ゴールデンカムイ180話感想

こんばんは、うたげです。
リアルタイムで追っている現在ほぼ唯一の漫画、「ゴールデンカムイ」の最新話の感想です。
コミックス派の方にはネタバレになります。自衛してくださいね。

 

先遣隊との激突間近!第180話 亜港脱獄

さて、今週号は、これだけで何かわかる!とか、今後の展開を想像するようなものではなかったと思います。次週以降の展開で解釈が変わりそうですね。

180話ということで順当にいけばこれがコミックス18巻の最終話になります。
お話のキリのよさでいうなら179話のほうだけれど…今後の展開を見ないとここでの区切りがどう受け入れられるかは正直まだよくわからないですね。
それにしても毎週扉絵のアオリが秀逸ですごいですね。流行を抑えてきます。今回のは私は元ネタを見たことないですが…(ほとんどテレビを見ないもので)。

 

亜港集団脱獄を目指して

ソフィアに会えばアシリパさんは何かを思い出すはず。そう信じるキロランケ主導で、4人は亜港監獄からソフィアを脱獄させる計画を進めます。
白石の指示で夜間に塀に穴を開け、日が昇ってもそれが見つからないように汚れた雪で隠す。白石の脱獄経験が活きています。
そして無人の灯台から爆薬を入手したキロランケ。それを四箇所に設置し、夜明けと同時に爆破。それがソフィアへの脱獄の合図です。

しかし、爆破はうまくいきません。四箇所設置したのに、うち三箇所は点火したのに爆発しない状態。爆薬の保存状態が良くなかったようです。

それでも一箇所の爆発が合図となり、目覚めが最高にいい高血圧ついでに血の気も多いソフィアさんは、他の囚人たちと脱獄を始めます。他の囚人がソフィアの手錠を外したり、実際には四箇所も空いていない塀の穴を見て「話が違う」と言っていたり、ソフィアは脱獄計画を囚人たちと共有していたようですね。集団脱獄させるというキロランケの目論見通りです。

爆発に気付く先遣隊のカット。双眼鏡で亜港監獄で爆発があったことを知った先遣隊一行。ついに追いつきましたね。先遣隊とキロランケ一行が邂逅するときが…!

監獄の中を見てみれば、どでかい木箱ぶん投げ・ハラショーアッパー・反重力ドロップキックで大活躍のソフィアさん。大量の囚人たちと監房の外に出ますが、爆破がうまくいかなかったため、塀に空いた穴は一箇所のみ。そこに囚人が殺到します。
しかし、外に出るとそこには虎が…。

というのが全体の流れです。
監獄と聞くと、作中で最も大きなターニングポイントとなった網走監獄が真っ先に思い浮かびますね。そこに忍び込む準備をしていたときよりも順調にサクサクと進んでいきます。
まぁ、監獄から脱出するというのは、おおよそすんなり終わらないと決まっているので、今回も予想だにしていなかった展開になっているんですけれど…虎って…。

 

アザラシ、馴鹿、再び

ここからはつらつら感想です。

アザラシを仕留めるアシリパさん、見覚えがありますね!
アシリパさんが嬉しそうにしているとこちらも嬉しいです。一番新しいコミックスでは、落ち込んだ様子で樺太に降り立った姿を見たばかりなので…。
浮きがついている銛を、氷上を滑らせて当てるという方法は面白いです。アオリにもあるように投擲の技術を使って、首を狙えますね。海から顔だけ出した状態のアザラシの首を狙うにはこれ以上ない方法でしょう。アシリパさんの肩の力でも仕留められるくらい勢いがつくのかな?なんにせよ、作中の狩りの様子は、道具や手法の詳細な描写のおかげで、実際にやっているところを見てみたい!と思わせてくれます。

そして唐突に馴鹿(トナカイ)。尾形好きに大激震の走った、勇作さんまさかの再登場回周辺を思い出します…。
「何かに追われて」ここまで来てしまったのは、尾形でしょうか、それともキロランケ?たった一頭、群れから外れ、時が経てば消えるであろう危うい流氷の上の道なき道を歩いてきたのは、一体誰なんでしょうか。誰のことを指しているんでしょう。

キロランケ尾形アシリパ白石組では、動物が何かの暗喩になっていることが多いので、ここでアザラシが出てきた意味や、馴鹿にアシリパさんが気付き尾形が「アイツも」と語った意味、きっと何かあるんでしょうね…。

 

灯台の爆薬、四箇所の爆破、虎

詳しくないのですが、灯台には港に出入りする船を監視する役割があって、つまりは敵と接する最前線でもあるわけだから、戦闘用の設備が整えてあるものなんでしょうか?以前に先遣隊が立ち寄った灯台守のご夫婦のところではないだろうし…。
しかもこの爆薬、保存状態がよくなかったのか、肝心のときに爆発しません。花火で言う湿気ているようなものでしょうか。
さらには、設置個所は四箇所。なぜ四箇所なのか?一箇所では看守も集中するので分散したほうがいいのはわかるのですが、キロランケたち脱獄の手引きする側が4人なので1人一箇所になります。これだともし爆破前に見つかってしまったときや失敗したとき、看守に攻撃されたときなどに危険な気がするんですよね…。なので四箇所にしたのは、キロランケが単独で何かしたかったからではないかと思っています。
実際に、爆破が成功したのはキロランケが担当した一箇所だけのように見えます。ここに囚人や看守を集中させたい狙いが何かあるのではないか?と思います。その狙いが虎に襲わせるわけではないと思うので、これは偶然で、キロランケも予想していなかった可能性が高いと思いますが。だって虎使いだったとしたら最強すぎますからね。

次週は、予想外の事態に慌てて、つい真の狙いを口走るキロランケが見られるのではないか?と予想しています。

 

 

ゴールデンカムイ第179話感想

毎週木曜日のお楽しみ、ヤングジャンプの発売日。
ゴールデンカムイ目当てに買いだして半年、そろそろ週次で感想を書きます。
私の頭の中の整理メモも兼ねてるので読みづらいですがお付き合いください。

 

三脚の人物たち

唐突ですが、三脚をご存知でしょうか。カメラを取り付けたりするアレです。書いて字のごとく、三本の脚で支える構造のアイテムです。

先週には「維新の三傑」の話で、今週も引き続きいわば「ゴールデンカムイ版 維新の三傑in露西亜」の話。この三人の過去回はこれが最後でしょう。
知的で穏やかで何でもそつなくこなす(イメージの)ウイルクと、伸びしろの大きい(イメージの)キロランケと、天真爛漫さとカリスマ性を持ち合わせた(イメージの)ソフィア。すいません全部イメージです、先週号がどっか行きました。

コミックスをぱらぱら読み返していて気付いたんですが、この作品では三人組というのが基本単位としてよく出てくると思います。例えば、杉元・アシリパさん・白石。土方さん・永倉のおじいちゃん・牛山。谷垣とインカラマッとチカパシ。鶴見中尉と月島軍曹と鯉登少尉。
ウイルクとキロランケとソフィア。杉元と梅ちゃんと寅次。

冒頭で脈絡なく三脚の話を出しましたが、三点で支えるというのは非常に安定する構造だそうな。山の中でのカメラマンの撮影なんかを思い浮かべてほしいんですが、デコボコした岩の上なんかでもしっかり立つのは三点で支えているからなんですって。
つまり三つそろっているというのはとてもバランスの取れた調和的な状態です。それが一点でも欠けるとどうか。当然、バランスが崩れて倒れてしまいます。

ゴールデンカムイの登場人物にも同じことが言えるかなと思っています。三人がそろっている間は大きな展開はないけれど、一人が欠けたり離れたりするとドラマが動き出す。
かつての杉元たちも、梅ちゃんを残して男二人が戦場に行ってしまって、そこからゴールデンカムイの冒頭へつながっていきますよね。杉元とアシリパさん白石が引き離された網走監獄は言うまでもなく作品の最大のターニングポイントだし。第七師団の三人は、網走監獄で三人そろった状態で穏やかとはいえないことを引き起こしたとはいえ、鶴見中尉と月島軍曹・鯉登少尉が別行動になってからが彼らの物語の進展だと思います。
野田先生は意識して三人組を平和的な空気で包んでいるような気がします。もともと三だったものが一と二に別れる、あるいは二や一に減ると、調和が壊れて、転がるようにして前に進んでいく勢いや推進力のようなものが生まれる感覚を私は覚えました。今週は、ソフィアが露西亜に残ると言い、三人ではなくなってしまいましたし…

二階堂は一人が片足を失っているので、二人で三本足=三脚ですね。だから何だって話ですけど…すでにバランス崩れてますし…

 

親の気持ち

今週はそんなことよりもとんでもない情報が明らかになったのですが、彼についての考察は他の方がたくさん書いてくださると思うので、ちょっと気になったことを。

この作品では親と子については嫌というほど描かれていますが、これまでは子の側からの視点が圧倒的に多かったように思います。尾形、江渡貝くん、月島軍曹。親から与えられた愛情を糧に生き、子を持ったら今度は自分が愛情を注ぐ、これが理想的な循環ですが、その循環から外れてしまった彼ら。今よりもずっと不自由の多かった時代だと思いますが、それでも彼らは親に恵まれた明るい子ども時代を送ったわけではありません。

そして彼らと関わってきたのが鶴見中尉でした。それはなぜかと考えたときに、親子関係は深い傷にもなり得るので懐柔するのにそれを利用するのが手っ取り早いとか、やはり前頭葉が吹っ飛んだ関係で頭のネジが外れ常任には理解できないようなことを企んでいるんだろうなと思っていたのですが、今週号で少し考えを改めました…。

少し不思議に思ってはいました。必要な人材を手元に置くためとはいえ、江渡貝くんに対しては「巣が歪んでいる」、尾形には勇作さんと育ちが違う旨のことを言う、月島軍曹の父親も演出に利用する。
部下たちを先導する人が、先の目的のためではなくて、原因側に固執するのはどうしてだろう?と。

でも、今週号で、鶴見中尉にも家族を失った過去があって、しかもその原因が間接的とはいえ自分にある(自分が持ち込んだ武器、自分の使命)ことが明らかになりました。そうなると、こう考えているのかもしれないなと私には思えるんです。
子どもには何の罪もない。もし子が間違ってしまうのならそれは親のせいだ―。

実際には、懐柔するのにそれが一番いい手段だから利用しているところもあるとは思います。江渡貝くんみたいに明らかに家族で苦しんでいる人がいるなら、家族とケリをつけるのが最も効果的ですもんね。
でも、狂人のように面白がっていたり、何の感情も持たずにそれをしているわけではないかもしれない。そういう可能性だけで、鶴見中尉の魅力がまた一段と深まる…どこまで魅力的になるんだこの人は。
今週号の話を踏まえると、稲妻お銀の子のシーンは涙なしでは読めない…。
また、アシリパさんのコタンは谷垣の滞在場所として知られていたし、お銀の子を預けていたので村の状況なんかも調べられていたと思います。はじめ読んだときは、フチが危ないのでは?という心配もしましたが、その心配はなさそうですね。アシリパさんはのっぺら坊の娘とはいえ、歪まず真っ直ぐに育っています。フチやコタンといった巣がそう育てたと思うので、真っ直ぐな子を育てる巣をどうこうする必要はないですし利用すると逆効果ですもんね。
先の展開はまったく読めないですが、鶴見中尉の目的が達成されるとは思えないので、月島軍曹や鯉登少尉などいわば彼の子のような者たちに穏やかに見送られる最期だといいな、と思います。
もしかしたら鶴見中尉のことだから自分が死ぬところまで作戦に入れていたりしそうだなぁという予感を胸の片隅に置きつつ、次回を待ちます!次週は休載かぁ。

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