ゴールデンカムイ第269話感想

こんにちは、うたげです。

ゴールデンカムイ最新話の感想です。
ネタバレ含むうえに一ファン個人の想像・妄想・曲解だらけなので苦手な方は気を付けてください。
小難しい考察はしない・できないので、気楽に読んでくれたら嬉しい。

第269話 ウイルクのやり方

ウイルクたち7人のアイヌが争った日。その現場には金塊の在り処を知っていたというキムシプもいた。見つかった遺体は7人分だが実際にその場に居合わせた男は8人。つまりは1人が逃げたということになる。
その逃げた男はウイルクだった。全員の首を切り落とし、自分の分も含めて7人分の頭部の皮をはぎ、目玉をくり抜いた。キムシプがその場にいたかどうかは不明なためアイヌ7人が仲間割れをしたという情報だけを持つ人間が見れば、全員が死亡したと思わせることができる。それに目玉をくり抜いたのは、この恐ろしい行為をおこなった犯人の目に特徴があったからだ。
瞬時にウイルクがキムシプ含めた7人の遺体に工作を施したことを見抜くと、鶴見中尉は宇佐美と菊田に指示を出してウイルク追跡に向かった。現場に残された菊田は有古力松のことを思う。父の死に鶴見中尉らが関わっていたと知ればどう思うか。たしかに彼らは仲間割れし互いに殺し合ったが、そうなることを期待した鶴見中尉の作戦であったことは間違いなかった。

なぜウイルクは自分の頭部の皮をはぐという身の毛もよだつことができたのか。それは彼が非常に合理的だったからだ。求める答えに対し最短経路を決断し実行した。
実際に、そうしなければウイルクが犯人として扱われるのは避けようのないことであったし、父親が仲間を殺したとあってはアシリパさんたちがどんな扱いを受けるかわからなかった。また、キロランケに対しても、金塊に繋がる人間が死んだとあれば諦めてくれるものとの期待もあったのではないか。

そう語りウイルクの決断を称賛するかのような鶴見中尉だったが、鶴見中尉本人はウイルクの決断に勝るとも劣らない執念を見せた。ウイルクを追跡し、支笏湖の水上まで追い詰めたのだ。鶴見中尉の発砲によって手漕ぎ舟から落ちたウイルクは、持っていたマキリやキムシプの頭部の皮などを水中に置き、泳いで岸を目指した。
支笏湖近辺には監獄部屋と呼ばれる施設があった。労働者が監禁される場所で、そこには監獄から違法に駆り出された囚人たちがいたのだ。果たしてウイルクがそのことを知っていたか定かではないが、監獄部屋に入ると、その場にいた者たちにこう告げる。
アイヌ7人が殺され彼らが隠し持つ金塊の在り処を知る男がここにいる、と。
第七師団と監獄は犬猿の仲。こうして監獄側で保護されたウイルクに第七師団が手を出すことはおいそれとはできなくなった。やがて極秘裏にウイルクは網走へ移送され、網走監獄ののっぺら坊が誕生したのだった。

さて残されたキロランケはというと。アイヌの7人分の遺体が見つかったという話を聞き、ウイルクも死んだものと思い悲しんだ。ウイルクを理解したくて彼と同じように家族を得た。
しかし日露戦争から戻ると、その7人の遺体にはキムシプという老人がいたという噂が流れていた。そうなると7人のうちの誰かが他の6人とキムシプを殺したということになる。
さらに網走監獄にいたはずの土方歳三がウイルクの娘であるアシリパさんを探しにやって来た。そこに網走監獄ののっぺら坊の噂や、白石などに彫られている刺青の暗号などを組み合わせると――のっぺら坊はウイルクなのではないか?ウイルクは生きているのではないか、という可能性がキロランケの胸中で大きく膨らんだ。
ウイルクが生きているとなればキロランケにとってすべきことは一つに決まっていた。キロランケは家族を持っても極東連邦の考えが変わったりはしなかった。極東連邦が成功すれば北海道アイヌを守ることにも繋がる。北海道に引きこもりそこだけ守るという弱腰ではいけない。やはりウイルクが変わってしまった。弱くなってしまったのだ。弱くなった狼は群れの中に居場所はない。狼のやり方に則り、キロランケはウイルクを殺すしかないのだ。

 

確信を得るために

ウイルクは自分の死を偽装するために皮をはいだのか。それだけではなく自分の身元をわからなくして家族に影響が及ぶのを最小限にする目的もあったとは。そこまで見抜いている鶴見中尉もさすがだけど、やはりその目的のため手段は最も合理的なものを選び取るウイルクがすごい。
そこまでして金塊を手に入れたかったのだろうね。でなければ暗号を娘にあてて残したりしないし。その執念、本当に北海道独立のためなのかな…とか勘ぐってしまう。少なくともキロちゃんの言うような弱腰の目的の変化ではないような気がするのだけど、でもキロちゃんの極東連邦だと話が大きすぎるというのはわかる。

キロランケ側の話も切ないなぁ…ウイルクが変わってしまったと実感してしまうのはつらかっただろうに。
そしてのっぺら坊=ウイルクとアシリパさんに確認させるための網走監獄までの旅。そこから先の、アシリパさんに北海道アイヌ以外の少数民族を見せて金塊の使い道を考えてもらうための樺太の旅。実はゴールデンカムイの物語の大半は、キロちゃんの思惑で動いていたんだね。
キロちゃん亡きあとはアシリパさんの意志で。キロちゃんもアシリパさんもウイルクの影響がとにかく大きい人たちだから、やはりゴールデンカムイはのっぺら坊ことウイルクが常に中心にいるような気がする…。そこに鶴見中尉があの手この手で策略を張り巡らせて邪魔をしてきているという構図かな。

さて、鶴見中尉とソフィアからウイルクとキロランケにとっての真実を聞いて、アシリパさんはどうするのか。それこそがウイルクとキロランケの遺志を踏まえた物語の結論だよねぇ。

 

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