ゴールデンカムイ第228話感想

こんにちは、うたげです。

ゴールデンカムイ最新話の感想です。
ネタバレを含みますので未読の方・コミックス派の方は気をつけてくださいね。
また、以下は私の所感です。一ファン個人の想像・妄想・曲解を多分に含んでいますので、そういうものとしてお読み頂ければ幸いです。

 

第228話 シマエナガ

杉元アシリパさん白石ヴァシリの四人は空知川流域へ来ていました。平太の砂金サンプルの採取場所の一つだからです。周辺のアイヌ集落をまわり、海賊房太郎の手がかりを探っていました。
平太との戦いで腕を負傷した杉元は、山道を歩いているときに飛べないシマエナガに気を取られたことでアシリパさんたちとはぐれてしまいました。霧が濃くなり日が暮れてきたため、杉元は下手に動かずアシリパさんが助けに来るのを待つことにしました。シマエナガ(ウパシチリ)と共に野宿です。

アシリパさんから教わったサバイバル技術をシマエナガに説明しながら暖を取る杉元。シマエナガも杉元の解説に合の手を入れるようにさえずります。アシリパさんが作った携行食をシマエナガにも分け与え、彼(彼女?)を「ウパシちゃん」と呼び杉元は眠りにつきます。

翌朝、近くでした足音に目を覚ますと、それはアシリパさんではなくヒグマでした。ヒグマの足跡を見てこれまたアシリパさんとの狩猟生活で身につけた知識を総動員する杉元。
若いオスは人間と同じで好戦的で注意が必要。オッサンの熊は無駄な争いはしないので人の気配がすれば大人しく立ち去る。
そこでふと懐かしい人のことを思い出す杉元。人間の戦争でもオッサンが最前線なら誰も戦わなくて誰も死なないかもしれないね、とウパシちゃんに語りかけるとも独り言ともとれるように話します。未来ある若者が死ぬのはもったいない。特に若い奥さんと小さい子どもがいるような奴は。あんなに気立ての良い嫁さんを残して…。

ヒグマがうろついているところを片腕しか使えない人間が出歩くのは非常に危険です。霧が晴れてアシリパさんがやって来るのを待つのが賢明です。

しかし二日経っても三日経っても、一週間経っても霧は晴れません。
この頃になると杉元とウパシちゃんは完全に意志疎通していました。アシリパさんの作った携行食のお団子があるうちに発っていればよかったのに、とウパシちゃんが言えば、お前もガツガツ食べただろうと杉元がすごみます。
実際、ウパシちゃんはかなりの量を食べていました。霧に閉じ込められた一週間のうちに杉元の帽子の上でどんどん丸く大きくなっていくウパシちゃん。濃霧に覆われ近くにヒグマがいるかもしれない状況、しかも片腕を負傷している杉元にとって、まるまると太ったウパシちゃんは可愛らしい雪の妖精よりも食料に見えていました。

ごめんなさいごめんなさいと謝りながらウパシちゃんの羽をむしる杉元。京都で食べたスズメの焼き鳥の記憶を頼りに小さな鳥を焼きます。食べて力をつけたらここを出よう、そう決意して口に含んだ瞬間。アシリパさんの杉元を呼ぶ声が聞こえ、それに杉元は絶叫で返すのでした…。

 

さようならウパシちゃん

今週はちょっと一息可愛らしい回かなと思ったらラスト3ページすごかったです。

「ウパシちゃん」と呼び帽子の上を居場所にしてあげ、お団子を分け与え、寒いのにマフラーを寝床として提供してあげる。それくらい、甲斐甲斐しくお世話して可愛がっていたウパシちゃんを、生き延びるために食べる!さすがサバイバル回。

そこまでの杉元とウパシちゃんのコンビの可愛さがすごいだけに落差もすごいです。語彙がない!
シマエナガを手に乗せ助け話しかけるだけでもヒロイン属性かってくらい杉元が可愛いのに、お団子を好きなだけお食べと差し出す杉元と、待ってましたと言わんばかりの勢いで食べるウパシちゃん。可愛い。一人山道に取り残され不安な杉元の心を、あんなに小さな体のウパシちゃんが支えてるんだね…と思うと涙が出てきそうなくらいに素晴らしい関係です。
でも残念ながら杉元は可愛い動物運…と言っていいのかわからないけど、とにかく可愛い動物運がない!彼が可愛いなと思った動物はアシリパさんによって解体され食事として再会することが多いんですよね。動物を狩って暮らしているアイヌなので動物は見て楽しむのではなく食べるものとして見るのは当然なんですけども。この作品に出てくる可愛い動物は犬以外だいたいすぐにお別れになってしまいますよね…。

今週はウパシちゃんが本当に本当に可愛くて癒しでした。野田先生の描く動物ってすごいですよね。リュウもすっごく可愛かったし、今週のウパシちゃんも愛らしい。キャラクター的な表情があるのにリアルタッチで特徴をしっかりとらえている。
リアルといえば、羽を怪我したウパシちゃんの行く末もリアルだなと思いました。自力で飛べなくなった鳥は他の動物の食料になるしかないのですよね。杉元が食べなくてもきっと他の動物が食べていたでしょう。アシリパさんが何と言うのかはわからないですが、自然の摂理だと言って同じように焼いて食べるのではないかな。多少人間が手当てしたところで自力で生きていけないことにはそう変わりないでしょうし…。

先週の私、アシリパさんと山で過ごしてみたい、癒されそう…だなんて書いてました。でも今週のお話を読む限りそんなことはなさそうですね。もし私が今週の杉元だったら、自分の生への執着と友情とを天秤にかけて身も心もボロボロになりながら焼き鳥食べてそう…。
安易な気持ちで山暮らし楽しそう的なことを言ったのを見透かされたみたいでちょっと恥ずかしいです。アシリパさんぜひ杉元のメンタルケアしてあげてほしいな…山でできたお友達食べちゃったし…。

 

 

 

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