ゴールデンカムイ第231話感想
こんにちは、うたげです。
ゴールデンカムイ最新話の感想です。
ネタバレを含みますので未読の方・コミックス派の方は気をつけてくださいね。
また、以下は私の所感です。一ファン個人の想像・妄想・曲解を多分に含んでいますので、そういうものとしてお読み頂ければ幸いです。
第231話 出産
フチのいるコタンにたどり着いた谷垣とインカラマッ。オソマの母も手伝い、インカラマッのお産の準備が整えられていきます。
フチは19歳のときからお産を助けている百戦錬磨。骨盤の大きさからの判断と、首の後ろの憑神様のおかげでお腹の中の子の性別を当て、「男の子ならうつ伏せに、女の子なら仰向けに」取り出してあげます。向きを間違うと長生きできないそうです。
インカラマッをフチたちに任せ谷垣は追ってきているであろう月島軍曹を迎え撃ちに出ます。インカラマッの制止も聞かず外へ飛び出すと、そこにはすでに待ち構えていた月島軍曹がいました。
銃を奪われ殴り倒された谷垣に向け、月島軍曹は、お前は選択を誤ったのだと語りかけます。
そこへ馬に乗って現れた鯉登少尉が月島軍曹を止めますが、「脅しは実行しなければ意味がない」と月島軍曹は銃口を谷垣とインカラマッへ向けます。それどころか鯉登少尉にまで拳銃を向け、あなたも鶴見中尉を裏切る造反組か?とまで言い出します。
そんな月島軍曹へ鯉登少尉がかけた言葉は、「銃を下ろせ、上官命令だ」。
鯉登少尉には鶴見中尉を裏切る気はありません。鶴見中尉の進む道すがらで皆が救われるのならば、鯉登少尉自身や父親までも利用されていても、鯉登少尉には問題ではありません。
でも、もしも鶴見中尉に本当の目的があるのなら。その目的に鯉登少尉の感じる正義がないのなら。きっと後悔と罪悪感に苦しむことになるでしょう。だから谷垣とインカラマッを殺してはいけない。
しかし月島軍曹にはそれはもう手遅れに思われるのでした。すでにここまで多くの人を殺し、あるいは利用した末に死なせてしまいました。本当に大切なものを諦めた。だからもう自分の仕事をやるしかない。
月島軍曹がここまで厳格に鶴見中尉に付き従うのは諦め捨てたものがあまりに大きかったからか?という鯉登少尉の問いかけで月島軍曹の中で何かが剥がれ落ちたのでしょう、これまで頑なに真相を見つけることを拒んでいた、大切なもの――いご草ちゃんの行方を、インカラマッの占いに託そうとしたのです。
インカラマッが手を透かして真実を見通そうとしたとき、激しい陣痛がインカラマッを襲います。
いよいよ赤ん坊の取り上げが間近です。オソマの母は谷垣・鯉登少尉・月島軍曹にも仕事を割り振り、手際よく準備を進めていきます。お湯を沸かしたりお産道具を集めたり別の子どもの面倒を見たり臼を転がす「臼躍らせ」で安産のおまじないをしたり…慌ただしく過ごしますがいざ分娩が始まれば三人は家の外で待機する他ありません。
やがて産声と共に出てきた赤ん坊は、仰向けでこの世に登場しました。
鯉登少尉の器
先に言いますが、今週号めちゃめちゃおもしれぇー。
鯉登少尉の信条が見えましたね!上官命令という絶対的なルールを発動させてまで月島軍曹を止めたのは痺れました。そこまでしっかりした考えがあったのだと惚れ直しちゃいますね。てっきり男子小学生で鶴見中尉に心底心酔しているのだと思っていましたから…。
きっと鯉登少尉の中では、谷垣のように望まないのに恭順を強いられている人間がそこから逃げようとするところをまた無理やり従わせたりするのは、正義ではないのでしょうね。この二人を殺しても誰も救われないのです。それに逃がしたところで痛手も特にない。
また、もし鶴見中尉の目的が誰も幸せにならないなら、この先ずっと後悔します。ただでさえ多くの者を手にかけてきたのです。そこに、家族だけは助けてくれと懇願するかつての仲間や、親しく過ごした女とその子や老婆も加わるとあらば、気も狂いそうになるでしょう。
鯉登少尉、かなり真っ当な考えを持っているじゃないですか。しかもその後悔や罪悪感といったものを月島軍曹も抱えていると理解し手を差し伸べる優しさもある。これで惚れるなというほうが無理な今週号…。
「鶴見中尉の行く道の途中でみなが救われる」という思考は人の上に立つ者として備えておいてほしい考え方で、これもまた今回めちゃくちゃかっこいいところですよね。鶴見中尉の幸せだけではないところがグッときます。当時の軍人らしからぬ考え方な気はしますが、それだけ鶴見中尉の狙いがわからないということなのでしょうね。
鯉登少尉は造反組についてはどう考えているのでしょう。鶴見中尉の思想に納得できないからこそ離れたのであって、あえて見つけて処分する必要はない…と考えていたりしないでしょうかね。これまでの話がちょっとうろ覚えなのですが、造反者を積極的に追う鯉登少尉はいたかな?
もし造反者もこちらに歯向かってこなければ深追いしない、と考えているなら、鯉登くんは本当に次代を担う若者ですね…。日本の未来託したい…。
望まない者はお咎めなし、と考えているならば、彼の部下になった人たちは幸せでしょうね。
信者対決
今回の鯉登少尉に対して、怒り心頭になりそうなのが、宇佐美。やはり鶴見中尉信者対決くるか…?
頭のてっぺんからつま先まで全身鶴見中尉色に染め上がった宇佐美VS自分の芯のところまでは染まっていない鯉登少尉。ありそうだな…。
今回の流れでいくと、鯉登少尉と月島軍曹が鶴見中尉と袂を分かつ未来もありそうじゃないですか…?もしくは鶴見中尉を止める側に回る。
取り上げられた子は仰向けなので女の子かな?稲妻お銀の子と仲良く遊んで成長していってほしいです。
あと、出産に立ち会う女たちのたくましさはいつの世も頼もしいですね。
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