ゴールデンカムイ第267話感想
こんにちは、うたげです。
ゴールデンカムイ最新話の感想です。
ネタバレ含むうえに一ファン個人の想像・妄想・曲解だらけなので苦手な方は気を付けてください。
小難しい考察はしない・できないので、気楽に読んでくれたら嬉しい。
第267話 断絶
キロランケから亜港監獄にいるソフィアに送られた手紙の内容は、ウイルクの変化に関するものだった。
北海道に隠された埋蔵金の在り処を探るため北海道アイヌの生活に溶け込むことにしたウイルクとキロランケ。ウイルクは北海道で結婚し娘を授かった。キロランケはこう語る。アシリパさんを抱くウイルクは見たことないほど優しい顔をしていたと。
アシリパさん誕生から数年、埋蔵金について大きな動きがあった。約50年前砂金を集めロシアから武器を買おうとしたアイヌの一人が、疱瘡で死んだと思われていたのに深い山中で今も生き続けているという情報があったのだ。名前はキムシプ。そしてウイルクを始めとした金塊を求めるアイヌたちの中に、実際にキムシプに出会った人物がいた。彼はシロマクル。他にもメシラ・スクタ・イレンカ・ラッチ・オシケポロという総勢7名の面々が、急ぎキムシプを探し金塊の在り処を聞き出すこととなった。
北海道アイヌの金塊を求めているのはキロランケも同じなのに、その会合の場にキロランケは呼ばれなかった。会合後、小屋から出てきたウイルクをキロランケが訪ね、なぜ自分を呼ばないのかと責める。
怒りを露わにするキロランケに向かってウイルクは淡々と伝える。ウイルクとキロランケが当初目指していた極東連邦には樺太島とロシア領に入るアムール川流域が含まれていた。北海道は海で隔たれているがロシア領は地続きのため他国の侵略を少数民族だけで防ぐのは難しい。そのため北海道だけを独立させ守りを強固にしたほうが合理的だと、ウイルクは考えていた。
樺太やロシア極東の仲間を裏切ることになるのではないか。キロランケのこの問いに対し、ウイルクは北海道への移住希望者を募ると答えるが、ウイルクがかつて過ごした故郷は皆が移住した結果、村が消えてしまった。ウイルタ民族はトナカイと生活を共にするが北海道では気候が異なり飼育ができない。移住し北海道でそれぞれの民族の文化を守り生活していくには問題が多すぎるのだ。
ウイルクは娘が生まれたためロシア極東の少数民族のことは捨て置いて北海道アイヌを守りたくなっただけでは?そもそも北海道にウイルクとキロランケは何の関係もなかったはずだ。家族ができてしまったばっかりにウイルクにとっての故郷が変わってしまった。ソフィアはずっとロシアで自分たちを待っているのに。
声を荒げたキロランケはウイルクに殴り掛かった。
戦いの末にウイルクが勝利したが、ウイルクはキロランケを殺さなかった。本当に合理的な考えを持つウイルクなら、後々に障害となるであろう人物は先に殺しておくはずだ。自分が殺されていないことこそがウイルクが変わってしまった証拠。そう確信しキロランケはウイルクとの溝を深めていくのだった。
アシリパさんはキロランケ最期の場面に立ち会った。そのときにソフィアという言葉をキロランケの口から聞いていた。だからキロランケがどれだけソフィアのことを好きだったかを知っている。だからこそ、キロランケは極東ロシアを切り捨てようとしたウイルクに激怒したし、だからこそウイルクはキロランケを金塊探しの中枢から遠ざけたのだ。
また、キロランケの掲げる少数民族の文化や生活を守ることと、ウイルクが娘に抱いているであろう想いも、建前と本音でどちらも嘘ではない、と鶴見中尉は語る。
愛のゆくえ
本当に鶴見中尉の言う通りなんだよね。ウイルクが娘に、キロランケがソフィアに対して、未来を守りたいと思っているように、二人ともただ愛する人に少しでも多くのものを渡したいだけなんだよね。それが極東連邦なのか北海道独立なのかの違いであるだけ。根っこのところは同じはずなのにこの出来事の時点で完全に二人が「断絶」されてしまったの、切ない…。
ウイルクが合理的な判断ができなくなってキロランケを殺さなかった。だからキロランケが合理的にウイルクを殺した。ウイルク・キロランケ・ソフィアの三人のときは、維新の三英傑に例えられるようにうまく三人がバランスを取っていたけれど、ソフィアが抜けてそのバランスが崩れ果たすべき役割も変わった、という感じかな。
もしあのときウイルクがキロランケを殺していれば、アシリパさんはお父さんを失うことはなかったのでしょう。けれどそこにウイルクからキロランケへの愛を感じる…。殺さず(殺せず)、娘に対してキロランケは危険だと吹き込むこともせず、アシリパさんにとっての頼れるおじさんのポジションにきちんと就かせて。金塊探しのときに自分が無事な保証がないからキロランケとアシリパさんが協力してくれれば、という打算的な思いもあったのでしょうけど、愛する仲間と愛する娘には仲良くあってほしいしウイルク自身はキロランケへの愛情は変わらず持ち続けていたんじゃないかな~と期待してしまう。そうでなくちゃこんなの救いがないよねぇ…キロちゃん…。
この二人の男からの愛を受け取ったアシリパさんとソフィアの二人の女性もなかなかにつらい立場。特にアシリパさんはウイルクの目指していた北海道独立を知らない状態で育ったわけで、キロランケからの期待も受けていると言えるし。背負っているものが重すぎるね…。
ウイルクvsキロランケの考え方の違いの構図が引き継がれているわけではないといいのだけど…ソフィアは極東連邦側の考えだろうからなぁ。ただ今回の鶴見中尉やアシリパさんとの邂逅で何か変化が起きているかもしれないし、わからないけれど。
果たしてアシリパさんはどういう未来を思い描いているのか、やはり鍵はそれに尽きますね。
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2件のピンバック
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