ゴールデンカムイ第243話感想
こんにちは、うたげです。
ゴールデンカムイ最新話の感想です。
ネタバレ含むうえに一ファン個人の想像・妄想・曲解だらけなので苦手な方は気を付けてください。
小難しい考察はしない・できないので、気楽に読んでくれたら嬉しい。
第243話 上等兵たち
札幌で精子探偵を続ける宇佐美と、菊田。宇佐美の娼婦殺し犯人の捜索手段に呆れ気味の菊田は、「第七師団の上等兵はおかしなやつばかりだ」という主旨の発言をする。尾形を引き合いに出され怒る宇佐美。宇佐美と尾形には知られざるエピソードがあった。
尾形は初登場時、杉元に真冬の川に落とされていた。凍傷は免れたが入院を余儀なくされていたとき。うわ言で「勇作殿」とつぶやいたのを宇佐美は耳ざとく拾った。
勇作殿は尾形の腹違いの弟で花沢閣下の寵愛を一心に受けていた。本妻の子である勇作殿が生まれ母とともに見向きもされなくなった尾形百之助とは育った境遇も性格もまるで違う。花沢閣下の息子であり旗手である花沢勇作少尉ももちろん鶴見中尉の「駒」だった。はじめは殺して花沢閣下の寵愛を尾形へ向け、花沢閣下を意のままに操ろうとしていたが、清らかな偶像としての利用価値を見出されたため勇作殿は殺されずに済んでいた。花沢閣下からも鶴見中尉からも愛されていた勇作殿に対し尾形は嫉妬する。嫉妬のあまり勇作殿にロシア兵捕虜を殺すようけしかけるが、勇作殿は清廉潔白を貫き、誰も殺さぬまま兄様と慕っていた尾形に脳天を撃たれて死んでいった。
勇作殿が死んでも花沢閣下の愛が尾形に向くことはなかった。そしてその父親も、鶴見中尉の取り計らいにより尾形が殺すことになった。さて忠実に二人もの身内を殺した尾形に鶴見中尉の愛の矛先が向くかと言えば――向かなかった。
誰にも愛されず一人になってしまった尾形が気に食わない宇佐美。宇佐美には確信があった。尾形は鶴見中尉を困らせたいのだ。困らせて気を引きたい。だから絶対に札幌へやって来る。宇佐美は、勇作殿や鯉登少尉や尾形と違って宇佐美自身は、ただの「駒」ではないということを、示したいのだ。
複雑に見えてもでっかい子ども
尾形は宇佐美の妄想だっていなそうとしてたけども宇佐美の言ってたことだいたい当たってる気がする。
尾形は作中ほとんどの陣営を渡り歩いて腹の底が見えない男ナンバーワンの座をほしいままにしているけど、根源はごくごくシンプルだと思う。誰かに愛されたい。そんな人が本能的に持っている素朴な動機だと思うの。
尾形が勇作さんやアシリパさんを引きずり下ろしたい道理については第187話感想で書いた通りだけど、じゃあそもそもなんでそんなことするの?っていう純粋な疑問への答えを宇佐美は語ってたんだと思う。私が187話感想で書いた「清い人間がいたら愛をくれたはずの家族を手にかけた自分は何なのか」という怯えた気持ちもあるとは思うけど、それもやはり「愛されたい」という気持ちの裏返し。生まれからして愛に飢えているのねこの男は。
誰よりも愛を渇望して、罪悪感なんてないんだなんて謎理屈を持ち出して人を殺してまでほしいのに、いざアシリパさんから与えられると戸惑ってどう反応していいかわからない――そんなかわいい人間なんだよ尾形は!
今回の話で更に尾形を好きになったよね……かわいいが過ぎる。かわいいというよりも、いじらしい。本当に幼子のようだ……。
尾形も、尾形に嫉妬して対抗心を燃やしている宇佐美も、危ういなぁと思う。作中では子どもの扱いだ。
白石や鯉登少尉がいい例なのだけど、自らの心のままに行動できるようになった人間は、誰かからの見返りを求めていないと思う。鯉登少尉だってあれだけ鶴見中尉信者だけども実は鶴見中尉からの褒美は特に必要としていない。それどころかその道が正しいのか見極めたいというちょっと距離を感じるような発言も出た。白石に至っては金銭的な得があるか定かではないのに自発的にアシリパさんのそばにいることを選んだし。
けれどこの二人の上等兵は違う。尾形は誰かに愛してほしい、宇佐美は鶴見中尉の特別でありたい。思いっきり他人に寄りかかっている。つまりは自立していないとでも言えばいいのかな。だから子どもなんだろうなぁと思うわけ。戦闘能力はバリバリに高いのに心根の部分ではまだまだ小さい駄々っ子で、二人で鶴見中尉の愛情を取り合っているように見えるのだ。
宇佐美と尾形の意外な繋がりがあったと明らかになった。尾形が造反組を煽っていたのもバレていたし。一人で杉元たちに接近したのも鶴見中尉のお褒めがほしかったからなのかな?
尾形が想像以上に猫ちゃんで、宇佐美はやっぱりどこかネジが外れていて、二人の邂逅が楽しみだ。
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