ゴールデンカムイ第223話感想

こんばんは、うたげです。
ゴールデンカムイ最新話の感想です。
ネタバレを含みますので未読の方・コミックス派の方は気をつけてくださいね。

また、以下は私の所感です。
一ファン個人の想像・妄想・曲解を多分に含んでいますので、そういうものとしてお読み頂ければ幸いです。

 

第223話 元気になる

鯉登少尉が傷を癒している北海道のどこかの軍病院。発明好きの有坂閣下がもたらした、彼の友人の薬学者・長井の開発したメタンフェタミンという薬のおかげで、二階堂はすっかり元気になり、廊下を走り回っていました。
軍病院には家永が医師として留まっていました。家永の刺青は鶴見中尉も土方さんも写しを持っているため金塊争奪戦でもはや家永が刺青の囚人として命を狙われることはありません。そのため家永は若い患者の血が目当てで逃げずに自発的に鶴見中尉の下で治療をおこなっているのでした。

一方の土方陣営では、家永が鶴見中尉の下にいるということが問題になっていました。家永はかつて土方陣営と共に網走監獄まで旅をしたため、家永が情報を提供すれば今の土方陣営の滞在先が鶴見中尉に知られている可能性が高いのです。網走監獄までの怒涛の旅は目まぐるしく、ひとところに長くいたわけではありません。それでも永倉門倉のように安穏と構えていてはいけないのが鶴見中尉です。尾形は、鶴見中尉は全ての滞在先を当たり自分たちを見つけに来るだろうと言います。それに土方さんも同意。鶴見中尉には用心しすぎることはない、ということで滞在先を家から寺へ移すことになります。

寺へと引っ越す中、尾形は一人食料の調達のため鳥撃ちに出ます。水辺を飛ぶマガモを狙い発砲しますが、弾は空中を飛ぶのみでした。寺へ戻った尾形が手にしていたのはマガモではなくオオハクチョウ。冬場のオオハクチョウは肥えていて飛べず、鉄砲を使わずとも捕獲が可能です。
アイヌでは「白鳥を食べると将来白髪になる」と言われており、キラウシは子どもの頃ハクチョウ=レタッチリを食べさせてもらえませんでした。白髪になりたくないと土方・永倉の大人組以外は食べようとしませんが、ぶつ切りにして鍋で炊いたレタッチリを二人は実に美味しそうに食べます。誰でも老い死ぬのだから今美味しいものを楽しむものだと土方さんは語り、それに対し尾形は鼻で笑うように返すのでした。

レタッチリの調理前、尾形がオオハクチョウを持ち帰ったとき。有古と尾形は土方陣営で初めて顔を合わせます。尾形の姿を見て驚く有古に対し、尾形は落ち着いた様子ですが、まさか有古が裏切るとはと意外そうなことを言います。

また、次の囚人のヒントが門倉の口から土方さん永倉さんへ語られました。網走監獄再建のため樺戸監獄から囚人を移送中、何者かの待ち伏せにより数名が脱走。脱走したのは海賊房太郎の側近たちでした。海賊は網走脱獄囚24人の一人です。海賊房太郎を仕留め土方陣営は鶴見中尉より先に新たな刺青人皮を手に入れることができるのでしょうか。

 

ハクチョウは水面下で…という俗説

尾形はもう狙撃ができないのでしょうね…。撃てど当たらない。オオハクチョウも、キラウシが手でも捕まえられると言っているから、マガモを打ち落とせず仕方なく仕留めた獲物かなと思います。外した描写は一発だけなのでミスリードな気もしないではないですし、訓練してまた精度を上げてきそうな気もしますけどね。尾形って努力していることを一切におわせなさそうだし、かつてできていたことができないという一面を見せるのも嫌がりそうですし。土方陣営で狩りをしながらリハビリするのかしら。

それにしてもオオハクチョウって大きいな!水鳥だから羽が多そうだけど大の大人がこんなにいてもまかなえるほどの量があるとは…。
あと寺で修学旅行みたいにお布団並べて寝てるの可愛すぎません?すっかり打ち解けた感じ出てるし。尾形も有古の隣にちゃっかり寝てるの本当に可愛い。コマ構成の都合かなとも思いますが布団の真ん中よりも有古側に寄ってるの可愛いですねほんと…人と馴れ合わないわりに置いてかれるのは嫌いそうで、猫ちゃんだ本当に。
土方さん永倉さんの歴戦の志士たちがいるおかげで世間一般ではとうにオッサンと呼ばれる年齢である門倉たちも少年みたいに見えてくるので、年齢構成や関係性って大切ですね!尾形もこの安定感あるメンバーの中では猫ちゃんとして振る舞えていますし。樺太のメンバーでは猫ちゃんになれる関係ではなかったんですよね、たぶん。

さて尾形は、有古との再会や土方さんの死生観から、何を思ったのでしょう。
有古が二重スパイだと気付くのは尾形のような気がします。観察眼すごそうだし鶴見中尉の下にいたからどの情報を二重スパイのために持ち込まされたなどもわかりそう。
尾形はどんな死生観を持っているのかな。私は土方さんの語る、今を生きるということに共感を覚えますが、尾形の「はッ」は共感にも反発にも受け取れますね。
土方さんと尾形といえば、土方さんは尾形が狙撃手としての機能を失っていることに気付いているのではないかなとも少し思いました。「尾形が正しい」、これは鶴見中尉の下にいた人間としての価値があると認めているということかなと。狙撃手としての座をなくしても戦略担当として居場所がきちんとあるのだと伝えているように受け取りました。狙撃手が片目をなくすってそもそも痛手ですからね。マガモ狩りの様子を誰にも見せず一人で行っているあたりからも、やはり尾形はもう撃っても当てられないんじゃないかな…。この段の冒頭で述べたことと変わっていますが、尾形はジョブチェンジを余儀なくされ、チェンジしたあとのレベルが低い状態でも構わない役に立つさと土方さんが言っているのだと思います。

 

 

 

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第222話 刺青人皮

北海道の病室。樺太で負傷した鯉登少尉は、インカラマッに今日の運勢を占ってもらっていました。鯉登少尉はほとんど簀巻きにされ寝かされていますが、月島軍曹は普段通りの様子。占いで楽しそうな二人に対し相変わらずの鉄仮面対応です。

さて、なぜ鶴見中尉に半ば谷垣にとっての人質として捕らえられていたインカラマッが、鯉登少尉と仲良く病室で占いで盛り上がっているのか?インカラマッは網走監獄でキロランケがウイルク殺しに関わっていると証明するため、自らの腹に彼のマキリを刺して負傷していました。鶴見中尉に捕らえられたあとは治療を受け、順調に回復へ向かっていたはずですが――
彼女は妊娠していました。父親は谷垣です。

一度は大泊で金塊争奪戦を抜けマタギに戻ると宣言した谷垣ですが、鶴見中尉にインカラマッが身籠ったことを伝えられると、さすがに驚きを隠せません。そこへ追い打ちをかけるように囁く鶴見中尉。
アシリパを連れてくれば谷垣とインカラマッを解放する。お前ならば警戒されずに杉元たちに近付けるはずだ。
谷垣は鶴見中尉の元へ寝返り、杉元を出し抜いてアシリパさんを連れてくるのでしょうか…。

一方、不穏な気配は土方陣営にもありました。土方・永倉・牛山・門倉・キラウシに、尾形が合流したのです。
何食わぬ顔で戻ってきた尾形は網走監獄以降のことを話します。もちろん、全てが真実というわけではありません。尾形がキロランケと手を組み、のっぺら坊ことウイルクと杉元を狙撃したはずですが、「流れ弾に当たった」と嘘をつきます。
ソフィアたちが鶴見・土方の二陣営に加わり三つ巴の戦いになるであろうこと、アシリパが暗号解読の鍵を思い出したであろうことを尾形は語ります。

残りの刺青人皮は、4枚。鶴見陣営と土方陣営に集中していますが杉元たちはどう立ち振る舞うのでしょう。

 

二人目のスパイ

今週は、展開が、情報が、多い!!!

まず何と言ってもインカラマッの妊娠。まさかあのラッコ鍋のときのアレが……!
そしてそれを利用する鶴見中尉。稲妻・お銀の子に対しては慈悲深いところを見せましたが、今回はお腹の中の子ともども人質です。授かりものなのでまったく読めない要素ですが、これによって鶴見中尉がアシリパさんを手に入れる糸口を見つけたので、鶴見中尉は本当に悪運に恵まれていますね。
これで鶴見中尉は二人のスパイを得たことになります。一人はもちろん谷垣。杉元たちに向けたスパイですね。まだ谷垣がそれをすると決まったわけではないですし、律儀な性格からして人をだますなんてできなさそうなので、結局杉元たちに味方することになる予感もありますが、谷垣にはまだまだ苦難が待ち受けています。
そして鶴見中尉のスパイ、もう一人は有古。鶴見中尉を裏切ったと見せかけ土方陣営に潜り込んだはずですが、今週は姿が見えませんでしたね…。もう対処済みなのかな…?

あとは鯉登少尉も無事に回復しているようで何よりです。相変わらず元気そう。占い結果にはしゃぐところなんて子どもみたいでかわいい。インカラマッになついていそうなのもいいですね。この絡みをもっと見たいですが、最終的に敵対関係になるだろうことがなんとなく見えているので、一時の関係かと思うと切ない…。

 

何なんだ尾形

そして最後に尾形。しれっと嘘をついてまた戻ってきたのが、もう本当に、お前………。それでこそ尾形だ!という興奮すら覚えますね。
そういえば北海道のときは猫ちゃん扱いだったんですよね。牛山やアシリパさんからの扱いが特にそうだったような。猫ちゃんみたいに自分の真意を見せない人間なのかなと思っていましたが、それが樺太に行ってからは――人が変わったというか、おそらく樺太で見せた顔のほうが本性でむき出しの感情をそのまま出しましたという格好なのでしょうけど――まるで今までと別人のようで怖かったです。今まで同じ旅路を歩いた仲間だったのに杉元を狙撃したあたりからショックでまったく尾形という人間がわからなくて、樺太では常にアシリパさんを試しているような態度で、なんだかずっと落ち着かない感じでした。樺太で初めて尾形の感情丸出しの部分を本人の言葉つきで垣間見て、ますます訳がわからなくなりましたね!真意を見せない猫ちゃんみたい、とは言いましたが、その真意の出し方も下手くそか!という感じで、まぁ猫ちゃんであることには変わりはないんですけども……猫ちゃんは誰かを大好きだけどそれを隠すツンデレな感じのイメージでしたが、尾形が隠していたのはもっとヤバい感情でしたね。ツンヤバ。

尾形は土方陣営に戻ってきましたが、今回もまた真意が見えません。なんでこいつ金塊争奪戦やアシリパさんにこんなにこだわるの?という大本の疑問はまだ何も語られていないんですよね…。人を騙していくつもの陣営を渡り歩いて、アシリパさんに執着しているけども近くにいたいとかそんな温かな理由ではないですし、けれど鍵を聞き出したい金塊を手に入れたいというのが理由でもなさそうで。ほんと何なの?

でもこんなに訳のわからない男ですけど、それでもやっぱりいいなぁと思ってしまうのです。何か目的があって俺以外全員騙して裏切るなんてかっこいいじゃないですか。その行動の理由がたぶんドロドロにくすぶったマントルみたいな感情だと思うと、本当にこの先の尾形が楽しみですね……!

 

 

 

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第221話 ヒグマ男

平太と戦う杉元。それまでの親切な砂金掘り師匠が幻だったかのような形相と怪力で襲ってきます。
刺されて悲鳴を上げる平太は、もはや人なのかヒグマなのかも曖昧な様子で描かれています。苦痛に悶える平太なのかヒグマなのか曖昧な存在の口から出てきた人の手が、アマッポの紐を引き……杉元の喉元へ向けて飛んだ矢は、平太の喉に突き刺さりました。まるで杉元をかばうかのように自ら射られに行った平太のおかげで、ヒグマ男と杉元の戦闘は唐突に終わりを迎えます。

松田平太は、人を殺して死刑囚となっていました。幼い頃に聞いたアイヌのウェンカムイの話が恐ろしくて、ずっと空想していた平太は、砂金を掘ってもすぐに散財してしまう家族を憎んでいました。そしてある日、平太のウェンカムイが散財する家族にバチを与えました。家族を惨殺したのです。門倉の話では、平太は自分の中に何人もの人間がいると話していたそう。ヒグマが平太の頭の中の人間を一人ずつ食べていき、最後に平太が食べられるとウェンカムイに乗っ取られる。乗っ取られたら現実の人間を殺さずにはいられなくなり、殺すと平太の体はバラバラの肉片になって飛び散り、やがて元の平太に戻る。それを何度も繰り返して網走監獄に入ったのです。しかしウェンカムイに食われ誰かを殺す行為を誰かに止めてほしいと願っていた平太は、杉元と戦うことで自らとどめを刺すことに成功したのです。

アイヌにとってウェンカムイは悪い神であり、仕留めたあとは皮も肉も切り刻んで、改心するよう山へばらまいています。また、ウェンカムイに殺された人間は、カムイに好かれていたから連れていかれたとされています。平太が自分の中で膨らませたウェンカムイ像は、アイヌの考えが正しく伝わっていないがために間違った方向へ膨らんでいたのです。
アシリパさんの言うように正しく伝えることの重要性か。はたまた砂金の人を狂わせる魔力か。平太の件から得られる教訓は様々です。

 

人間を送るということ。

今週は平太の話の解決編でした。が、気になる点がいくつか。

 

■平太にとどめを刺したのは本人なの?

平太の毛皮の口から手が出てきてアマッポを作動させ、それがとどめとなりました。が、あの手は、一体誰のものだったんでしょうか。作中では平太の空想と読者・杉元の視界が入り混じっていて、何が現実なのかがわかりにくくなっています。意図的にそうしていると思うので、だからこそ大事なとどめの場面でそうする理由が何かあると思うのですが……残念ながら私にはわかりません!
平太はヒグマの毛皮を被っているだけでヒグマ自体が戦っているわけではないのですよね。けれどヒグマが唸り声を上げたり刺されて悲鳴を上げたり。ウェンカムイに乗っ取られそうになっている平太、というのを表しているのだろうなと思います。
ヒグマの口から出てきた手は、杉元と同じコマに描かれていても、その手を杉元が目線で追っている様子がなくて認識していないように見えます。つまり平太の妄想かもしれないのです。
けれどアマッポは発動していますから、誰かが紐を引いたのでしょうけど。実際には揉み合っているうちにどちらかの体が紐に触れて、ということなんでしょうか。それを平太の側から描くとこうなるのかな。

 

■杉元の銃は何を示している?

杉元の銃は、平太と揉み合って崖から落ちたときに木に引っかかっていました。二人の後を追うアシリパさんが回収した様子もないので、平太が倒された今週の話の最後の時点ではまだ木の上です。
揉み合ったときに体を離れることはままあると思うのですが、木の上にあるのをしっかり描いたコマが挟まれていて、銃が杉元の体を離れたんだなぁとハッキリわかります。あえてそれを見せる理由が何かあると思うのですよね。
私なりに思うのは、平太に人間として向き合う、という意味だったのかなぁと。銃は、ゴールデンカムイの中で、「軍人の象徴」として扱われているのかなと思います。銃を持っているのはたいてい軍人ですし、杉元も元兵士ですし。軍人が銃口を向ける先は様々でしょうが、お仕事で向けているので、そこにあまり感情を差し挟むことはないと思います。なので、銃を使わない=平太を彼の妄想通りのウェンカムイとしてではなく、一人の人間・松田平太として手厚く葬った、ということになるのかなと。一人の人間として送ってやりたいというのが誰の意図なのかわからないですが、優しいことじゃないですか。平太は殺人衝動に苦しんでいたようなので、ウェンカムイから解放され救われたのはよかったです。
また、杉元が白いクマを仕留めたにも関わらず送れなかったことも少し関係あるのかしらと思います。どちらで見ればいいかわからないのですが、「銃で仕留めた(=クマと人間が離れている状態で)から次は送れるよう銃を使わないよう山の神が仕向けた」「白いクマを送れなかったから山の神が銃を取り上げた」、どちらかかしら。でもどちらもほとんどこじつけなので、解釈しきれないことをカムイのせいにしてはいけないですねー。

 

最後は、アシリパさんと杉元の視点が違うことが浮き彫りになっているようで切ない…。
アシリパさんはアイヌ文化を伝えることを、杉元は砂金(金塊)を。二人が目指すゴールは違うものかもしれないですが、道のりは同じはずなのですれ違いなく走り抜けてほしいですね…。

それにしても北海道に戻ってきた途端に鶴見中尉や土方さん、尾形の動向が見えなくなって怖いですね。さすがに次回あたり出てきそうですが、来週はお休みです。ということは次のお話が読めるのは12月…。早いなぁ…。

 

 

 

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第220話 毛皮

平太が見たというヒグマを杉元たちが探しますが、足跡も見つかりません。痕跡がないのにヒグマが目撃されるだなんて、流氷の上で白いクマをしっかり神の国に送れなかったから山の神が怒っているのでは…と案じる杉元に対し、「わからないことをカムイのせいにし考えないのは良くない」とアシリパさんがたしなめます。ヒグマがいれば必ず足跡が残る。それがないならヒグマもいないのでは――アシリパさんの言葉からは平太を疑うようなにおいが感じられます。

白石は大事な砂金掘りの師匠がヒグマに食われないようヴァシリを呼びに行きますが、当の平太は土饅頭にされた親父と三郎を見つけます。慌ててその場から走り去る平太の耳にどこからか念仏が届きます。それはヒグマに食われている嵩の声でした。腹を食い破られても念仏をうわ言のように唱える嵩の頭を踏みつけてヒグマは嵩のもとを去ります。嵩が食われ殺されるところに居合わせたノリ子は木の陰で声を押し殺していました。そこへ現れる平太。緊張と不安からかノリ子が平太に抱きつくと、興奮した平太がノリ子の唇に自分のそれを重ね合わせます。更には着物の袷にまで手をかけて……さすがにノリ子も抵抗し平太を諫めますが、そのときヒグマの大きな手がノリ子の顔を覆い、その美しい顔を爪で引き裂いたのです。

ノリ子の惨状を目撃した平太は走って逃げ、やがて杉元とぶつかります。「早く逃げないと次は私だ」「私はあいつに必ず食われる」と、平太たちを皆殺しにせんとヒグマが狙っているかの口ぶりです。親父・三郎・嵩・ノリ子、みんな平太がウェンカムイを連れてきたから食われてしまった…と涙する平太に向けられた杉元の言葉。「誰の話をしてるんだ」――実は平太の仲間たちは実在していなかったのです。嵩にいたちの行動はすべて平太が一人でやっていたこと。ヴァシリを誘惑したノリ子の行いも平太のもの。ヴァシリを呼びに行った白石は、彼が描くノリ子の裸、つまり平太の裸のスケッチを見て息を呑みます。平太の体には、金塊の隠し場所を記した暗号の刺青が入っていたのでした。

では平太が見たというウェンカムイは何だったのか。これも実在していないのか。その答えは、これも実在していません。平太は実はヒグマの毛皮を持っていたのです。何度捨てても平太の元にいつの間にか戻ってくる不思議な毛皮。ノリ子がヴァシリにスケッチしてもらったときに見つけて怯えていたのはこの毛皮のようです。しかし杉元たちから見れば、毛皮はいつの間にか戻ってきたのではなく、平太が大事そうに背負っていました。この毛皮を杉元と白石がヒグマを見間違えた、そう考えたアシリパさんは、ウェンカムイは平太の頭の中にしかいないのではと平太に言い渡します。
これまでの行動の事実が明らかになり、”自分の頭の中では”ヒグマに首を折られる平太。現実では突然倒れその上にヒグマの大きな毛皮が覆いかぶさります。”頭の中では”食われる平太が、毛皮の下で起き上がり、まるでヒグマが興奮したときのような荒い息の音を聞かせていたかと思うと……ヒグマの毛皮をかぶりまるでヒグマになってしまったかのように凶暴な顔をした平太が、杉元に攻撃を仕掛けました。

 

映画『JOKER』を見たあとに思うこと

平太は実は一人きりだったのですね。彼の妄想?の中に、ヒグマも嵩たちもいました。実在しない人物たちと行動していたということで、先週語られた「アイヌの人と仲良くなってもらった煙草入れ」のエピソードも、本当かどうかが疑わしくなってきます…。煙草入れはアイヌのものなのでアイヌの人の存在はおそらく間違いないと思うのですが、「仲良くなってもらった」の部分があやしいかな?ヒグマに殺されたアイヌの人のを持ってきた、そのヒグマは平太が仕留め毛皮にして持っている、そういったところでしょうか。

さて、平太のこれが、なんらかの原因があってそのショックからこうなったのか、それとも生まれついての一種の持病みたいなものなのか、何なのかはわかりませんが、少し悲しいなと思ってしまいます。
というのも大ヒットしている映画『JOKER』。この中で主人公のアーサーは、笑ってしまう発作や学習障害などのせいで”一般的な”社会生活からはじき出された存在です。アーサーも、”自分の頭の中で”起こっていることと現実に起こっていることが一致していませんでした。”一般的な”人たちから疎まれるアーサーは最終的にゴッサムシティの暴動の扇動者のような位置にたどり着きますが、あの映画は、人はなぜ犯罪を犯すのかという一例だと思います。
社会から仲間外れにされ笑いものにされる日々。そんな中、必死で何かをしても、社会には入れず空回るばかりかどんどん悪いほうへ向かっていく。いうなれば犯罪は、社会的弱者が辿り着く終着駅のようなものです。そこに平太を重ねてしまうのですよね…。

網走監獄に収容されていた囚人には土方さんのような時代の転換期に扱いが変わってしまったゆえの人もいれば、辺見ちゃんや親分のように己の生き様を貫いた結果の人もいたでしょう。でも実際に大半の囚人は、差別を受けていたり生まれつき体が弱かったり精神になんらかダメージがあったりという、社会からつまはじきにされた人たちだったと思うのです。
平太の頭の中には昔から親父たちがいて、という生まれついてのものでも、平太にはおそらく友達がいなくてノリ子への気持ちも報われなくて…という切ない人生の結果が網走監獄だったのだろうと想像してしまいます。また、何かの事件のショックでこうなったというのでも、きっとそれは人が殺されるということに慣れていないからで、辺見ちゃんたちとは違い自らの意思で網走監獄に入れられるようなことをしたのではないのだろうな…と想像できてしまいます。

これまでの囚人は、清く正しく自分の心に正直に生きていたら監獄に入っていたというノリの人たちが多く、ある意味真っ直ぐで明るくて、見ているこちらも清々しいまでの散りっぷりだったのですが、平太はこれまでと違って強烈に「後悔」「恐怖」という負の感情が見えるので、見ていて怖いですし不憫にも思えてくるのですよね…。その感情を抱かせる理由が、ヒグマの毛皮と煙草入れを持つに至った経緯にあるのではと思っていますが、さて平太の口から何が語られるのでしょうかね。
きっとこれまでの他の囚人の中にも平太と同じように監獄に入るまでの悲しい人生があった人間がいたのかもしれませんが、『JOKER』を見ないとそこに私は思い至らなかったわけで。存在はしているけれど目を向けたことがなかったものに気付くことができる良い映画だと思います。あれ、映画の感想になってる…?まぁそれだけ濃密なキャラクターが多いということですよねゴールデンカムイには!ホラー調の平太の話、結末までとても楽しみです。

 

 

 

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第219話 平太師匠

先週末、平太たちの中のうちおじいさんがヒグマに食われました。どうやら嵩の父親のようで、親父はどこに行った?と少年・三郎に聞きます。また一人で酒を買いに行ったんだろうと三郎は返します。
ヴァシリはお絵描きに夢中。ミソサザイ、アイヌで「チャクチャクカムイ」を写生します。チャクチャクカムイはヒグマが近くにいればチャクチャクと鳴いて案内してくれる鳥。その鳥が鳴かないなんて、ヒグマはいないのではとアシリパさんは疑っている様子。

ヒグマがいると言っていた当の本人の平太は、川で杉元と白石に砂金の取り方を伝授していました。ネコ板という道具を使い流し掘りという技法を用いるのが、少人数での砂金掘りには効率的とのこと。しかし何より重要なのは場所選び。経験がものをいうところですが、平太はもう雰囲気だけで場所がわかるようです。テキパキと自信たっぷりに説明していく平太を、白石は「平太師匠」と呼びます。平太が言う通りに取れれば一日15円以上の儲け。ヒグマを狩るよりも割のいい仕事です。しかしその割の良さに一攫千金を夢見た人々がこぞって猟をやめ砂金を掘ったために川が汚れた――アシリパさんはヒグマがいる発言への疑いに続き、ここでも平太に対しやや批判的な目を向けているようです。
続いて平太の腰の煙草入れにアシリパさんが言及します。それはアイヌのものではないか?と聞けば、昔アイヌと砂金を採っていて仲良くなりもらった、と平太は答えます。だから平太はウェンカムイという言葉を知っていました。アシリパさんは平太にさらに質問を投げかけます。平太が見たというヒグマは何日前から近くをうろついているのかという問いに対し、平太は、「もう何年もです」と答えます。

一方、一人黙々とお絵描きを続けるヴァシリにノリ子が声をかけます。身振り手振りも使ってノリ子はヴァシリに自分を描いてくれるよう頼みます。小屋の中にヴァシリを招き入れ、着物を脱いでいくノリ子。まるでヴァシリを誘惑しているようですが、視界に何か入ったノリ子はサッと表情を凍らせて「捨てたはずなのに」とその何かを見つめながら呟きます。そこへ嵩が乱入しノリ子を小屋の外へ連れ出します。ノリ子と夫婦であるらしい嵩は、会ったばかりの男の前で脱ぐなと怒りますが、ノリ子に反省する様子はあまりありません。どうやら砂金掘りで忙しい嵩に放っておかれているらしいノリ子。きれいなうちに自分の体を絵で残しておきたかったとノリ子が言えば、ハクで儲けたら東京に行って商売するから待ってくれ、と嵩が応じ、二人は唇を重ねます。その様子を木に登り凝視する平太。目を皿のようにしながら舌を突き出し動かす様は、嵩と自分を重ね合わせてノリ子に口付けているように見えますが、平太・嵩・ノリ子の関係性は一体何なのでしょう。

平太のそんな行いも知らず、平太に教わった方法で砂金掘りに励む杉元と白石。平太がいないことに気付くと、ヒグマに食われては儲けることができないとアシリパさんに平太を探し安全を確保してくれるよう頼みますが、当のアシリパさんはやはり平太のことを疑っている様子。本当にヒグマが近くにいるのでしょうか。

場面はまたヴァシリに戻ります。ヴァシリの双眼鏡がなぜか離れた場所のサルノコシカケの上に置かれています。ノリ子のいたずらだと嵩は言いますが、自分で取って持ってくることはせずヴァシリに取りに行かせます。ヴァシリが双眼鏡へ近づくと途中のアマッポが発動。仕掛け弓がヴァシリに向かって飛びますがアシリパさんがヴァシリを蹴り飛ばしたおかげで無事でした。嵩がいたはずのほうをヴァシリが振り返ると、すでに嵩の姿はありません――。
アシリパさんは平太がヒグマを見たという場所から周囲を広く探しましたがヒグマが活動したような形跡はなく、アシリパさんは平太の発言を嘘だと断定しています。なぜそんな嘘をつくのか。
しかしその頃、杉元と白石もヒグマの姿を目撃。平太の言う通りだと二人は言いますが、果たして平太とアシリパさん、どちらの言い分が正しいのでしょうか?ヒグマの足元にある土饅頭に埋められた親父と三郎を、平太は本当に見ているのでしょうか…。

 

ヒグマと人間、どっちが怖い?

今回は平太たちの関係が見えてきましたね。嵩とノリ子はおそらく夫婦。平太はおそらくノリ子が好き。

平太の行動はなかなかに不気味でしたね。ヒグマを見たという嘘か真かわからない発言もそうですが、ハクで大金を稼いだのも平太の奇妙さに拍車をかけています。大金を稼いで、ヒグマに追われて、それでもまだハクを掘っているのですよね。嵩は東京で商売をするという目的があるようですが、平太はなぜヒグマに何年も付き纏われながらも砂金を掘り続けているのでしょうか。
平太についてはそれなりに性欲があることがしっかり描かれているのがまた不気味です。他人のキスを覗き見して、それをエアで味わおうとするのは、なかなかに気持ちの悪いシーンですよね。イジリー岡田の芸を思い出しました。。平太はお金には困っていないと思いますし、女がほしいなら買ってしまえばいいと思うので、ノリ子が好きなのではと私は思います。でもノリ子は嵩のもの。このあたり複雑な人間関係が絡んでいそうですね!嵩もヴァシリをほとんど逆恨みで罠にけしかけたりと、かなりノリ子に執着しているようで、とても粘度の高そうな三角関係が期待できます。
こんなに狭い人間関係の中で二人の男に好意を寄せられるとは、ノリ子はとても魅力的な女性のようですね。長いまつ毛に泣き黒子、しかも出会ったばかりのヴァシリの前で脱いでしまうあたり、色香で引き付けるタイプの魅力の持ち主です。嵩が砂金掘りにまで連れてくる気持ちもわかりますねー。村に置いておいたら、本当に寂しくて他の男と一夜を明かしてしまいそう…。ところであのときヴァシリは何を描いていたのでしょうね。興奮しているようにも見えましたが、ヴァシリのキャラクター的に女体に息を荒げる…という感じではないので、何か別の面白そうなものをノリ子の裸体に見つけたのでしょうか。女性だから刺青人皮の暗号はないなぁ…。平太もそれっぽい描写が時折挟まれますが、この人たち死体なのに動いているとかなのでしょうか?実はあとからヴァシリのスケッチを見て、ノリ子の体の普段隠れた部分がズタズタになっているとか?その展開、面白そう…。

今回、三郎がヒグマに食われたようなので、残るは平太・嵩・ノリ子と、因縁のありそうな三人のみ。ヒグマの恐怖で追い詰められていく平太たちがどう動くか楽しみですね。

 

 

 

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こんばんは、うたげです。
ゴールデンカムイ最新話の感想です。
ネタバレを含みますので未読の方・コミックス派の方は気をつけてくださいね。

また、以下は私の所感です。
一ファン個人の想像・妄想・曲解を多分に含んでいますので、そういうものとしてお読み頂ければ幸いです。

 

第218話 砂金掘り師たち

平太という男を滑落の危機から救った杉元たちは、平太たちに話を聞きます。先週の平太がヒグマに追われていたときにできた額の傷は、平太によると「ちょっと前のもの」だそうですが…この傷がついたときにヒグマに食われたはずでは?
平太が身に着けている舶来のゴム長靴は高価なので平太たちがマタギではなく砂金掘りだと気付いていた杉元たちに、平太は人の好さそうな笑顔で応対しますが、嵩(タカ)にいと呼ばれる平太の仲間はあからさまに警戒します。杉元は銃を持っているので一緒にいる小さい男の子も少し怖がっている様子。ですがもう一人、おじいさんは平太を助けてくれたのだから強盗ではないだろうと平太と同じくお人好しなキャラクターのようです。また、ノリ子という女性も平太たちのグループにいます。ノリ子は流し目に色気のあるなかなかの美人に描かれていますが、嵩にいに小屋に戻れと言われると頬を膨らませて反抗する子どもっぽい一面も。

カナベラという松脂を用いた道具とガラス箱で岩盤の割れ目を掘る平太に対し、杉元と白石は揺り板とカッチャという道具を用いた、板どりという方法で砂金を狙います。しかし板どりは道具の簡素さが示す通りに効率が悪い方法。また冬の砂金掘りは時間との勝負。時折お湯で手を温めても一向に成果のない杉元は、「雨竜川で一日50円稼いだ」という話がガセではないかと言い出します。
そこで平太が「私が稼いだ」と言います。雨竜川の砂金掘りで荒稼ぎし噂になっているのは、平太だったのです。
杉元たちを警戒している嵩は平太を諫めますが、おじいさんは短い時間しか作業できないから協力したほうがいいと、ここでも嵩とお人好しらしい二人とのコントラストがハッキリ描かれます。
命の恩人だから特別に、と言って平太は「ハク」について教えてくれます。ハクは砂白金というもの。色は白く、黄金色の砂金に混じって取れます。非常に硬く加工ができないため砂金掘り師はハクをのけていました。ハクは使い道のないゴミの扱いだったのですね。しかしながら最近、舶来の万年筆のペン先が砂白金でできていると気付いた者がいました。日露戦争後で軍需工場の空きを埋めるべく砂白金のペン先の万年筆を作り、それが大成功。より多く作るために多くの砂白金を必要としており、それが砂白金の価値上昇につながっています。
ハクは、これまで何の価値もないゴミとして全て北海道中の捨てられていました。つまり北海道の川からハクを取れば……「第二のゴールドラッシュ」到来だと平太は口角泡を飛ばして熱弁します。

熱っぽく語る平太の視界に何か移りました。視線の先にいるのはヒグマ。真冬のヒグマなので冬眠しそこねた、アナモタズと呼ばれる危険な個体です。それが崖の上から平太を見ている。平太はヒグマがいるところを指さしますが…
他の人間がその方向を見たときにはヒグマは隠れてしまい、平太以外は誰もヒグマを見ませんでした。平太は昨日もヒグマを見たそうで、どんどん近づいてきていると不穏なことを言います。あれはウェンカムイだ、と。

少し経ったあと、杉元とアシリパさんが平太が見たというヒグマがいたあたりを物色しますが、ヒグマの足跡は見つかりません。笹の上を上手く逃げたのでしょうか。流氷上で仕留めた白いクマをきちんと神の世界へ送り出せなかったから山の神に嫌われたのかも、と言う杉元に対し、違う意見がありそうなアシリパさん。
一方、平太と同じくらいお人好しで杉元たちを危険じゃないだろうと迎え入れてくれたおじいさんが、ヒグマに食べられていました……。

 

平太はいつヒグマに食われるの?

先週の時点でも気になっていましたが、なぜヒグマに食べられたはずの平太が生きているんでしょう?
あの額の傷。これがヒグマに襲われた前後を見分けるキーになっているはずなのですよね。額の真一文字の傷がついたあとにヒグマに襲われ食べられたように見えるのです、先週の描写では。でも額に傷がついてから食べられるまでに実際はタイムラグがあり、額に傷がつく→杉元たちと会う(今ここ)→平太食べられる、の順で、時系列どおりに描かれているわけではないのですかね?たしかに先週のお話、ヒグマに食われている平太の顔を見ると、前ページで作った傷からは血が流れ出ているのに、その痕跡が見えない。だから傷を作ったのとヒグマに食われたのは同時ではないと言えそうです。
でもそれだと平太があのヒグマをウェンカムイだという理由が必要になってしまいます。もし、平太が本当にヒグマに食われていて、なぜかその後も生きているもしくは幽霊になってさまよっているとしたら、ウェンカムイだと言い切ることができますよね。だって食べられたのは自分だし。でも、ヒグマに襲われて生きているのは考えづらい。ヒグマは足も速く、ゴム長靴で雪の上を走る平太が逃げ切れるとは思えません。先週の回で、ヒグマに食われるシーンで長靴が見切れているので、別の走りやすい装備だったということはないと思いますし、そんな優しくはないですよね山の神様は。

だから、平太が自分が食われるより前に、あのヒグマが人を殺していると言い切れる材料が必要になってくるんですが…人を食っているところやその痕跡を見たのでしょうか。

額の傷を作ったとき、実はもう一人いて、そいつが食われたおかげで平太はそのときは逃げ切れた、とか?で、実はその一番初めに食われた人の持ち物があのクマが彫られた煙草入れで、値打ちものだと知っていた平太はそれをあとでコッソリ土饅頭から持ち出し、でもヒグマの獲物に執着する性質を知っているからヒグマが取り戻そうとやって来ないか心配で、何よりも自分の代わりに犠牲になった人(おそらく仲間だったと思います)への罪悪感からヒグマの幻覚を見ている、とか…?
この流れでいくと、何度もいかにも意味ありげに出てくるあのクマが彫られた煙草入れに、ハクがたんまり入っているのかもしれませんね。嵩にいたち仲間にも内緒のハクが。…そうすると平太が悪者っぽくなっちゃうなぁ…。ただ、辺見ちゃんと同じく「やさしい」という感想を杉元に抱いているので、辺見ちゃんのように自分の行くべきところへ送ってくれる人の登場を、平太は心のどこかでは願っているのかもしれません。仲間を助けられなかった上に金に目がくらんだ自分を責め立てる心を解放してくれる人。ヒグマを退治してくれて仲間の弔いをしてくれる人、嵩にいにハクを隠し持っているのを明かし気持ちが軽くなるきっかけを作ってくれる人。それがもしかして杉元なのかも。杉元は最後、平太の煙草入れを川に落として結局お金を手に入れられなさそう…。
ちゃんと送れなかった白いクマと、ヒグマに追われる男と、ハクと呼ばれる砂白金。散りばめられたピースを拾うと私の妄想もあながち大外れではなさそうな気もするのですが………あとはアシリパさんがちょっと思うところありそうな感じにしているのが少し引っかかりますね。平太の行いを見透かしており、それで距離を置いているように見えなくもないです。

こうして予想するのも楽しいですね。でも全然違う話だったら恥ずかしいな、そのときは笑ってやってくださいね。

 

 

 

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こんばんは、うたげです。
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第217話 北海道にて

大泊にいる尾形は、アシリパさんたちが泊まっていた宿の人に話を聞いていました。アイヌであり、しかもその子が乗り込んだ連絡船を海軍が砲撃したとあって、大泊では噂になっているようです。北海道近くの流氷に下りてその女の子が逃げおおせたところまで噂になっています。
アシリパさんが北海道へ戻ったことを確信した尾形は、外套を脱ぎ、ヴァシリの連絡船からの狙撃で死んだ兵士から剥ぎ取った軍服姿になります。樺太作戦で負傷し最近まで寝たきりだったが北海道の両親の元へ帰りたいと、連絡船の船長に嘘八百を並べ、船賃代わりの干した棒鱈を渡して連絡船に乗り込みます。

場面は北海道の山へ移ります。中年とおぼしき男が息を切らして走ります。その背後に迫るヒグマ。枝で額を横一文字に切りつけながらも必死で走りますが、甲斐なく男はヒグマに食われてしまいます。男の腰には、煙草入れでしょうか、魚をかついだヒグマが彫られたものがついています。

一方、いよいよ北海道へ戻ってきたアシリパさんたちは山で狩りをしていました。流氷にいるところを船で通りかかったアイヌの仲間でしょうか、猟犬を引き連れたアイヌと一緒です。猟犬の働きでヒグマの巣穴を見つけ、罠を置き、かかったヒグマを仕留めます。しかしヒグマは巨大な生き物、猟に出てきたアシリパさん・杉元・現地民の三人だけでは運びきれません。「ネウサラカムイ」と呼ばれる目印を置き、明日またヒグマの肉を取りに来ることにします。
帰り道、アシリパさんがアイヌの言い伝えを杉元に聞かせます。熊は山奥の神、良い心を持つ人の矢には自ら当たりに来る。だから熊を狩ったら丁重に扱いなさい、そうすれば熊の毛皮を着たカムイがどっさり肉を持って何度でも遊びにやってくるだろう、と――。

山からチセに戻ってきた杉元たちは今後の予定を話します。杉元の考えは、漁夫の利。鶴見・土方の両陣営をぶつけて、横から金塊をかすめ取る作戦です。
しかしそれをするにもお金が必要。北海道に来てから十日あまり、ヒグマを狩って路銀を稼いできましたが、もっと稼げる話はないものかと、チセの主人に白石が聞いてみると。
ウェンカムイの退治を頼まれているとのこと。ウェンカムイとは人を殺した熊。人の味を覚えた非常に危険な個体です。
しかもこのウェンカムイが襲ったのは、みな川で砂金を採っていた者だそう。杉元も作品の冒頭で砂金を採ろうとしていましたが北海道の砂金はこの頃にはほとんど採り尽くされていたはずです。しかし噂では「雨竜川」で砂金を掘り大儲けしている男がいると。ウェンカムイに見つからずに砂金を採れれば路銀には困らなくなりますが、ウェンカムイに会わずに採ることが可能なのか――?

さらに場面は変わり、また山中。斜面を歩いている際に雪が崩れ、崖から落ちそうになっている人物がいます。助けを求める声を聞きつけた人が、平太、と呼びます。崖から落ちかかっている平太は、杉元たちによって助け出されます。
その平太の顔は、ヒグマに食われたはずの男の顔。額には逃走中についた傷、腰には熊が彫られた煙草入れ…。なぜヒグマに殺されたはずの男が生きているのでしょうか?

 

アシリパさんたちの現在地は浜頓別?

雨竜川で砂金が採れる、というくだりで、アシリパさんたちの現在地が出ていましたね!今の地図に照らし合わせると、北海道の浜頓別町あたりでしょうか。中頓別町とのちょうど境目あたりの可能性もありますね。
中頓別は全国一の冷え込みを記録するほどに寒さが厳しい土地のようです。流氷の出る時期なので非常に冷える季節…こんな中で吹雪にでも遭ったら本当に天に召されてしまいそうですね…。

そんな現在地から南南西に下ったところにある雨竜川。人を食った熊に砂金。この漫画の本来の目的や、冒頭部の魅力を再確認させてくれるようなワードが目白押しです。ヒグマに食われたはずの人間が生きていた!?というホラー展開もありますし、これは楽しみです。

雨竜川で鳥を見たい!

北海道の地名といえばアイヌ起源のものが多い中、この雨竜川はアイヌの空気をあまり感じない…?と思いましたが、雨竜川もしっかりアイヌ起源みたいですね。ただ諸説あるそうで。北海道の雨竜町では、町名の由来は「ウリロペツ」鵜の多い川、となっています。鵜ってあまり寒いところにいるイメージがなかったのですが、寒冷地に分布するものもいるみたいですね。
私としてはアシリパさんがさらわれかけた伝説の巨大怪鳥、「フリュー」が語源になっているものを推したいですね!暴れ回るフリュー(暴れるようになった原因は人間側ですが…)に槍でとどめを刺す、なんてかっこいいので、野田先生の作画と説明でその伝説を見たい聞きたい!でも、怪鳥のお話は既出なので、やはり鵜でくるのかな?とぼんやり想像しています。

 

山に潜む怖さ

話は変わりますが、「三毛別」という地名をご存知でしょうか?ゴールデンカムイがお好きな方なら耳にしたことがあるかもしれません。「三毛別羆事件」の舞台になった場所です。

三毛別では過去、身の毛もよだつ恐ろしい出来事が起きていました。集落の住民複数名が、ヒグマに殺されてしまうという事件です。
事の発端は冬眠に入らなかった「穴持たず」です。冬の間の食料を求めて人里へ来てしまったようです。ヒグマに驚いた人の声がヒグマを刺激し襲われ、食料の在り処を覚えたヒグマは何度もやって来てしまう…という悪夢のような実話です。

獣によって被害が出ることを「獣害」と呼びますが、この三毛別の事件が最悪と言われています。

福岡大学ワンダーフォーゲル部の事件も有名どころですね。こちらは比較的最近のお話です。いかに文明が発達しようとも自然の中では無力であることを痛感しました。
ヤングジャンプでは他にもサバイバルを題材にした作品が連載されていますが、それを読んでいると、知識を持っていて尚且つそれを非常時に実行できる状態じゃないと、山に入ってはダメなんだな、と思います。ヒグマと出くわしたときに背中を見せるなとはよく聞きますが、どでかい獣が檻も何もないすぐ近くにいるのを見てパニックにならない一般人ってどのくらいいるのでしょうか。普段開けた視界で過ごしている人が山の木々だらけの中で危険を早めに察知できたりするでしょうか。
山は気軽に入っていけない場所なのですよねぇ。アシリパさんたちアイヌや谷垣たちマタギが山を神聖な場として敬意を払うのも納得です。神の領域なので何が起こっても不思議じゃないなと思うのです。

そんな山の中で、山奥の神と対峙する杉元たち。杉元はアシリパさんの狩りの腕前もありヒグマを何頭も仕留めていますが、かなり奇跡的なことですよね。山では人間のほうが圧倒的に弱いのに、そこを民族に伝わる知恵で切り抜けていくアイヌの生き様のかっこよさと、それをやはり上回る山の力、それらを拝めると思うと次週のサバイバル狩猟会は非常に楽しみですね。

 

 

 

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第216話 謎の白い熊

流氷上でホッキョクグマ?に出くわした杉元たち。ヴァシリが撃とうとしますが、真っ白な熊はとても珍しい。毛皮を売ればまとまったお金になります。できるだけ高く売りたいので毛皮に傷はつけたくなく、ヴァシリの射撃を止めます。
しかし傷をできるだけつけずにシロクマを倒すにはどうすればいいのやら。脳か心臓を狙うしかなく、できるだけ毛皮の価値を高く仕留めるとなるともう開けた口に撃ち込むしかない。杉元が海に落ちたシロクマが流氷に上がってくるのを待ち受けていると。
上がってきたシロクマが流氷に上がろうと体重をかけると、杉元の乗った小さな流氷は勢いよく傾きました。その勢いのまま投げ飛ばされる杉元。シロクマの後ろに着地します。振り向いたところにはシロクマのお尻が。そのとき杉元の脳裏には、親分と姉畑先生が獲物を熊の尻穴に突っ込んだ場面が思い出されていたのでした。
杉元の奮闘むなしく仕留められたシロクマは小さな流氷ごと流されてしまいますが、通りかかったアイヌの船に乗せてもらい、いよいよ北海道へ帰還を果たします。

一方、水雷艇には簀巻きにされた鯉登少尉が寝せられていました。情けないと呟く鯉登少尉に対し、父親は辺りに人がいないのを確認してから、生きていればよい、と息子に伝えるのでした。

 

軍人の鑑

鯉登少尉!生きてた!!!

あれだけずっぷり刺されていたのに生きているとは、杉元と同じくらい生命力が強いのでは?と思わされますね。何にせよよかった、生きていて…。鯉登パパの様子も涙ぐましいですね。軍人なら我が子を進んで戦場に送るというモットーの人なので、我が子が生きていて嬉しいという気持ちを外には出せない。だから表情は変えずに、言葉だけを、息子だけに届くように零す。軍人の鑑であり父性愛に溢れた人物じゃあないですか。

大泊で鶴見中尉と再会する前夜に、鯉登少尉は鶴見中尉の過去の行いに疑問を抱く場面もありましたが、鶴見中尉の打った「音之進くん誘拐事件」でこの親子の仲が深まったのは間違いないのですよね。そして今回も、息子の無事を喜ぶ父親、その気持ちを素直に言葉にしているのも、誘拐事件があったからこそじゃあないでしょうか。思っていることはきちんと言葉にしないと相手に伝わらないという教訓を鯉登パパは誘拐事件で得たのではないかなと。

鯉登少尉が生きていて嬉しいですが、まだ生きているということは第七師団として杉元たちの前にまた立ちはだかってくるのでしょうね。北海道の沿岸部には鶴見中尉が情報網を敷いていそうですし、第七師団の猛攻が始まりそうな気配もありますが、久々の北海道なのでそろそろ土方さんが出てくる予感もしています。

 

 

 

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第215話 流氷の天使

流氷の上を進む、杉元・アシリパさん・白石・ヴァシリ。その後ろには白い獣の姿があります。
白石は実は昨夜の月島軍曹と鯉登少尉の会話を聞いていました。鶴見中尉の動機は屯田兵への報いのため、アイヌの存亡はまったく視野に入っていません。
アシリパさんが鶴見中尉の手から逃げ出すことで第七師団が金塊を手に入れる可能性が低くなり、白石は胸がすく思いでした。第七師団が金塊を手にし、アイヌはじめ少数民族の生き残る道が狭まってしまったら、キロランケは一体何のために戦って死んだのか。

キロランケに関してはアシリパさんには疑問がありました。和人でもアイヌでもないのになぜ日露戦争へ出征したのか。白石の推測ですが、キロランケはアイヌへなりすまし北海道へ潜伏、結婚して戸籍は取得しているので兵役は免れられず、拒否すれば身上調査があり面倒になりそうなので出征するしかなかったのではないか、と。そこにウイルクとの関係の変化(ここは具体的には描かれていません)や極東少数民族存続への思いも絡み合い、今できるやり方でロシアへ牙をむこうとしていたのかもしれません。
キロランケ出征の理由を聞いた杉元は、殺し合いは手っ取り早くて簡単だ、と思います。アシリパさんの目指しているであろう、誰も殺さない道は、戦争に比べ遥かに困難です。

杉元にも、キロランケに関連した疑問がありました。彼の最期のとき、アシリパさんは何を言ったのか?暗号の解き方がわかったのではないか?という質問にアシリパさんは素直に「うん」と答えます。
が、暗号の解き方は言いませんし、杉元も聞き出そうとしません。時が来たら教えてほしい、と杉元はアシリパさんを信頼し、判断を任せます。
杉元を守るには私が盾になればいい。アシリパさんにはそんな思いがありました。魂が抜けるまで戦いひとり傷つく――暗号の解き方を知ったら杉元はきっとアシリパさんを置いて行ってしまうだろうことはアシリパさんにもわかっていました。だから暗号の解き方は杉元にも教えない。暗号の解き方を教えなければ杉元とアシリパさんが離れることはないし、第七師団もむやみに攻撃してはこないでしょう。
さらに重たい決意がアシリパさんにはあります。「道理」があれば、杉元と一緒に地獄へ落ちる覚悟をしたのです。
しかし白石がシロクマに襲われアシリパさんのダイアログは終了。海に潜り助かった白石でしたがシロクマがなぜこんなところに?

一方、連絡船では鶴見中尉がこれからどうするかを話していました。宇佐美はアシリパさんの親族を殺すと脅せばいいと提案します。しかし罪のない人を見せしめで殺すのは反対だと、菊田が人道的な発言をします。宇佐美の続いての提案、フチの死亡広告を出すというものに鶴見中尉も反対ではない様子。「迷いがあって覚悟が決まっていないのならば…」と、アシリパさんの覚悟の程度によっては脅迫は有効だと鶴見中尉は考えているようです。

大泊の海岸線ではヴァシリが狙撃した兵士の回収へ月島軍曹がやって来ました。しかし死亡した兵士は軍服を脱がされており、周囲に問いかけると子どもが答えます。男の人が軍服を脱がすのを見たと。その男は、もう使わないからと軍服を脱がしたあとに銃を拾い上げ、あたかも窮地から救い出したかのような口ぶりで、こいつも壊れるまで人を撃ちたいはずだと言い放ちます。それは右目を包帯で覆った尾形でした。

 

あるがまま

今回アシリパさんがとんでもない覚悟を決めていました。不殺を貫くのかと思いきや、「道理」があれば地獄へ落ちる覚悟をしていると。つまりは人を殺すかもしれないということですよね。
アシリパさんにとっての「道理」とは何になるんでしょう?作中で「道理」は、「意思と反することをした際に自分の気持ちを納得させるための言い訳」というのが言い換え表現になるのかなと私は思っています。人殺しについては杉元・尾形についての描写が非常に高い濃度ですでに出てきています。尾形は「人を殺しても罪悪感なんてないはずだ、あるはずがないのだ」と言い、自分の中の罪悪感を押し殺しています。杉元は「自分は地獄行きだとわかっているし、人を殺す前の自分とは別人になっていることもわかっている」と、理解しているから納得してくれと必死に自分に言い聞かせているように見えます。二人ともに共通するのは、本当はしたくないことをしているということと、気持ちと行動がちぐはぐになってそれをどうにか納得させるために自分の中で通ずる理屈を組み立てていることだと思います。その理屈が「道理」になるのでしょう。人間の精神は案外弱いので、安定を保つために無理やりにでも「整合性」を必要とするのですよね。

アシリパさんの「道理」は、杉元と近いものではないかなと思います。アイヌでも人を殺した者は地獄に落ちるという思想があります。そこへ行くことはわかっているのだから納得してくれと自分の心に言い聞かせるものになるのでは?
でもアシリパさんの場合は、そこに「杉元も一緒だ」というのが加わる気がします。杉元も一緒だから地獄なんて怖くない、という信頼なのか、杉元だけ地獄に行かせるわけにはいかない、という金塊争奪戦に巻き込んでしまった責任感めいたものなのか、それともまた別の何かなのかはわかりませんけども。

兵士だらけの作品なので出てきたときにはすでに人を殺すのが当たり前、というキャラクターがほとんどの中、アシリパさんだけがこれまでに誰も殺しておらず、今後誰かを殺すかもしれない可能性があります。アシリパさんがこの矢を人に射るべきなのか迷う場面、見たいような、そんな未来は来てほしくないような…。

 

流氷上のスタンドプレー

今回月島軍曹が久々に登場しましたが、一人で行動していましたね。アシリパさんたちを追って他の兵士は連絡船、そうなると大泊に残っているのは月島軍曹と鯉登少尉ぐらいでは?と想像していますが…
果たして鯉登少尉の安否はどうなのでしょう…。何週間もやきもきしています…。
鶴見中尉たち第七師団が連絡船に乗ったあと水雷艇が大泊へ引き返し、父が何も言わぬ息子を抱きしめ船に乗せる…なんてことが起きていないとよいのですが…。

あとは尾形、ここで出てきたか!という感じです。今回の発言だけ聞くと、人殺すのだぁい好き!という風に聞こえますが…そんなキャラだったっけ…?
でも再起不能かに思われたキャラが実は無事で戦線復帰…というのはアツい展開なのでワクワクします。眼帯キャラ枠にも収まってきてるし、さすが尾形、魅力にあふれまくっているところは相変わらずです。
鶴見中尉たちより早くアシリパさんたちへ会い、そこでまたアシリパさんが尾形を殺せるのかどうなのか!?という展開があるのでしょうか。そういえばあのときも流氷の上でしたね。吹雪にならないといいなぁ。

 

 

 

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ゴールデンカムイ第214話感想

こんばんは、うたげです。
ゴールデンカムイ最新話の感想です。
ネタバレを含みますので未読の方・コミックス派の方は気をつけてくださいね。

また、以下は私の所感です。
一ファン個人の想像・妄想・曲解を多分に含んでいますので、そういうものとしてお読み頂ければ幸いです。

 

第214話 雷型駆逐艦VS樺太連絡船

樺太連絡船に乗り込んだ杉元・アシリパさん・白石・ヴァシリ(頭巾ちゃん)でしたが、すぐに鯉登パパが指揮する駆逐艦が追ってきます。砲撃に加え停止するよう発光信号も送られ、船長たち乗組員が戸惑う中、杉元は船長に銃をつきつけ進み続けるよう命令します。しかしこの時期は樺太と稚内を繋いでしまうほどの流氷がありますし、船の速度も駆逐艦のほうが段違いに速く、すぐに追いつかれてしまいそうです。
アシリパさんが乗っているので駆逐艦ができる砲撃は威嚇射撃や行く手を阻むためのもの、当てる気はないと踏んだ杉元。進路を変え逃げ続けるように装い、行先にある流氷を駆逐艦に砲撃させ流氷を砕くことに成功します。砕けた帯状の流氷の切れ目から向こう側の海へ逃げ時間を稼いだ杉元たち。ですが鶴見中尉がすぐに、艦砲射撃が流氷を砕き逃げ道を作ったのだと気付き、駆逐艦も同様に流氷を砕いて杉元たちを追いかけてきます。
そこでアシリパさんが機転を利かせます。連絡船内から白い布を集め、それらを被って流氷の上を徒歩移動することにしたのです。杉元たちが降りたあとの連絡船は駆逐艦の発光信号での命令に従い駆逐艦の真横につけ、降伏の意思表示をしますが、杉元一行はすでに真っ白な流氷の上を真っ白な布に隠れながら移動を始めており、鶴見中尉たちからは姿が確認できなくなっていました。宇佐美が流氷上の捜索をしようとしますが、ヴァシリの狙撃の腕前を脅威と感じた鶴見中尉は流氷上では狙撃手に有利だからと流氷に降り立ち追うことを制止。さらに流氷の動きが早く、囲まれては動けなくなるのでこの場での杉元一行の追跡は断念、連絡船に移り稚内からオホーツク沿岸の集落の捜索に切り替えざるを得ませんでした。その指示を下す鶴見中尉の額当てからは脳汁が落ち、「ゆっくり話したいことがあったのに」と独り言ちます。

流氷の上を進む杉元たちは連絡船と駆逐艦が離れていくのを見て安堵します。緊迫感からの解放で空腹を覚えた一行。杉元は双眼鏡でアザラシを探し、白石は魚でいいのにと言いながら魚が穫れるであろう流氷の穴を覗き込みます。そこにはクリオネがたくさん泳いでいました。杉元は愛読書「少女世界」でクリオネを知っています。クリオネを食べる方法はないかとアシリパさんへ尋ねると、アイヌはクリオネを食べないから調理法も知らないしアイヌ語の名前もない、と返ってきます。
久々の杉元アシリパさん白石でのサバイバルグルメ、和気あいあいと笑いながら流氷のかけらに乗り漕いでいると、四人のにおいをかぎつけたらしい明らかに巨大とわかるサイズの白く毛深い生き物が登場。フォルムや鼻先の形状はヒグマに似ていますが果たして誰なのか――。

 

知らぬが仏

大泊に鶴見中尉がやってきたとき雷型駆逐艦に乗っていたのでいるだろうと思っていましたが、鯉登パパはやはり登場しましたね。鯉登パパ、息子の状態を知っているのでしょうか…。鯉登少尉の安否は未だに不明ですが、心臓の位置をズブリと貫かれていたのでかなり厳しいと思っています。この漫画、重症でも無事ならアッサリ描いてあって死ぬときの負傷は割合ドラマチックに描かれる傾向があると思っているのですが、刺されたあとの月島軍曹と鯉登少尉のやり取りの泣かせる演出も相まって、これはもう鯉登少尉の存命は望み薄なのでは…と思ってしまいます。すごく悲しい。
鯉登少尉は樺太での成果を父上に報告できると嬉しそうに話していました。大泊ですぐ近くまで父親が来ていたのにそれを伝えられていない可能性があります。もし伝えられていないとしたら、野田先生はなんて残酷なことをするのでしょう。父に認めてもらいたいと願っていた青年の願いが叶いそうになる寸でのところでぷっつり終わり。あまりに残酷で、美しいとさえ思えてきます。小学生男児として数々の笑いをもたらしてくれた鯉登少尉が一気に悲劇のヒロインに。
ただ鶴見中尉が大泊に着いてすぐに杉元たちと合流したと決まったわけではありません。もしかしたら前夜に着いていて、月島軍曹と鯉登少尉だけは先に会っているのかもしれない。そのときに鯉登少尉と父上には感動の再会を果たしていてほしいです。

息子を失ったとわかった鯉登パパはどうするのでしょうか?それでもまだ鶴見中尉に協力するのでしょうか?
この親子はあまりにもきれいにフラグを回収してしまいました。軍人として我が子を真っ先に戦場へ送り込んだ父。そんな父へ喜ばしい報告ができると言いながら(確定ではありませんが)伝えられずに逝ってしまった息子。
鯉登少尉がいなくなってしまったら鯉登パパが鶴見中尉に手を貸す動機はなくなると思います。海軍の駆逐艦まで持ち出したのですし今さら後に引けない、という理由ならありそうですが。

今回、月島軍曹と鯉登少尉は果たして駆逐艦に乗っていたのでしょうか。急いで連絡船を追いかける必要がありましたし、おそらくは連絡船を停止させ杉元たちを樺太の陸地へ戻らせるつもりだったでしょうから、あの二人は乗っていないと思います。鶴見中尉は宇佐美たち陸兵には連絡船に乗り船内を捜索しながら稚内へ向かうよう指示していました。ということは鶴見中尉は駆逐艦で一度樺太へ戻り、残してきた月島軍曹たちを回収して稚内へ行くと思います。回収のとき鯉登少尉と鯉登パパは否が応でも顔を合わせることになるでしょう。そのときの様子がどう描かれるか……見たいけれど見たくない、そんなシーンが次週拝めることを期待しています。安否がわからないとハラハラしっぱなしで心臓に悪い!

 

 

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