ゴールデンカムイ第266話感想
こんにちは、うたげです。
ゴールデンカムイ最新話の感想です。
ネタバレ含むうえに一ファン個人の想像・妄想・曲解だらけなので苦手な方は気を付けてください。
小難しい考察はしない・できないので、気楽に読んでくれたら嬉しい。
諸事情によりしばらく更新はおろかヤングジャンプを読めてすらいませんでしたが、ぼちぼち再開します!
またよろしくお願いします。
第266話 小指の骨
1897年、ウラジオストクにて。奉天会戦の前、まだ頭部を負傷していない頃の鶴見中尉(当時は少尉)と月島軍曹が街はずれの高台から、街や港を見下ろしていた。ウラジオストクとは「極東を支配せよ」の意味を持つ。ロシア極東でただ一つ凍らない港であり、戦争になれば占領が不可欠と言える、日本にとっては重要地点だった。鶴見中尉はウラジオストク占領を何度も進言していた。
二人に話しかけるロシア人の老人がいた。ハセガワという日本人を探しているらしい。妻と娘の遺体、との発言からして、フィーナの父親だろうか。月島軍曹がまだ今ほど成熟していないロシア語スキルで聞き返している間に鶴見中尉はその場を去ってしまう。
鶴見中尉の向かった先は一軒だけポツンとある建物だった。焼け落ちてしまっているが、かろうじて残った看板からは「ハセガワ写真館」というのがこの建物の役割だったことがわかる。先ほどの老人もハセガワという男を探していた。ウラジオストクの日本人街の誰かだろう、と返し、知り合いなのかという月島軍曹の質問をかわす鶴見中尉。しかし月島軍曹の記憶力は鶴見中尉の更に上をいっていた。月島軍曹は新潟での墓参りの際に目にした鶴見中尉の母の旧姓を覚えていたのだ。それこそ「ハセガワ」。新潟にはよくある苗字だ、とまたも月島軍曹の問いかけをかわした鶴見中尉だが――
時は現在に戻り、鶴見中尉とソフィアとアシリパさんのいる部屋の前。鍵穴越しに室内の様子を伺いながら月島軍曹と鯉登少尉は盗み聞きを続けている。あのときの「ハセガワ」という男は鶴見中尉のことだったのだ。月島軍曹の中で記憶と現在が一つ繋がった。
50年ほど前、アイヌは帝政ロシアの海軍大佐に武器などを横流しさせ、幕府に対する蜂起を計画していた。しかし取引実行前に、件の海軍大佐たちが乗った軍艦が客船と衝突したため取引は成立しなかった(ロシア軍艦カレバラ事故)。軍艦や武器弾薬と交換されるはずだった砂金は使い道がなくなってしまったのだ。そしてそれを追ってウイルクが北海道へやってきた――というのが鶴見中尉の語りだった。
父ウイルクは鶴見中尉に日本語を習っていたという事実を知ったアシリパさん。だが隣で俯いて震えているソフィアはそれ以上の衝撃を受けていた。自分のせいで死んでしまった、殺したと言っても過言ではない女性と子ども。その夫であり父である人間が今目の前にいるのだ。まるでソフィアがそれに気付くよう仕向けたかのごとく、鶴見中尉が手に握った何かを指で転がした。それは小さな骨だった。長谷川写真館に秘密警察が来たあの日、狙いは鶴見中尉だけだったのに。あのとき妻がウイルクの手配書を拾わなければ。もっと言えば、ウイルクたちが長谷川写真館を選ばなければ……フィーナとオリガはウラジオストクで殺されずに済んだかもしれないのに。
自分の妻子を犠牲にしたうえでウイルクとキロランケは日本へやってきた。唯一生き残ったソフィアも今日本にいる。二人の命の犠牲で一体何を得られたのか?キロランケとの手紙に何が書かれていたのか教えてほしい、と鶴見中尉はソフィアに詰め寄る。ずっと俯いていたソフィアの目からはついに涙がこぼれた。キロランケの手紙には、アシリパさんが生まれたからウイルクが変わってしまった、と書いてあった。
鶴見中尉が長谷川さんとしてウラジオストクに潜伏したのちに日露戦争が起こった。その際にウラジオストクの占領も検討はされただろうが、様々な要因から実現には至らなかった。
月島軍曹は考える。鶴見中尉の目的、極東への領土拡大は、戦友の眠る土地(代表例:満州)を日本にする、という大義があるはずだ。しかしここまでの話を聞けば、まるで――妻と子の眠るウラジオストクを日本にすることが目的かのように聞こえる。
一方、教会の外では杉元と白石が札幌麦酒宣伝車に乗っていた。鯉登少尉が教会に入るのを見た二人は、教会にアシリパさんがいると確信するが、突入には戦力が足りない。土方さんたちを連れてくる必要があった。アシリパさんが拷問されているかもしれない可能性を考えると今すぐにでも踏み込みたい杉元だが、確実にアシリパさんを奪還するために今ははやる気持ちを唇を噛んで抑えるのだった。
誰のために
鶴見中尉の目的が、本当に妻子のためかもしれないという可能性が出てきた…。月島軍曹のモノローグで出てるあたりミスリードかなぁという気がしなくもないけれど、でも鶴見中尉の中では、ウラジオストク>>>>>満州、よね。これは間違いない。
そして妻子を殺した人間に、その遺骨を見せて、なぜ死んだのか教えてほしいって詰め寄るなんて、もう確実にあの三人を恨んでるじゃん!ソフィアは無事でいられるのか?ソフィアは暗号を解くのに必要とも思えないから(キロランケもアシリパさんから十分な情報を引き出せなかったし)、キロランケとの手紙の内容を話したら用済みになっちゃう気がするんだよなぁ…。
ソフィアさん、ジブリのドーラみたいなキャラかと思いきや、殺すつもりもなかったのに殺してしまった人間のことをずっと悔いていて、鶴見中尉に詰め寄られたら震えて泣き出すだなんて、思ったよりも真っ当な人間だな。いやドーラが真っ当じゃないと言ってるわけじゃないんですよ?ただね、刺青の囚人がわりとキャラ的に振り切った設定であるのに対して金塊をめぐって争う人たちのほうはやはり表も裏もきっちり描かれているなぁと。武装集団の女親玉っていう豪快な一面と、子どもや家族への慈しみの心を忘れず情緒豊かな一面もしっかり持ち合わせている。その繊細な表裏一体がしっかり見えるっていうのが、また好感度を上げてきますね。
ちなみにウイルクならそう後悔していなさそうよね…。でもアシリパさんが生まれたあとなら後悔したのかしら?
キロランケの言う、アシリパさんが生まれたからウイルクは変わってしまった、というのも非常に気になりますね。
元はアイヌが武装蜂起するため砂金を探しに行ったはずが、アイヌと政権の共存の道を探し始めたとか?もしくはアイヌが自治権を獲得するのは難しいと悟り、この子のためにアイヌの文化をできるだけ残したいと考え出したとか?
今考えつくのはこの二つくらいですかね。私の思考力と語彙が拙いばかりにすっごく荒っぽい言い方になってるけど…。
この札幌の教会で物語の決着がつくんでしょうか。それも含めまだまだ楽しみです。
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