ゴールデンカムイ第268話感想

こんにちは、うたげです。

ゴールデンカムイ最新話の感想です。
ネタバレ含むうえに一ファン個人の想像・妄想・曲解だらけなので苦手な方は気を付けてください。
小難しい考察はしない・できないので、気楽に読んでくれたら嬉しい。

第268話 一本の毒矢

ウイルクがキロランケに勝ち去るときに、ウイルクはアシリパさんについて、ソフィアのように自分で戦い幸せを掴み取る人間になってほしいと語った。それがウイルクからキロランケに贈られた最後の言葉だった。
そしてアシリパさんは実際に戦うようになっている。もし自分の家族を守りたいだけなら戦わずに隠れて過ごせばいいのだ。しかしそれではアイヌの伝統文化のことは忘れられてしまうだろう。カムイに生かされているアシリパさんたちアイヌのことを。

そしてここからは鶴見中尉の口から、カムイを守るためウイルクたちが辿った悲惨な結末が語られる。
ウイルクとキロランケが断絶したあと、鶴見中尉たち第七師団もキムシプという金塊の在り処を知る老人の情報を求め、シロマクルのもとを訪ねていた。シロマクルは金塊探しのアイヌの7人に加わっていたが、他の面々の過激さに着いていけずキムシプから金塊の在り処を聞き出す前に他の6人と別れていた。シロマクルの地域では和人と大きな問題もなくやってこれたうえ息子は陸軍第七師団にいる。シロマクルは有古力松の父だ。だが、他の地域では和人との折り合いが良くなく憎しみを持つ者もおり、強硬手段を取ってでも金塊を手に入れたいという他6人の気持ちはシロマクルも理解していた。
和人への過激思想で集まった7人だが、ともすれば分裂しそうになる6人をウイルクが上手くまとめ上げていた。北海道内でも地域が異なれば文化も異なる。チエトイという珪藻土を食べる沙流の風習を誰かがからかえば、ウイルクが珪藻土の堆積地の違いや昔の城の壁に使われていたことなどを説明しその場を収める。ウイルクは無知ゆえに差別が生まれることを理解していた。せめてアイヌ同士は理解し合いひとつになろう、という考えだ。

アイヌの仲間から一目置かれていた男の名はウイルク。顔に傷がある青い目の男。鶴見中尉はその男に心当たりがあった。長谷川写真館にやってきた三人のうちの一人だ。
こうしてまたも鶴見中尉の人生に関わってきたウイルクに、鶴見中尉は一本の毒矢を放つ。
ウイルクが帝政ロシアと戦うゲリラ勢力であり活動資金のため金塊を求め北海道へやって来たことをシロマクルに話したのだ。衝撃的な事実を知ったシロマクルは、鶴見中尉たちが家を去ったしばらくあとに慌てて仲間の元へ伝えに行った。シロマクルが金塊の在り処を聞く前に別れたというのは嘘で、まだしっかりと他6人と繋がっていたのだった。

そしてシロマクルのあとを追うと、山奥から銃声が聞こえた。明け方になるとあの7人のアイヌのうちの1人が瀕死で見つかった。聞けばウイルクは何もせず、他の仲間たちで殺し合いになったらしい。
ウイルクは反帝政ロシアのゲリラ勢力。北海道アイヌのために金塊を求めているのではない。その情報だけで、ウイルクをかばう者とそうでない者に別れ殺し合いにまで発展したのだ。ウイルクへの信頼だけで保たれていた均衡が崩壊した。

やがてウイルクはシロマクルに自分の過去を話した者が追ってきていると悟り、信じられない行動に出た。
自ら皮をはいで他人の生首にかぶせ、自分が死んだように偽装したのだった。

 

鶴見中尉の采配

ヒィィ…のっぺら坊は自分で皮をはいだのか…
たしかに今までハッキリ言われていなかったけれど、網走監獄で金塊の在り処を聞き出すため拷問を受けてアキレス腱なんかも切られていたし、その拷問の一環ではがされたのかなーと思っていた…。
これもう書いてるだけで痛いね…。あんま話題にしたくないな…。

シロマクルはやっぱり有古のお父さんでした。この流れがあると有古の置かれている複雑な状況や心境がより胸に迫ってくる…。
父親は鶴見中尉に殺されたようなもの。父の仇が上官ってどういう気持ちだろう…。
でも今の有古が生きてきちんと生活できて家族を養えているのは陸軍に入ったおかげであって、その出自を知りつつ身を置かせていた鶴見中尉のおかげとも言える。
感謝すべきなのか憎むべきなのかわからず、これぞ鶴見中尉のたらしこみだよねぇ。

ウイルクが他のアイヌの仲間を殺したというアシリパさんにとっては発端となる事件の真相もかなり明らかになりましたね。鶴見中尉が引き起こした殺し合いだから第七師団が真っ先に遺品回収もできた。生き残りからざっくりしたあらましも聞けているし。
やっぱりウイルクは仲間を殺していなかったんだ!と父を信じるアシリパさんにとっては嬉しいような、でもウイルクのせいで仲間が殺し合うことになったのも事実で苦しいような。
それに前の話でキロちゃんが言っていたことがここでも的中していない?ウイルクは変わってしまった、って。自分の過去が原因で仲間割れが起きたら、自分と対立する人間をまず殺して脅威を排除するのが一番合理的なウイルクらしいやり方じゃないのか。
でもキロちゃんが言うにはウイルクは北海道アイヌの独立を考えているはずで…そこが6人の仲間たちに伝わらなかった、信じられるような状況ではなかった、っていうのがまた悲しい。金塊を目の前にしたところで実は仲間の一人がまったく別の目的を持っているってわかったら、そりゃ諍いも起きるよね…。

やっぱり鶴見中尉の采配は本当にお見事。これまで読み違えたことは、奥さんとお子さんを失ったことだけじゃないかな。

 

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