タルトの向こう側
こんばんは、うたげです。
最近ゴールデンカムイの感想しか書いていないので何か書きたいなと思っていたところに、閃きが降りてきたので、書きます。
タルトの向こう側
先日つい小さいタルトを買って帰ったのですが、家でお皿に乗せてみるとなんとまぁかわいいこと。
ホールケーキのサイズではなくて一人一つ丸ごと食べる、小さいタルトです。
タルト生地の器の中にチョコレートムースとバナナが入ったやつです。
思い返してもおいしそうですね。
タルトってなんか買っちゃうんだよな~惹かれるんだよな~~という方も多いのでは?
かくいう私もそう。
フレッシュフルーツが眩しいケーキや定番のシュークリームとかがあっても、ついついタルトに目を奪われてしまいます。
食べ始めるとその食べづらさに少しだけ後悔を覚えることもあるのに。
タルト生地の割りにくさ、生地がボロボロこぼれるところ、割ったとてフォークで刺すとまたボロボロ分裂するところとか。
でも選ぶときって食べづらさなんてまったく考慮しないので、その見た目の完璧さからタルトの誘惑には抗えません。
そう、小さいタルトの見た目は完璧なのです。
他のお菓子類に比べて、タルト生地の縁取りのおかげで輪郭がはっきりしている。
まるで絵画の額縁みたい。
お皿に乗せると、そこは美術館の一画。
その額縁の向こうに見えるのは箱庭的世界です。
ある世界の一部を切り取って見せてくれている。
そういう無限を感じさせるところが、私がタルトに惹かれる所以かなと思います。
絵画もそうですし、写真もそう、なんならパソコンやタブレットを通してみる誰かの生活もそうですが、切り取られたものには魅力があると思うのです。
その額縁の外側が「ない」からこそ、その見えない部分に想像力を掻き立てられる。
制約があるからこそ無限の広がりがあるように思うのです。
あの有名なミロのヴィーナスも、両腕がないからこそあそこまで人を惹きつけるのではないでしょうか。
全体を見せることではできないことがあって、それは、ある一部だけを切り取って額縁に収めることでできると思うのです。
タルト一つで何を、と思われるかもしれませんが。
あれほど完璧な見た目のお菓子もないのです。
美しさだけではなくその向こうへの広がりも持ち合わせている。
あのくっきりした背の高いタルト生地は、ただの囲いのように見えて、実は、無限の世界へと誘い込む入り口なのだと思います。