ゴールデンカムイ第179話感想

毎週木曜日のお楽しみ、ヤングジャンプの発売日。
ゴールデンカムイ目当てに買いだして半年、そろそろ週次で感想を書きます。
私の頭の中の整理メモも兼ねてるので読みづらいですがお付き合いください。

 

三脚の人物たち

唐突ですが、三脚をご存知でしょうか。カメラを取り付けたりするアレです。書いて字のごとく、三本の脚で支える構造のアイテムです。

先週には「維新の三傑」の話で、今週も引き続きいわば「ゴールデンカムイ版 維新の三傑in露西亜」の話。この三人の過去回はこれが最後でしょう。
知的で穏やかで何でもそつなくこなす(イメージの)ウイルクと、伸びしろの大きい(イメージの)キロランケと、天真爛漫さとカリスマ性を持ち合わせた(イメージの)ソフィア。すいません全部イメージです、先週号がどっか行きました。

コミックスをぱらぱら読み返していて気付いたんですが、この作品では三人組というのが基本単位としてよく出てくると思います。例えば、杉元・アシリパさん・白石。土方さん・永倉のおじいちゃん・牛山。谷垣とインカラマッとチカパシ。鶴見中尉と月島軍曹と鯉登少尉。
ウイルクとキロランケとソフィア。杉元と梅ちゃんと寅次。

冒頭で脈絡なく三脚の話を出しましたが、三点で支えるというのは非常に安定する構造だそうな。山の中でのカメラマンの撮影なんかを思い浮かべてほしいんですが、デコボコした岩の上なんかでもしっかり立つのは三点で支えているからなんですって。
つまり三つそろっているというのはとてもバランスの取れた調和的な状態です。それが一点でも欠けるとどうか。当然、バランスが崩れて倒れてしまいます。

ゴールデンカムイの登場人物にも同じことが言えるかなと思っています。三人がそろっている間は大きな展開はないけれど、一人が欠けたり離れたりするとドラマが動き出す。
かつての杉元たちも、梅ちゃんを残して男二人が戦場に行ってしまって、そこからゴールデンカムイの冒頭へつながっていきますよね。杉元とアシリパさん白石が引き離された網走監獄は言うまでもなく作品の最大のターニングポイントだし。第七師団の三人は、網走監獄で三人そろった状態で穏やかとはいえないことを引き起こしたとはいえ、鶴見中尉と月島軍曹・鯉登少尉が別行動になってからが彼らの物語の進展だと思います。
野田先生は意識して三人組を平和的な空気で包んでいるような気がします。もともと三だったものが一と二に別れる、あるいは二や一に減ると、調和が壊れて、転がるようにして前に進んでいく勢いや推進力のようなものが生まれる感覚を私は覚えました。今週は、ソフィアが露西亜に残ると言い、三人ではなくなってしまいましたし…

二階堂は一人が片足を失っているので、二人で三本足=三脚ですね。だから何だって話ですけど…すでにバランス崩れてますし…

 

親の気持ち

今週はそんなことよりもとんでもない情報が明らかになったのですが、彼についての考察は他の方がたくさん書いてくださると思うので、ちょっと気になったことを。

この作品では親と子については嫌というほど描かれていますが、これまでは子の側からの視点が圧倒的に多かったように思います。尾形、江渡貝くん、月島軍曹。親から与えられた愛情を糧に生き、子を持ったら今度は自分が愛情を注ぐ、これが理想的な循環ですが、その循環から外れてしまった彼ら。今よりもずっと不自由の多かった時代だと思いますが、それでも彼らは親に恵まれた明るい子ども時代を送ったわけではありません。

そして彼らと関わってきたのが鶴見中尉でした。それはなぜかと考えたときに、親子関係は深い傷にもなり得るので懐柔するのにそれを利用するのが手っ取り早いとか、やはり前頭葉が吹っ飛んだ関係で頭のネジが外れ常任には理解できないようなことを企んでいるんだろうなと思っていたのですが、今週号で少し考えを改めました…。

少し不思議に思ってはいました。必要な人材を手元に置くためとはいえ、江渡貝くんに対しては「巣が歪んでいる」、尾形には勇作さんと育ちが違う旨のことを言う、月島軍曹の父親も演出に利用する。
部下たちを先導する人が、先の目的のためではなくて、原因側に固執するのはどうしてだろう?と。

でも、今週号で、鶴見中尉にも家族を失った過去があって、しかもその原因が間接的とはいえ自分にある(自分が持ち込んだ武器、自分の使命)ことが明らかになりました。そうなると、こう考えているのかもしれないなと私には思えるんです。
子どもには何の罪もない。もし子が間違ってしまうのならそれは親のせいだ―。

実際には、懐柔するのにそれが一番いい手段だから利用しているところもあるとは思います。江渡貝くんみたいに明らかに家族で苦しんでいる人がいるなら、家族とケリをつけるのが最も効果的ですもんね。
でも、狂人のように面白がっていたり、何の感情も持たずにそれをしているわけではないかもしれない。そういう可能性だけで、鶴見中尉の魅力がまた一段と深まる…どこまで魅力的になるんだこの人は。
今週号の話を踏まえると、稲妻お銀の子のシーンは涙なしでは読めない…。
また、アシリパさんのコタンは谷垣の滞在場所として知られていたし、お銀の子を預けていたので村の状況なんかも調べられていたと思います。はじめ読んだときは、フチが危ないのでは?という心配もしましたが、その心配はなさそうですね。アシリパさんはのっぺら坊の娘とはいえ、歪まず真っ直ぐに育っています。フチやコタンといった巣がそう育てたと思うので、真っ直ぐな子を育てる巣をどうこうする必要はないですし利用すると逆効果ですもんね。
先の展開はまったく読めないですが、鶴見中尉の目的が達成されるとは思えないので、月島軍曹や鯉登少尉などいわば彼の子のような者たちに穏やかに見送られる最期だといいな、と思います。
もしかしたら鶴見中尉のことだから自分が死ぬところまで作戦に入れていたりしそうだなぁという予感を胸の片隅に置きつつ、次回を待ちます!次週は休載かぁ。

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