お客さん側もとても緊張しています。というのも、雑音NGの空気があるから。
だからみんなカシャカシャ音の鳴るダウンコートはクロークに預けるし、パンフとチラシの入ったビニール袋は音の出ない柔らかい素材だし、咳は楽章の合間にまとめてするし。のど飴を開ける音なんて出そうものならとんでもないヒンシュクを買います…(余談ですがこののど飴問題、少し問題になっていました。クラシックは高齢の方が来られることが多いからのど飴を演奏中に開ける人が多いらしく、ご配慮くださいと注意書きの紙が配られていた演奏会もありました)。
でも、音楽を楽しむのに、そういうピリピリした空気で本当にいいのかは私は疑問です。少なくとも初めての人には、リラックスして聴いて、楽しい場なんだという感想を持って帰ってもらいたいですよね。
なので今回、演奏が終わるごとにトークを挟んでいたのですが、お客さんの緊張を解く効果は目に見えてありました。おしゃべりしてもいいんですよリラックスしてくださいね、というのは最初はびっくりしましたが、たしかにとてもいい声かけですね。

また、③については今回されていた、次の曲の紹介がとても効果的でした!パンフレットに書いてあっても、読まない人も多いですし、いくつかの楽章で一曲という場合もあり今どの曲を演奏しているのかわからなくなった…という声も聞きます。いい曲だなと思っても曲名がわからないのはもったいないですよね。
それに、演奏する前に聴きどころなど教えてもらったほうがより音楽の世界に浸れます。直感で聞くのも必要ですが、せっかくの演奏会なので一つでも多く得て帰ったほうが満足度は高いはずです。鑑賞に必要な情報は事前にあったほうがいいです。

 

演奏会のすすめ

今回の演奏会は、クラシック音楽を聴く人のすそ野を広げるためにもとても良い取り組みだと思いました。唯一、平日開催というのが社会人にとってはハードルが高いですが…クラシックコンサートに来てくれる人を増やしたいという気持ちは十分に伝わってきました。私も、もっとたくさんの人に聴いてもらいたい!と思っているので、この姿勢はとても嬉しいです。

クラシックコンサートなんて七割がたが白髪の世代ですからね!以前にゲーム音楽のオーケストラコンサートに行った際には黒髪の若者が多くて、新鮮な眺めにびっくりしましたよ。

有名なホールで聴いてみたい、帰りにおいしいものを食べるって誘われて、無料でやってるから…、きっかけは何でもいいんです。クラシックコンサートはとてもいいものなので時には芸術に触れる時間を作ってみませんか?今回の記事がきっかけになって演奏会に足を運んでいただけたら大変幸せに思います。

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