ゴールデンカムイ第196話感想
こんばんは、うたげです。
久しぶりのゴールデンカムイ最新話感想です!
二週間休載していたので三週間ぶりに読む最新話。
ネタバレありです!未読の方・コミックス派の方は気をつけてくださいね。
第196話 モス
登別温泉編も終結のようです。
前回は都丹が雪崩に飲み込まれる描写で終わり、生死が気になって(できれば生きていてほしいと思って)いましたが、ようやく判明です。
久々のローカルグルメ情報を挟み、負傷中の月島軍曹と尾形に焦点が当たる今回のお話。
父との関係をめぐる物語
ニヴフの文化の紹介パートから始まるお話。
都丹の生死が気がかりな前回の終わり方からこれなので引っ張りますねぇ…。
でも久々の異文化交流はアシリパさんが大活躍で楽しいです。
現地の人の話を杉元たちに通訳してあげるアシリパさん。杉元にレクチャーしてやる!みたいな感じで誇らしげな気持ちが出てるんじゃないかな。かわいい。
自分たちの文化をきちんと杉元たちに説明していたし、近い文化を持つニヴフのことを知れるのもそれを説明できるのも嬉しいんじゃないかなと思うんですよね。
自分たちが大事にしていることはもちろん、何気ない日常の中で行っているあれこれに興味を持ってもらうのって嬉しいですよね。むずがゆさを伴う嬉しさ。
こういうやり取りでだいぶ消耗しているであろうアシリパさんの心も少し癒えるとよいですね。いくら強いヒロインとはいえまだ幼い子どもなので。
今週のグルメ紹介は、「モス」というニヴフの魚を使った冬のお菓子!
「モス」といえば、そう、鯉登少尉のお父さん、鯉登平二海軍少将!
その響きから鯉登少尉が父上を思い出すくらいなので、「もす」が本当に口癖なのですね鯉登少将…。
鯉登少将が出てくるのは網走監獄大激突の前後のみというごくわずかなシーンのみですが、それでもけっこうなインパクトを残していますよね。
あのシーンはとてもいいですよね。父親としても軍人としても責任を全うしようとする心意気が見えて。
父上は杉元相手にも薩摩弁で話すくらいお国訛りが抜けていないというのも良きですが、父親としての心根を話していたから最も親しんだ言葉が出てきたんだという見方のほうが素敵ですね、あのシーンは。
そんな父親とは良好な関係を築いている鯉登少尉と、自分の父親については思うところのある月島軍曹の対比。
佐渡の親父殴り殺しから続いた月島軍曹の佐渡関連のストーリーもここらで一旦完結でしょうか?
真相不明ながら人生の邪魔をしてきた父親を殴った月島軍曹の目の前には、父親を尊敬している若い将校の姿があって。
大事な誰かの娘を連れ去ろうとした月島軍曹が、別の誰かの娘が生きるのを手助けして親を悲しませないよう助言した。
自分自身の親や周りの人とは良い結末を迎えられなかったかもしれませんが、今近くにいる人の良い結末を祈ったり手助けしたりすることはできるんですよね。
父上のことを語る鯉登少尉を見て思うことはあったと思いますが、それでも「誇らしく思うはず」と声をかけられた月島軍曹。
かつての自分がしたことを他の誰かに見るという経験を樺太でしてきたからこそ言えたことかなと思います。
それだけ自分を客観視できたということで、この旅で月島軍曹も成長したのでしょう。
山猫はまだ語らない
さて、まだ伏線がほぼまったくと言っていいほど回収されていない男がここに一人。
そう、尾形。
この男は、戦う目的が謎。
動機といいますがここに至る背景は度々出てくる勇作さんはじめ家族との因縁でなんとなく掴めはしているのですが。(参照:ゴールデンカムイ第188話感想)
何のためにこんなことをしているのか?という問いは未だにわかりませんよね。
結局、金塊がほしいのか、アシリパさんがほしいのか、何なのか…。そもそもなぜ鶴見中尉を裏切ったのか?とか…。
なんとなく自分でも何がほしいかわからなくて、とりあえず猫が獲物をもてあそぶように、人殺しのできる戦いに身を投じているだけのような感じもありますが、本人が何も言わないのでまだまだ謎が多い男です。
おそらく作品自体がもう九合目にさしかかるくらいのはずなのに。
そんな尾形はアシリパさんの心に深く爪痕を残そうと試みましたが杉元によって阻止され、今は死んではいないものの無事とは言い難い状況のようです。
ニヴフが草から作る傷薬ではもちろん治せません。
医者に見せる必要がありますが、鯉登少尉は密入国や日本兵であることを通報される危険を回避したい。
でも杉元は危険を冒しても尾形を助けるつもりです。
尾形には聞きたいことが山のようにある。
それもそうですが、何よりもこのまま尾形を死なせては、アシリパさんが殺したことになってしまうから。
人殺しかそうでないかの境界線をアシリパさんに越えてほしくない、よりによって尾形のせいで。
これについてはアシリパさんも尾形を殺すのはおろか傷付ける意図もなかったので杉元とアシリパさんの間に溝はないのですが、杉元の理想の押し付けにも見えますよね。
ウイルクの今際の言葉を正確に伝えなかったりと杉元には自分の思うアシリパさん像をアシリパさんに押し付け気味の傾向があります。
静かに暴走しているかもしれないのですよね。これもその暴走の一端かもしれない、と思うと今回の話も途端にホラーになってきます…。
(参照:ゴールデンカムイ第192話感想)
負傷しているのは尾形だけではありません。
月島軍曹にも治療が必要だという杉元の言葉で鯉登少尉も渋々承諾し、亜港の医者の元を訪れた一行。
でもそこでは重症の尾形の治療は無理でした。
本格的な機材のある病院へ行く必要があるとのことで、尾形をそりに括り付け病院へ運ぶことにします。
最後のコマの尾形、微妙に口角が上がって、笑っているように見えませんか?
不気味ですねぇ…今は何を考えているのか…。
今逃げ出したところで無事でいられるはずもないので大人しく治療を受けると思うのですが、尾形は猫と同じで何を思っているかその顔からは一切伺えないですからね。
次号あたりみんなが少し目を離した隙に舌を噛み切ってそれにアシリパさんが最初に気付くなんて展開だったらどうしよう…すごくトラウマ…。
余談ですが、冒頭で「父上に成果を報告できて嬉しい」という鯉登少尉のセリフと、「密入国者で日本兵だから通報されては困る」というセリフは、何か伏線なのでしょうか…?
このまま無事に帰国できて父上にも鶴見中尉にも褒められる鯉登少尉が見たいのですが…。
日本へ帰る前にもう一波乱ありそうな予感です。
第七師団のウサギと亀
登別の第七師団も出てきました。
都丹、死んでる………。
刺青はがされて皮だけになってる…。
硫黄山の苦役で募らせた怒りを原動力にするガッツのあるやつだから、どうにか生き延びているはず…!と思ったのに…。
死ぬときはあっさり死にますよね、この漫画。
野田先生が前に何かで「死ぬときの演出なんてない」というようなことを言っていた気がするので、そういうことですよね。
生き延びるのにも過剰な演出はしないということでもありますものね…。
都丹のトレードマークのスカーフ?を、戦利品として首に巻く菊田特務曹長のコマ、見ていて切ないです…都丹ほんとうに死んでしまったのか…。
でも、いなくなったということを小物で見せる演出は好きです…悪魔の証明をモノで語れるってすごい…。
菊田特務曹長と有古一等卒はかなりのやり手でしたね。
有古は都丹の死亡を確認したあと、死体を運ぶのは労に見合わないと判断し刺青の入った皮をはいで下山し、アイヌのコタンに潜伏。
宇佐美と二階堂の手柄横取りすら予見した的確な判断です。
宇佐美と二階堂はのんびりしている間に出し抜かれているけれど大丈夫なんでしょうか。
ウサギと亀のウサギみたいですね。
仲間内での手柄横取りのほか、刺青は獣の皮と同じようにはぐという情報が菊田たちに伝わっていないことを考えると、第七師団の中でも宇佐美や二階堂といった金塊争奪戦に直接関わる兵たちは破格の扱いということになりますね。
菊田と有古は刺青について、鶴見中尉が求めているということしか知らなかった。
「正中線で途切れている」という作品の初期に印象付けられている情報を今このタイミングで出すということは、今後の展開に繋がってくるものになるのでしょうか?
菊田と有古ももうひと騒動起こしてくれそうですね。
一枚岩かと思われた相手方にも内部から亀裂が生じている、という展開は非常に楽しみです。
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