ゴールデンカムイ第189話感想

こんばんは、うたげです。
休載を挟んで、ゴールデンカムイの最新話。
先週までは尾形とアシリパさんのお話でしたが、今週はキロランケと谷垣に場面が移ります。近くにいるであろう鯉登少尉と月島軍曹は出るかな?

 

第189話 血痕

扉絵は腹をかばいながら銃を二丁持ち歩くキロランケ
キロランケは谷垣に腹を刺されたのですが、まだ歩ける程度の力は残っているようですね。
キロランケの腹に刺さっているのは自分のマキリ(小刀)。網走監獄でインカラマッを(おおよそ彼女の意思で)刺した際のものです。それを谷垣が持っていて、キロランケの腹に刺すという形で忘れ物を返したのですよね。
そしてキロちゃんの持つ銃が二丁、ということは、自分の分と、谷垣から奪った分でしょうか?この作品は銃が大事なアイテムとして描かれることが多いので、二丁持っているという状況を見ると否応なしに色々考えてしまいますね。何か暗示しているのかなーとか…。

さて、読み進めると谷垣が倒れています。そこに駆け付けた鯉登少尉月島軍曹
谷垣は倒れていますが会話は可能です。キロランケがとどめを刺さなかったのは、今の状態の谷垣でも仕留められるか自信がないくらいに深手を負っているというのと、谷垣の仲間が近くにいる危険性を考慮したのと、両方からでしょうね。

駆け付けた月島軍曹の後ろにしっかりスヴェトラーナがいるところが、ちょっと嬉しい。ちゃんと一緒に連れてきてくれたのですね、月島軍曹が。
緊迫した展開が続いているので、家庭への帰還が予想される彼女の存在は、落ち着きますね。それを気にかけている月島軍曹の情にも。
もっとも月島軍曹としては、かつて自分がいご草ちゃんとしようとしていたことを思い出し、後悔償いといった気持ちも混じっているような気もします。
「そこで待ってろ」とおそらく月島軍曹がスヴェトラーナにロシア語で伝えるところ、このコマの描写が嬉しいです。戦いに参加できないスヴェトラーナなので安全なところで待たせているという理由付けが必要な展開なのはわかりますが、それを例えば「谷垣は彼女に見ていてもらう」とかそういうセリフ回しで見せるのではなく、ちゃんと彼女にわかる言葉できちんと伝えていると読者がわかる見せ方になっているのが…!月島軍曹の情の深い人間性を見せてくれていて、たまらないです。

扉絵でキロちゃんが担いでいた銃のうち一丁は、仕掛け爆弾に使われていました。扉絵はその伏線だったのですね。
この状況下で銃が落ちていれば、誰のものか見るため持ち上げるに決まっています。それを読み、谷垣と一緒に露西亜まで来たであろう仲間を迎撃すべく、銃を持ち上げると起爆されるよう仕組んでいたキロちゃん、さすが元工兵ですね。爆弾を仕掛けるには敵の動きを予想しないといけないですから。
腹を刺された状況でここまで頭が回る動きができるのは、元工兵としての行動のパターンのようなものだとも思いますが、それだけ必死で生き残ろうとしているからとも思います。そうまでして生き残りたい強い意志があるキロちゃん、本当は何を企んでいるのか…私にはまだわかりません。

そんなキロちゃんの仕掛け爆弾は、安定の鯉登少尉のうっかり行動により起爆されました。仕掛けが施されていることに気付き、月島軍曹が咄嗟に鯉登少尉をかばいますが、負傷し出血してしまいます。出血している場所が問題で。
首…?首、元…?月島軍曹が、首元を、負傷している……?
首はまずいです、大きな血管も脊髄も大事なものがうじゃうじゃと通っている…月島軍曹は無事なのか気が気でならない……
そんな中でも鯉登少尉の安否を気遣う様は、さすが軍曹。
と自分を落ち着けて、読み進めたいところなのですが、この展開はかなりショックなのですよね…月島軍曹がもしかしたら…と思うと…。
私の中では、月島軍曹は長く生きて若者を見守る役目があります。悪童と呼ばれていたように若い頃はやんちゃをして、今は軍曹として目下の者たちをまとめ年若い将校を支えている。彼の悪さも含めた経験の豊富さが、若い世代を見守っていくのにぴったりだなと思っていたので、年老いても鬼教官として恐れられる名物軍人になってほしいなと思っていました。
それなのに、もしかしたら、ここで……?
月島軍曹がしぶとく生き残ってくれることを祈っています…。

その後の「ひとりで行くな」は、デジャヴですね。稲妻お銀の、賭博場からの鬼ごっこを思い出します。
あのときは逃げる相手を追うばかりでしたし、たどり着いた先では鶴見中尉という最強の仲間と合流できました。
しかしこの状況はどうでしょう…相手も攻撃をしてくるし、援護する仲間もいない。ひとりで行って勝ち目はあるのか?それも頭に血が上っているように見える状態で。
でも、それでもどうにかなるのが、鯉登少尉の役回りなのでしょう。今回はアザラシに助けられました。動物に助けられるのってヒロイン適性じゃないですか…?鯉登少尉はここでも可愛く幼く描かれているようです。

その後のキロちゃんとの戦闘は可愛さなんぞ欠片もなく、示現流で培った太刀筋の強靭さと肉弾戦での活躍ぶりを見せてくれるわけですが。ここですごいの出てきましたよ。
「私の部下たち」!
「私の部下たち」、というセリフが鯉登少尉から聞かれました。鯉登少尉の口から!少尉らしい言葉が!初めて出てきた!!
しかもこのセリフ、よくも月島を、ではないんです。ついさっき怪我した月島軍曹だけではなく、「部下『たち』」と、ここまでの金塊争奪戦で失われた第七師団の兵士たちにも言及しています。部下として認識してたんだ!と、当たり前のことに少し感動しそうになりました。
だって思い出してみてください。これまでの鯉登少尉は、まるで小学生のようでした。感情と直結した後先考えない行動の数々や、お金持ちを鼻にかけた不遜な態度。子どものような振る舞いばかりが目立っていた鯉登少尉が、ここに来て部下のために戦っているとわかるだなんて…。こんなに胸が熱くなる展開があるでしょうか?
鯉登パパの言う成長はこのあたりを指し示しているのでしょうか。ただ、あのときパパは杉元と「帰らないかもしれない」なんて不吉な話をしていたし、何よりも「よくも部下を」ってやられる前の悪役の吐くセリフみたいで…なんとなく不穏な空気を感じ取っているのは私だけでしょうか…。

今週は久々の第七師団の登場にテンションが上がりました。鯉登少尉の可愛さと勇ましさ、両方を拝めた眼福回と言えます。
が、それ以上に、月島軍曹の負傷が…。たしかに彼がもし作中でフェードアウトするとすれば、年若い上官をかばってだろう、と思ってはいましたが…。
まだまだ元気な月島軍曹を拝みたいです。スヴェトラーナを親御さんのところに送り届けて、自分の中の後悔の気持ちが少し晴れた顔を見せてほしい…!

 

次号、役目

毎週、話の終わりの「END」にて次号について少しだけ触れていますが、今週はコミックスのカバーの折り返し部分に書いてある文章があります。
コミックスから入った身としては、毎巻書かれているこの文は、作中でハッキリと出てこないということはメタ的に非常に意味のある言葉なのだろう、と思っていました。
それが、今ここに出てくる理由は何なのでしょう…。

次号の展開、正直まったくわからないです。鯉登少尉とキロちゃんの戦いなんて読めません。
体格はキロちゃんのほうが上のように見えますが、手負いですし、鯉登少尉も身体能力では負けていないので五分五分、もしくは元工兵としての先読みの経験に助けられてキロちゃんが優勢…くらいまでしか想像できません。

キロちゃんのマキリを鯉登少尉が抜いて首に突き付けているように見えるので、やはりキロちゃんの役目のことを仄めかしているのでは…という予想はしています。
マキリは大事な意味を持つアイテムですからね。マキリは自分で彫るもの。この世を去るときにはマキリに傷をつけこの世での役目を終えさせることが弔いだと、アイヌたちは考えています。のっぺら坊に殺されたとされているアイヌたちも副葬品には全て傷がつけられていたと、コミックス8巻で尾形も言っていましたよね。
このキロちゃんのマキリに焦点が当たっている展開なので、マキリに傷がつき、役目を終えるのはキロちゃんということなのでは…?と思います。

でも役目を終えるまでは死なないはず!なので、おそらく本当の目的や自分の来歴、そういった物語のキーとなることを話す展開が来るのではないかなと思います。
それらを話し終え、役目を終えたらどうなるか?相対している人にとってキロちゃんは仇なので殺されてしまう線が濃厚そうですが…鯉登少尉の戻りを待っているであろう鶴見中尉にとってはキロちゃんはまだ重要人物かもしれません。もしかしたら北海道に連れ戻される展開もあるかもしれませんね。

 

 

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