ゴールデンカムイ第246話感想

こんにちは、うたげです。

ゴールデンカムイ最新話の感想です。
ネタバレ含むうえに一ファン個人の想像・妄想・曲解だらけなので苦手な方は気を付けてください。
小難しい考察はしない・できないので、気楽に読んでくれたら嬉しい。

 

 

第246話 アイヌの偶像

牛山に投げられそうになった杉元は寸でのところで手を床につき反撃に出る。二人の激しい戦闘はレストランをことごとく破壊し往来へ出る。止めに入ったはずの海賊までテーブルを壊す始末。しかもテーブルを叩きつけたところで牛山はまったく怯まない。門倉キラウシまで駆け付けてきた。
ついに銃を再び手にし杉元へ狙いを定める土方歳三。その前にアシリパさんが立ちはだかる。にらみ合う両者を横目に、早く騒ぎを止めたい門倉。騒ぎを聞きつけ招かれざる客――第七師団のような――が来るかもしれないからだ。尾形有古を呼んで来いという門倉の言葉に反応する杉元。頭巾ちゃんことヴァシリは尾形の似顔絵を杉元に見せられようやく自分がここまで来た理由を思い出した様子。
一方の尾形は櫓の上から杉元たちの揉み合いの様子を観察していた。銃の照準をアシリパさんに定め、いたずらでも企むように笑いながら「これをやったらさぞ大混乱だろう」と呟く。その尾形の背後に人の影が。気配を察した尾形が振り向いても誰もいないが……果たして尾形が感じた人の気配は一体何だったのか?

「網走でよくもアシリパさんと引き離してくれたな」と叫ぶ杉元は、後ろから牛山に押さえ込まれ自由に動けない状態だった。杉元と牛山の掴み合いは、牛山に軍配が上がったようだった。
杉元が邪魔になるので退場を願い、網走でアシリパさんと杉元を引き剥がした土方さん。杉元は土方さんがアシリパさんを利用するのを阻止したかった。アイヌの偶像として独立戦争の闘士に仕立て上げられるのを。

しかし土方さんの考えは少し違うようだ。
まず「蝦夷共和国」ありきで語られる土方さんの目指す未来。森林資源が枯渇するであろう北海道は、経済基盤を炭鉱とし、資源採掘には諸外国からの移民を募る。移民を受け入れる、つまり多民族国家を目指すのだ。内地人はおおよそ一つの民族だけで過ごしてきたため多民族を受け入れる下地がないが、アイヌは古くから極東少数民族やロシア人と共に暮らしてきたため、多くの民族同士のつなぎ役になれる。
そしてその多民族・多文化国家において、象徴となれるのがアシリパさんだと土方さんは語る。北海道アイヌ・樺太アイヌ・帝政ロシアに迫害された青い目のポーランド人。複数のルーツが混じり合ったアシリパさんこそ、「蝦夷共和国」の主導者に適任だと。

土方さんの理想国家像を聞いたアシリパさんはそれを良いとも悪いとも何も言わず、土方さんに手を組むしかない、と提案する。いがみ合う理由は十分にあるが、第七師団に金塊が渡るのを避けたいという利害は一致しているのだ。
土方さん相手に対等に渡り合っているアシリパさんを見て、見ないうちに変わったと感想を漏らす永倉新八。その隣で有古は思うところがある様子でアシリパさんを見つめていた――。なお上エ地は牛山に忘れられなんとか命からがら逃げ出していた。頭巾ちゃんは尾形を見つめられずじまいだった。

場所を変え土方さんとアシリパさんが一対一で向かい合う。お互いの刺青人皮を共有しあうためだ。松田平太の刺青は土方陣営も第七師団も入手していない貴重なものだろう。
アシリパさんは樺太での旅で思い出したアチャの名前「ホロケウオシコニが鍵であり、そこから刺青に法則があるものと読んでいた。そして土方さんに手持ちの刺青を見せてもらいそれの確認をする。しかしアシリパさんの予想に反し、刺青には「ホロケウオシコニ」を鍵とした法則があるわけではなかった。

 

アイコンとしてのアシリパさん

牛山の安定感はさすが~!やっぱり杉元を最後には押さえ込んで勝っちゃうのね。頭巾ちゃんもすっかりおとぼけポジションが板についてて可愛い。
さて尾形は……「上等兵たち」を読んでしまうと、みんなの気を引きたい駄々っ子に見えてくるよね。アシリパさんを撃ったらおそらく金塊にたどり着くまであと十年くらい余計にかかるんじゃないかと。勝手な目測だけど。土方さんも鶴見中尉もお冠、もしかしたら鶴見中尉は尾形を始末しに部下を送ってくれるかもしれない。構ってもらえるね、やったね!それか、自分がほしかったものが何も手に入らなくなっちゃったから、それだったらいっそ他の人も望むものが手に入らなければいい!それなら平等だ!って自棄を起こしてるのかなぁ。尾形だけは土方一派なのにまだ杉元たちの前に姿を現していないから、今後がマジで気になるところ。アシリパさんなんて一度撃たれかけてるし……再会したら事件だよ事件。いがみ合いつつも手を組む……ってなるのかな、アシリパさんがいれば。つなぎ役だもんなぁ……。

アシリパさんは土方さんの「自分の民族の未来」「北海道の経済基盤を変えなければ」といった言葉に反応してるように見えるので、やはりアイヌはじめ少数民族の一代表として生きていくことを決めているように見える。特に主要な産物を炭鉱へシフトしていくのはアシリパさんにとってかなり響いた節があるよね。森林が枯渇しているというのはちょうどこないだの話で語られていて、アシリパさんにとっても関心の的であるはず。ただ「取りすぎなければいい」というアシリパさんと、炭鉱で国おこしをしようとする土方さん、相容れるかな?というのは疑問。比較的新しいエネルギー源だろうからアイヌの伝承に炭鉱についてのものは特にないだろうけど、資源の取り過ぎは諫められそうだ。ただこのままでは森林面積が減りつつあるのにそこでしか暮らせないアイヌは滅亡へ向かってしまうわけで……考え方や生活様式の転換が求められていそうな気配。でもそれがアシリパさんが本当に望むものなのかはちょっとよくわからない。アイヌの教えを受け継げれば現代的な生活でもかまわないのか、昔ながらの生活様式も維持したいのか……。後者は時代的にもう無理な気がするけど……アシリパさんそのあたりどう思ってるのか早く聞かせてほしい!教えて!

もしも、もう少し古い時代に生まれていれば、アシリパさんは両親を早くに亡くしながらもフチや親族に囲まれて楽しく猟をして一アイヌとして山で一生を終えていたかもしれない。でも物事が大きく変わっていった時代に生まれてしまった。自分が大切にしたいものを守るには、一個人じゃなくてたくさんの人を代表して率いるアイコンとして生きるしかないのかもしれない。ウイルクの子じゃなく、青い目のポーランド人の娘のアシリパさん。フチのかわいい孫じゃなく、北海道アイヌのアシリパさん。動物の脳みそが好きな女の子じゃなく、樺太アイヌの血を引くアシリパさん。そんなアシリパさんの置かれた境遇を思うと涙を禁じ得ない……!アシリパさんの選択が少しでも彼女自身の幸せへ繋がるものであってほしいし、戦いが終わったら存分にフチに甘えて、杉元と狩りをして、みんなで食事をして、一人の思春期の少女として伸び伸びと過ごしてほしい……。

 

 

 

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